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テスタロッサの車検と重整備 [フェラーリ]

 今年2月中旬にテスタロッサを車検に出したら、お店から
  1. ウォーターポンプからのクーラント漏れ
  2. ラジエータへの配管の劣化による深い亀裂からの漏れ
  3. エンジン冷間時にタイミングベルト周辺から異音が盛大に出る
と指摘され、更に「近々手放す積りなら車検を通すだけで良いかも知れませんが、乗り続けるのなら今のうちにしっかり整備する方が良いですよ」と言われた。前回の車検時に
  1. 距離的には問題無いが、タイミングベルトからの異音が不安材料
  2. 右ラジエータからの水漏れ
  3. 水温の指示が常時高め
  4. 2000rpmまでの加速不良
といった点を指摘されていたこともあり、「そのうちにしっかり整備しないといけないだろうな」とは感じていたので、今回全てを整備することにした。
 車は5/3の夕方に受け取ったが未だ請求書が出来ていなくて後日ということになっていて、今日自宅に請求書が届いた。

 この車は前所有者が3万kmを超えたところでタイミングベルトを交換しているけれど、当時の記録簿にはベルト交換以外は何も記述が無い。
 テスタロッサのタイミングベルトは切れるようなことはまず無いが、整備マニュアルで「2年/3万キロで交換」と謳っているのは、勿論営利的な面もゼロではないかも知れないが、配管に使われているゴム類がエンジンからの熱で劣化するのを見越している部分もある筈で、記録に全く記載が無いというのは少々不思議なのである。
 前所有者が費用をケチったのかも知れないが、整備を担当したメカニックがフェラーリを国産と同じ基準で整備してしまった可能性も十分に考えられる。

 クーラントの漏れは、3年ほど前に軽いオーバーヒートを起こして初めて気が付いた。ただ、漏れる量がとても少なかったので修理するまでには至らず、クーラントリザーバータンクを頻繁にチェックするようにした。
 しかし、昨年辺りから水温計の指針が常時真ん中の90度付近を指すようになり、「何だかおかしくないか?」それでも、オーバーヒートすることは無かったので、漠然とした不安はあったもののそのまま乗り続けていた。
 クーラントリザーバータンクも過去に漏れがあったようで、溶接したような痕があり「そのうちに交換が必要だろう」と感じていた。

 今回の整備で、エンジンが車体から降りた時点で車屋さんから連絡があり、お店に足を運んで確認すると色々なことが分かって来た。
IMG_2981.JPG
真ん中の銀色の部分はガソリンタンクだが、ホースとの連結部には漏れた痕が盛大に残っている。このホースは今まで一度も交換されていないようで、取り外したらカチコチで、軽く曲げたら「パキッ」と簡単に折れてしまった。よくもまぁ今まで振動で折れなかったもんだ。

 
IMG_2983.JPG
右バンクのラジエータは下の方が錆で穴が開いているらしく、かなり漏れている。また、左バンクのは内部が錆びて詰まっているらしくて機能していないとのことだった。だから、水温が常に高い状態だった訳だ。

IMG_2973.JPG
クーラントの配管は完全に劣化して口が横に開いてしまっているような形状になっていて、ここからも漏れていたそうだ。
 右側に見えるタイミングベルトは、画像では判り難いが所々ゴムが千切れて飛んでいる。前回整備でテンションを掛け過ぎだったらしく、通常であればベルト表面がこれほど荒れることは無いらしい。

 購入時からエンジンオイルの漏れは薄く滲む程度でほんの少しあるにはあったが、知らないうちに徐々に量が増えていったようだ。
IMG_2977.JPG
エンジンの下側は漏れたオイルで真っ黒。かなりの量が漏れていて、シフトリンケージ周辺も同様に真っ黒になっていた。

 更に、整備が進むに連れ、更に問題点が出て来た。
 まず、このエンジンに多く見られるウォーターポンプからの水漏れが起きていた。ポンプギアとポンプシャフトの間に挟まっている樹脂製のカラーが痩せてシャフトが削れてしまっていた。車屋さんがあちこち探してイタリアで見つけ、送られてきた新品のシャフトで組み付けようとしたら、今度はポンプギアの内径もシャフトと擦れて穴が拡大していることが判明。次はポンプギアを探し回ったという。古い車だけにヨーロッパには在庫が無く、米アリゾナ州の部品商がデッドストックを持っているのを探し当てて取り寄せ、何とか修理することができた。「次に同じ箇所を修理しようと思っても、部品が今回のように手に入るかどうかは判らない」そう。
 他にも、本来なら整備時に交換すべきボルト類に交換された形跡が無く、固着して緩まなかったり途中で折れたりする箇所が多数あって、あちこちをヘリサート加工したという。

 請求書に書かれている整備項目で、車検以外のものは
  1. タイミングベルト一式交換
  2. カムカバーガスケット&シール一式交換、
    バルブクリアランス&バルブタイミング測定・調整
  3. ウォーターポンプO/H
  4. ラジエータコア交換、ホース一式交換
  5. エンジンマウント交換
  6. シフトリンクブッシュ交換
  7. インジェクションバルブ交換
  8. フューエルホース一式交換
  9. 右ラジエータ不動対応
  10. ブレーキマスターシリンダーのオイル漏れ修理
と、多岐に亘っている。
 ラジエータは国産品を流用して加工し、リザーバータンクは交換、ラジエータマウントはウェットブラストで錆を落とし再塗装して使ったそう。また、右側のラジエータファンが動かず、配線を追ったらヒューズボードの所が焼けていたのだとか。
 樹脂やゴムのホース類は全部交換となったので、交換した部品の数も凄い。
IMG_3444.JPG
四角いのはエアフィルター、銀色の丸い筒はフューエルフィルターである。

 実はエアコンも効かないのだが、今回はエアコンリークテスターとノンフロンのガスを入れただけにしている。
 フロンガスよりもノンフロンガスの方が分子が大きいので、ノンフロンにするだけで漏れが収まって効くようになる場合があるのと、リークテスターという蛍光剤を一緒に入れたからエアコンが効かなくなったらブラックライトを当てれば漏れている場所が特定できるので、今回はまず様子を見ることにしたのである。但し、これからエアコンを使う季節に入るので、エンジン負荷を考えて燃料調整はやや濃い目に調整されている。

 車受け渡しの際に「エンジン内部が汚れているようなので、これを使って下さい。今入っているガソリンは2月のもので今の季節とは合わないので、なるべく全部使い切ってから新しいガソリンを入れる時に一度に2本入れて下さい」と渡されたのは、インジェクションクリーナーだった。独Würth社の製品である。
wuerth ウルト インジェクションクリーナー
「Würth」は国内では「ウルト」と発音しているので、「Wの文字があるのに濁らないということは南ドイツの会社か?」と思って調べてみたら、やはり南ドイツ地方に本社があった。ちなみに、日本で普通に使われている「ワイン」という発音は、ドイツ語の「wein」の南ドイツ地方の発音と同じである。ドイツ語の「W」は英語の「V」と同じ発音になるが、南ドイツ地方は何故か発音時に濁らない。
 この製品を定期的に使っていたF355のエンジンを開けたら、バルブにはカーボンが一切無くてピカピカだったというから、ホームセンターなどに溢れている類似品よりは確実な効果が見込めるそう。「インジェクションの部分がかなり汚れているみたいで、今は燃料調整が濃い目にしていることもあってアイドリング時に安定していないんですが、クリーナーの効果が出てくれば安定しますよ」と言われた。
 先日のツーリング出発時はエンジンをかけてもすぐストールしてしまって全く安定しなかったが、ツーリングで昼食を食べた後に出発した時は朝の症状が嘘のように安定していた。

IMG_3445.JPG
 エンジンを降ろす重整備だったので、国産1.5Lクラスの車両価格と同じような金額となってしまったが、「これから6年位は何もしなくても大丈夫」というから、安心して乗る為の費用と割り切ることにしよう。しかし、それにしても随分とかかったなぁ...(--;)
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コメント 4

たくや

大きな整備になりましたがこれから先の事を考えると正解ですね~
このインジェクションクリーナーは良さそうなので、使ってみます。
by たくや (2012-05-10 13:03) 

Rifle

たくや さん

永く乗る積りなので、大事に至る前に思い切って整備しました。
これで当分の間は安心できます。
by Rifle (2012-05-10 15:22) 

ブルル

>真ん中の銀色の部分はガソリンタンクだが、
>ホースとの連結部には漏れた痕が盛大に残っている。

これって重大な問題では(笑)
全焼コースにならなくて良かったですね。
by ブルル (2012-05-11 13:02) 

Rifle

ブルル さん

本当にその通りです。引火したら丸焼けになるところでした。(^^;)
by Rifle (2012-05-11 14:07) 

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