レンズによる味の違い [カメラ]
テスト撮影したポジの現像が出来上がって来たので、今日取りに行って来た。このところは軽量なDRズミクロン50mmを使うことが多かったが、どうも発色の傾向が何となく違うような気がしたので、「同一フィルム、同一カメラで条件を完全に一緒にして比較してみよう」と思ったのだ。
比較したのはノクチルックス50mmで、初めて購入したライカのレンズでもある。現在は中古の価格が高騰していて、オークションや店頭に出てくると(当時の定価よりも高い)40万円を超えるプライスタグが付いていることも珍しくないが、拙者がこれを入手した頃はどちらかというと不人気なレンズで、破格な安さで中古を入手できた。当時所有するライカM用のレンズはこれ1本のみだったから、随分と使い込んだが、なにせ一眼レフのF1.4クラスの標準レンズよりも重いので、遥かに軽量なDRズミクロン入手後は殆ど防湿庫の中で惰眠を貪っている。
テスト撮影の環境は次の通り。
撮影場所は自宅から自転車で数分の所にある木造の古い薬品工場である。ここは長年の風雨に晒された板壁が実に微妙な色合いになっていて、レンズの発色傾向を見るのに好都合、テスト撮影は全てこの場所で撮影している。晴天だとコントラストが高くてレンズごとの差が出難いので、あえて曇天の日を選んで撮影することにしている。
フィルムはいつも使っているコダックのEBX、ボディはM6、撮影時の絞りはF8、シャッター速度は1/60秒である。
ポジフィルムを直接スキャナで読みこんで画像にしている。なお、自分のパソコン上でフィルムと同じ見え具合になるように慎重に色合いを調整している。厳密にいえば「恣意の入った比較」になるかも知れないが、そもそも個人向けスキャナなんてぇのは精度が低いし、スキャナのドライバ内部でかなりデータを調整しているので、ここで無加工の厳密さに拘る意味は無かろう。
こちらがノクチルックス。
こちらはDRズミクロンだ。
画像を見比べて貰えば、もう説明は要らないかも、というほどに発色の傾向が違う。この2つの画像では草むらの色合いが随分と違うが、これは画像処理ソフトの使い方を知らない拙者が加工し切れていないだけで、実際のフィルム上はわずかにノクチルックスの方が鮮やかに見えるという程度である。他にも草原や暖色系の花なんぞも比較撮影しているんだけど、そちらでも殆ど差は無い。
DRズミクロンは、アサヒカメラ1959年4月号のニューフェース診断室で解像度の最高記録を打ち立てたズミクロンと同じレンズ構成で、遠景に入った電線なんぞを克明に解像するほどカッチリした写り具合が印象的なレンズだけれど、撮り比べて見ると、数値上の解像力はズミクロンには及ばないノクチルックスの方が遥かにシャープ感が強い。15倍のルーペでポジのコマを見比べても、やはりノクチルックスの方がシャープに感じる。これは被写体には関係無く、常にノクチルックスの方がシャープだ。
発色については、やはりノクチルックスの方がより現代的というか、見た目のままに近いか、ほんの少し記憶色寄り、即ち見た目よりも僅かに鮮やかに写るように感じる。DRズミクロンは設計年代の古さもあるのか、落ち着いたというか、実物と比較してほんの少しくすんだような色合いになる。但し、草原や花を撮影したコマでは発色の差は殆ど無く、どうしてそうなるのかは判らない。
因みに、ノクチルックスはCONTAX プラナー55mmF1.2とも比較撮影したことがあり、写り具合はほぼ互角である。言いかえれば、MF時代の一眼レフ用標準レンズはシャープさという点に関してはズミクロンやノクチルックスにはまず勝てないと考えて良い。
そういえばプラナー55mmも最近出番が少ないナー...ノクチルックスもプラナーももっと使ってやらなきゃね。
2009-07-12 16:32
nice!(0)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0