カメラ用ボタン電池 [カメラ]
久し振りに防湿庫を開けたら、ボタン電池が液漏れを起こした跡があるではないか。慌てて全ての電池を調べたら、AG13の3個に液漏れの跡が残っていた。幸い、カメラは全て電池を抜いて保管しているので、実質的な被害はゼロだが、8月に右足を骨折して以後、自宅軟禁の状態で撮影に出られなかった為、今まで気がつかなかった。
防湿庫に入っていたので、漏れた液が乾燥しこびり付いている。このAG13は比較的新しい製品で、一番古い水銀電池のMR9(V625と同じ。画像では一番左)は液漏れを起こしていない。
...そういえば、以前はどの電池にも「液漏れした場合は補償します」って印刷されていたけれど、今売られている電池には何も書かれていないよなぁ...。
今手元にあるカメラは、コンパクトカメラのコンタックスT2を除けば全てメカニカルシャッター搭載機で、シャッターや絞りの動作に電池は不要。電池はどれもカメラ内蔵の露出計用である。T2はオートフォーカス機構が電力を消費するので、電池は大容量のCR123Aを使う。
メカニカルなカメラに使う電池はLR44(AG13と同じ)と、H-D(MR9やV625と同じ)で、他にも単体露出計用に4LR44や単三電池を使う。
LR44を使うのはコンタックスS2bとライカM6チタンの2機種。どちらもLR44かSR44を2個、又はCR-1/3Nを1個使う。SR44は値段が高いので使わない。(^^;)
なお、ハッセルブラッド503CWやローライフレックス2.8F・大判カメラも、動作に電池は必要無い。
どういう訳か、S2bでは警告表示が出て使えなくなったLR44をM6に入れてみると問題なく使えてしまう。回路設計上の違いが大きいらしいが、電池の電圧がかなり下がっても問題なく使えるライカは流石だなーと思う。
そういえば、もう手放してしまったけれど、ライカの一眼レフR6.2やR6もM6と同様に電圧の下がったLR44でも問題なく使えた。ドイツの製品って本当に良く考えられているんだなぁ。
手元にあるカメラでH-Dを使うのはローライ35クラシックの一機種だけである。他にもローライ35Bがあるが、小さなセレン電池(太陽電池)が電源なので、電池類は不要である。
35クラシックに限らず、ローライ35シリーズはH-D水銀電池を使うが、水銀の毒性が問題となって国内は1990年代半ばに生産終了しているので、在庫品や輸入品を使うか、電池アダプターを使う事になる。
水銀電池の電圧は、LR44などのアルカリボタン電池や、SR44などの酸化銀電池と電圧が違うので、単純な回路構成の35シリーズに1.5Vの電池を使うと露出計の値が本来の値よりも少し高めに表示される。
正常な値にしたいのであれば、電圧を調整する抵抗の入ったアダプターを使う方が良い。ちなみに、調整用抵抗の値はカメラの機種にも依るが、およそ200kΩほど(酸化銀電池を使う場合)である。抵抗の代わりにショットキーバリアダイオードを使っても良いが、このダイオードは普通のシリコンダイオードよりも漏れ電流が多いので、正常に動作するかどうか確認する必要があるかも知れない。
なお、アダプターで電圧を調整しても上手く動かない場合もある。LR44やSR44と比べてMR9の容量が大きい為、消費電力の大きなカメラだとアダプターだけでは難しいこともある。特に、アルカリボタン電池は電圧が落ちる割合が大きいから、露出計の値が大きく狂うこともある。そんな場合は、別の対策を考えることになる。
水銀電池はあちこちで使われていた為か、今でもクラシックカメラを扱う国内のお店に在庫があったりするし、ヨーロッパのカメラ店なら大抵在庫があるようだ。
今は代替電池としてP625U、V625U、625A、LR9などがあるが、どれもアルカリボタン電池だから、使うカメラによっては電圧の調整が必要となる。
また、余り知られていないらしいが、水銀電池は僅かな電流であれば充電が可能で、実際小さな太陽電池を使った充電器がかつて売られていたこともある。
液漏れした電池は使わないのが鉄則であるが、冗談半分で液漏れした部分をIPA(イソ・プロピル・アルコール)で拭いてみた。このIPAはNECグループ在籍時、フロア移転で保管場所が無くなり廃棄される予定だったのを譲り受けたものである。
拭いてみたらすっかり綺麗になってしまい、液漏れしていない電池と見分けが付かない。(笑)
試しに、負荷を掛けた時の電圧を計ってみる。LR44の標準負荷は30kΩなので、半固定ヴォリウムを調整して使う。
その結果は...やはり液漏れを起こした電池の方が電圧は低い。液漏れを起こした、ということは起電力の源である電解液が電池の外へ流出してしまった訳で、液漏れを起こしていない電池と比べれば起電力が落ちるのは当然だ。
しかも、一度液漏れを起こした電池は防滴構造が破壊されているので、そのまま使い続けると再び漏れてくる可能性がある。電解液は金属を腐食させる力があり、保護膜の無い基板の配線をも溶かしてしまう。だから、液漏れに気が付かないままでいると機器を駄目にしてしまいかねないので、さっさと処分するに限る。
カメラはオートフォーカスになってから電力を大量に使うようになり、電池代が馬鹿にならなかったが、デジタルカメラは使う電力が膨大で電池だけでは賄い切れず、充電式が主流となっている。
それに比べれば、マニュアルフォーカスのフィルムカメラって、ボタン電池を1個か2個を使うだけだし、何時電池を交換したのか忘れてしまうほどが持ちするんだから、とっても「エコ」だと思いません?(笑)
防湿庫に入っていたので、漏れた液が乾燥しこびり付いている。このAG13は比較的新しい製品で、一番古い水銀電池のMR9(V625と同じ。画像では一番左)は液漏れを起こしていない。
...そういえば、以前はどの電池にも「液漏れした場合は補償します」って印刷されていたけれど、今売られている電池には何も書かれていないよなぁ...。
今手元にあるカメラは、コンパクトカメラのコンタックスT2を除けば全てメカニカルシャッター搭載機で、シャッターや絞りの動作に電池は不要。電池はどれもカメラ内蔵の露出計用である。T2はオートフォーカス機構が電力を消費するので、電池は大容量のCR123Aを使う。
メカニカルなカメラに使う電池はLR44(AG13と同じ)と、H-D(MR9やV625と同じ)で、他にも単体露出計用に4LR44や単三電池を使う。
LR44を使うのはコンタックスS2bとライカM6チタンの2機種。どちらもLR44かSR44を2個、又はCR-1/3Nを1個使う。SR44は値段が高いので使わない。(^^;)
なお、ハッセルブラッド503CWやローライフレックス2.8F・大判カメラも、動作に電池は必要無い。
どういう訳か、S2bでは警告表示が出て使えなくなったLR44をM6に入れてみると問題なく使えてしまう。回路設計上の違いが大きいらしいが、電池の電圧がかなり下がっても問題なく使えるライカは流石だなーと思う。
そういえば、もう手放してしまったけれど、ライカの一眼レフR6.2やR6もM6と同様に電圧の下がったLR44でも問題なく使えた。ドイツの製品って本当に良く考えられているんだなぁ。
手元にあるカメラでH-Dを使うのはローライ35クラシックの一機種だけである。他にもローライ35Bがあるが、小さなセレン電池(太陽電池)が電源なので、電池類は不要である。
35クラシックに限らず、ローライ35シリーズはH-D水銀電池を使うが、水銀の毒性が問題となって国内は1990年代半ばに生産終了しているので、在庫品や輸入品を使うか、電池アダプターを使う事になる。
水銀電池の電圧は、LR44などのアルカリボタン電池や、SR44などの酸化銀電池と電圧が違うので、単純な回路構成の35シリーズに1.5Vの電池を使うと露出計の値が本来の値よりも少し高めに表示される。
電池 | 種類 | 電圧 (V) | 容量 (mAh) |
---|---|---|---|
MR9 | 水銀電池 | 1.35V | 250 |
SR44 | 酸化銀電池 | 1.55V | 160 |
LR44 | アルカリ電池 | 1.5V | 105 |
なお、アダプターで電圧を調整しても上手く動かない場合もある。LR44やSR44と比べてMR9の容量が大きい為、消費電力の大きなカメラだとアダプターだけでは難しいこともある。特に、アルカリボタン電池は電圧が落ちる割合が大きいから、露出計の値が大きく狂うこともある。そんな場合は、別の対策を考えることになる。
水銀電池はあちこちで使われていた為か、今でもクラシックカメラを扱う国内のお店に在庫があったりするし、ヨーロッパのカメラ店なら大抵在庫があるようだ。
今は代替電池としてP625U、V625U、625A、LR9などがあるが、どれもアルカリボタン電池だから、使うカメラによっては電圧の調整が必要となる。
また、余り知られていないらしいが、水銀電池は僅かな電流であれば充電が可能で、実際小さな太陽電池を使った充電器がかつて売られていたこともある。
液漏れした電池は使わないのが鉄則であるが、冗談半分で液漏れした部分をIPA(イソ・プロピル・アルコール)で拭いてみた。このIPAはNECグループ在籍時、フロア移転で保管場所が無くなり廃棄される予定だったのを譲り受けたものである。
拭いてみたらすっかり綺麗になってしまい、液漏れしていない電池と見分けが付かない。(笑)
試しに、負荷を掛けた時の電圧を計ってみる。LR44の標準負荷は30kΩなので、半固定ヴォリウムを調整して使う。
その結果は...やはり液漏れを起こした電池の方が電圧は低い。液漏れを起こした、ということは起電力の源である電解液が電池の外へ流出してしまった訳で、液漏れを起こしていない電池と比べれば起電力が落ちるのは当然だ。
しかも、一度液漏れを起こした電池は防滴構造が破壊されているので、そのまま使い続けると再び漏れてくる可能性がある。電解液は金属を腐食させる力があり、保護膜の無い基板の配線をも溶かしてしまう。だから、液漏れに気が付かないままでいると機器を駄目にしてしまいかねないので、さっさと処分するに限る。
カメラはオートフォーカスになってから電力を大量に使うようになり、電池代が馬鹿にならなかったが、デジタルカメラは使う電力が膨大で電池だけでは賄い切れず、充電式が主流となっている。
それに比べれば、マニュアルフォーカスのフィルムカメラって、ボタン電池を1個か2個を使うだけだし、何時電池を交換したのか忘れてしまうほどが持ちするんだから、とっても「エコ」だと思いません?(笑)
私のローライ35クラシックはアダプターを使っています
露出はけっこういいかげんですけど(笑)
by pace (2011-10-22 18:34)
ボタン電池の液漏れは珍しいですね。
私はライカM7の電池で困っています。CR-1/3Nが販売されていないようなのです。
国内大手の製造メーカー、サンヨーは、リチウム電池の製造をやめたようです。
ないこともないけど、調べてみたら1個1,200円もしました。これを2個使いなので・・・。しかも、あんまり持たないんですよ。
LR44×4個でも動きますけど、はたしてどれくらい持つか心配です。
なんとかなりませんかね?
by tama (2011-10-22 21:23)
paceさん
生産されてから随分と経ってますから、露出が狂ってくる可能性はありますね。程度が軽ければ調整できると思いますよ。
tamaさん
調べてみたら、CR1/3Nは一昨年辺りで生産終了してしまったんですね。中国生産らしきものは市場に出回っているみたいですが、何時まで造るのか分からないですしねぇ。
代替品はやっぱりLR44かSR44を4個です。
SR44だと電圧が少々高いのが気になりますが、容量はCR1/3Nと同等です。LR44だと容量は半分弱ですね。
4個も入れるのは面倒かもしれませんけど(^^;)、それ以外に代わりになりそうなのが無いんですよ。外部電源でよければニッケル水素電池を直列5個という手もあります。
by Rifle (2011-10-22 22:29)
みなさん、ボタン電池に詳しいのでびっくりです。
私、理解できていません。
by kawasemi (2011-10-23 16:40)
kawasemiさん
一応拙者は電子工学科卒なので、この程度は解ってないと非常にマズイです。(笑)
ちなみに、どれもネット上で拾える情報ばかりです。
by Rifle (2011-10-25 23:12)