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ローライ35とローライ35クラシック [カメラ]

 先日ローライ35クラシックを手に入れたが、何となく「ローライ35はレンズ以外は何でも一緒」という意識があって、今まで他のローライ35と比べたことは一度も無かった。
 ところが、別件でローライについてネット上で調べていたら、ローライ35シリーズを比較しているサイトを偶然見かけて「え?そんなに違うの??」と思ったので自分でも比べてみることに。
ローライ35クラシックとローライ35初期型
左がローライ35クラシック、右がローライ35最初期型である。
 クラシックはカールツァイスからライセンスを取得してローライが生産したゾナー40mmF2.8HFT、最初期型はカールツァイス製テッサー40mmF3.5。
 クラシックの方が何となく小さく見えるかも知れないが、色が違うだけで高さは同じ。クラシックは沈胴ボタンが前面にあるのに対して、最初期型はボディ上面にあるのと、クラシックには「classic」の文字が入っている、の2箇所が違う。
 細かく見ると、フィルム感度リングとフィルム種別表示リングはクラシックが艶消しなのに対して最初期型は艶有、フィルム種別表示リングの内容がクラシックは白黒・ポジ・ネガの三種類なのに対して最初期型は白黒・ポジデーライト・ポジタングステン・ネガの四種類になっている。

ローライ35クラシックとローライ35初期型の背面
背面での大きな違いは、入っているフィルムが何かを示す為のポケット(フィルム紙箱の蓋をちぎって入れる場所)がクラシックにはあるのに対し、最初期型は何も無くツルンとしている。
 細かい部分を見ると、クラシックは右上に「Made In Germany」と刻印されているのに対して最初期型は左下に「MADE IN GERMANY BY Rollei」となっていおり、シリアル番号もクラシックは中央右寄りなのに対して最初期型は中央左寄りに刻印されている。
 なお、この最初期型は米国内で販売された物なので、右上に「Rollei HONYWELL」のプレートが貼られている。
Honywell International Inc.は歴史の長い米国の総合商社で、現在も盛業中である。Pentaxの輸入業者として初めてカメラ製品を扱うようになり、以後ローライや各社のストロボなどを輸入していた。
よく見ると、ファインダー開口部も最初期型の方が少し大きい。ちなみに、ファインダー倍率は「ローライ35はどれも同じ」と書かれているサイトが多いけれど、実際には最初期型が一番高い。
# 実物で見比べた事が無いのかな?
実際にファインダーを覗いてみれば判るけれど、最初期型はメガネを掛けていてもフレームのほぼ全体を見渡せるのに対してクラシックはフレーム全体を見渡すことは難しい。

ローライ35クラシックとローライ35初期型の幅は同じ
色の関係なのかクラシックの方が少し大きく見えるけれど、実際の幅は同じである。

ローライ35クラシックとローライ35初期型の上面
クラシックはアクセサリーシューがあり、フィルム巻上げレバーから露出計窓・シャッターボタンへとわずかな段差が繋がっている。
 最初期型はレンズ沈胴ボタンがある代わりにアクセサリーシューが無く、段差も無くツルンとしててシンプルだ。

ローライ35クラシックとローライ35初期型の底面
底面は大幅に違う。クラシックはアクセサリーシューが無く、周辺部が一段低くなっていて、四隅近くにネジがあるし、フィルムカウンター回りの金属部品の配置が最初期型とは少し違う。
 最初期型はアクセサリーシューが右側にあり、全体的に段差が少ない。特に注目したいのは裏蓋開閉レバーがホームベース型で滑り止めに長方形のギザギザが入っている。
# サイトによっては「樽型」と表現していたりするようだ。
最初期型以外はシリーズを通してこのレバーの形状は同じである。
 レンズを引き出した状態だと、その差が結構大きいことが判る。クラシックにはレンズ先端部には文字は何も入っていないが、最初期型はメートル単位の距離目盛が入っていて、上側にはフィート単位の目盛りになっている。輸出先が米国なので目に付き易い上側の距離目盛をフィートにしたんだろう。

ローライ35クラシックとローライ35初期型のレンズ比較
クラシックの方が半段明るいレンズなのに、長さも太さも最初期型のテッサーより小さい。
 テッサーがレンズ後群固定で前群を動かしてピント合わせする構造で小型化できなかったのに対して、ゾナーはレンズ全体を前後に動かしてピンと合わせする構造で一体化できることから更なる小型化が可能になったのでは?と思う。

ローライ35クラシックとローライ35初期型の内部
裏蓋を開けると構造は殆ど同じだが、アクセサリーシューの配線の有無が関係するのかクラシックの方が本体底面の厚みがほんの少しだけ少し薄い。

ローライ35クラシックとローライ35初期型
フィルム押さえを開くとレンズが見える。どちらも構造は殆ど同じだが、最初期型の方がレンズ鏡胴の反射防止スリット(黒い同心円状の段差)の数が多い。それ以外にも、細かく見るとレンズを引き出して固定する時の金具の形状が微妙に違ったりしている。
 細かく観察すると、案外違う部分が多いなぁ。

 ガラゲー(携帯電話)で撮影したので画像は粗いが、現在使っているデジカメG7Xと比べてみると、G7Xの方が厚みが少し多い以外は殆ど変わらない。
ローライ35クラシックとローライ35初期型とG7X
タバコの箱と比べると幅はほぼ同じで、高さと厚みが少し多い程度。ポケットに入るサイズとしてはこの辺がギリギリだろうね。

 序に、以前持っていたシンガポール製と最初期型を比べた画像が残っていたので、序に掲載しておこう。どの画像も右側・下側がドイツ製最初期型、左側・上側がシンガポール製の比較的初期の物である。
シンガポール製ローライ35とドイツ製最初期型:前面
最初期型のレンズはカールツァイス製なのに対し、シンガポール製はローライ製。このシンガポール製は比較的初期のものなので、HFTコーティングは施されていない。

シンガポール製ローライ35とドイツ製最初期型:上面
シンガポール製の距離表示がメートル単位なのに対し、米国輸出モデルの最初期型はフィート単位になっている。違いはそれだけだ。

シンガポール製ローライ35とドイツ製最初期型:底面
距離表示と裏蓋開閉レバーの形状の違い以外はほぼ同じ。細かい事を言えば、絞りダイヤルを固定するレバーは最初期型が艶消しなのに対し、シンガポール製はメッキでツルツルであること、開閉レバーの形状の違いによって周囲の段差の形状が違うこと、の2点が相違点だ。

シンガポール製ローライ35とドイツ製最初期型:中側
内部の構造は全くの同一である。

シンガポール製ローライ35とドイツ製最初期型:中側でレンズが見える状態
レンズ部も同一だが、製造過程の違いからなのか一部の部品の色付けに違う部分がある。

 シンガポール製とドイツ製最初期型は、外見には殆ど差が無いものの、実際に使ってみると感触はだいぶ違う。同時に操作して比べると判るけれど、最初期型の方が全体的に動作に遊びが無くカッチリしてて「内部は金属で出来ていますっ!」という感じ。勿論シンガポール製でも正常に動く物はカッチリした動きなのだけど、最初期型と比べると少し曖昧さが感じられるのだ。
 最も違いが良く分かるのはフィルム巻上げレバーを動かす時で、動かした時の音は最初期型の方はギアが噛み合う「ギリギリギリ」という音が細かくて、しかも滑らか。巻き上げレバーに繋がる内部のギアの歯数が多いからだろうと思う。
# 分解して中を見た訳ではないので、あくまでも推測でのお話ですヨ。
なお、違いは音と操作の感触程度で、巻き上げ時の重さは変わらない。

 オガワカメラサービスで聞いた話では、ローライ35の最初期型以外は内部に樹脂部品が多く使われているのだそう。軽量化やコスト削減の為だと思われるが、樹脂部品は経年劣化が避けられないので「壊れたら修理はほぼ無理」なのだそう。B35などは内部の殆どが樹脂部品で「費用を掛けて修理する価値は無い」そうだ。

 ローライ35シリーズは今も人気のある機種らしくて、ネット上でも店舗でも良く見かける。拙者にとっても、ハッセルブラッドに次いで持ち出す機会の多いカメラでもある。
 でも、使っている人って不思議と見かけたこと無いなぁ。(笑)
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