ローランドJP-8000の修理(その1) [電子回路]
先日、アナログモデリングシンセJP-8000が我が家にやって来た。
子供に頼まれて購入したものだが、少々難ありということで随分と安く手に入った。
この機種の発売は1996年、「衝撃」という言葉を使って盛んに宣伝してて、ケン・イシイの非売品CDが漏れなく付いてくるというのが売りだったような気がする。しかし、定価15万8千円と高額だったからか拙者の周りでは全く見かけず、プロミュージシャンでも使っている人は案外少なかったような記憶がある。
「難あり」の中身は、ラインアウトから全く音が出ない、ヘッドフォンアウトも音量を一寸上げると音が割れてしまう、という2点。製造元のローランドは既に修理を受けて受けていないけれど「出力部の故障なら自分で直せる」と考えた。
まず、本体をひっくり返すと、底面に21本のネジが見える。
ネジを外すと、MDFの板が外れて中の基板が見える。
音声出力は左下の小さな基板だ。
この基板の左隣には、周囲を金属板で遮蔽された電源回路がある。
基板上の面積を節約するためなのか、現在では滅多に見かけないSIPタイプのオペアンプが使われている。
# SIP:Single Inline Package、SIL(Single-In-Line)とも呼ぶ。
片方はµPC4570HAが使われている。
もう片方はM5218ALだ。
オペアンプ群の隣にはMIDI関係の回路が乗っている。
MIDI信号は31.25Kbpsで一応可聴音域外だからか、同一基板上に混在していても今のところ問題は感じない。
オペアンプ2つのデータシートを調べてみるとどちらも一般的な4558タイプの改良版だから、普通のDIPタイプに変換する基板を自作すればわざわざSIPタイプを探さなくても済みそうだ。
# DIP:Dual Inline Package。所謂「ムカデ型IC」のこと。
9月28日、秋雨の晴れ間を狙って大須・アメ横に部品を買い出しに行ってきた。帰る途中、TLR200で国道22を走っていたら前方に黒い煙が上がっているので「何だろう?」と近づいたら、コンビニの駐車場で古いトラックの荷物が燃えていた。
どうして燃えたのかは知らないが、ドライバーは大丈夫だったんだろうか?
レストア中のGA-7用の部品も序に買ったので、部品点数が多くなった。
買ったのはJRC4558DDとJRC4560Dの2つ。
本来なら4558ではなくてもっとスルーレートの高いものを使うべきだろうが、今回はとりあえず音が出るように修理するのが目的なので、安価な4558を使う。オーディオ出力に4558を使と音がガサツになりがちであまり良くないので、修理が完了した時点で別の高性能オペアンプに取り換えることも考えている。4558なら他に使い道は幾らでもあるからね。
もう一つを4560にしたのは、M5218ALは出力が50mAまで取り出せる高出力タイプで、4558では出力不足だから。M5218ALのスルーレートは3V/µSなのに対して4560は4V/µSで、こちらはそのままでも問題は無い筈。
作業に取り掛かろうとして「そういえば、何で音声出力が駄目になったんだろう?」と気になった。ネット上を漁ると、同じような症状が出ている物をちょくちょく見かける。
オペアンプの故障だけなら取り換えれば済むけれど、何故故障したのかが問題だ。同じ症状が他でも出ているのでオペアンプのロット不良に当たってしまったのかも知れないが、電源部に問題があってオペアンプが故障することだってある。
試しにオペアンプの電源ピンをオシロスコープで測ってみたけれど、15Vの直流電圧がかかっているだけで問題は無さそう。「でも、念の為に」と直流分をカットして波形を見たら、意外なものが見えてきた。
何やら怪しげな三角波が見える。拡大すると、こんな感じ。
500kHz前後で発振しているような波形だ。電圧はピークToピークで8.5mVほど。これがどう影響するのかは分からないけれど、高周波が電源に乗ってて良いとは思えない。こりゃぁ電源回路も調べる方が良さそうだな...。
(続く)
子供に頼まれて購入したものだが、少々難ありということで随分と安く手に入った。
この機種の発売は1996年、「衝撃」という言葉を使って盛んに宣伝してて、ケン・イシイの非売品CDが漏れなく付いてくるというのが売りだったような気がする。しかし、定価15万8千円と高額だったからか拙者の周りでは全く見かけず、プロミュージシャンでも使っている人は案外少なかったような記憶がある。
「難あり」の中身は、ラインアウトから全く音が出ない、ヘッドフォンアウトも音量を一寸上げると音が割れてしまう、という2点。製造元のローランドは既に修理を受けて受けていないけれど「出力部の故障なら自分で直せる」と考えた。
まず、本体をひっくり返すと、底面に21本のネジが見える。
ネジを外すと、MDFの板が外れて中の基板が見える。
音声出力は左下の小さな基板だ。
この基板の左隣には、周囲を金属板で遮蔽された電源回路がある。
基板上の面積を節約するためなのか、現在では滅多に見かけないSIPタイプのオペアンプが使われている。
# SIP:Single Inline Package、SIL(Single-In-Line)とも呼ぶ。
片方はµPC4570HAが使われている。
もう片方はM5218ALだ。
オペアンプ群の隣にはMIDI関係の回路が乗っている。
MIDI信号は31.25Kbpsで一応可聴音域外だからか、同一基板上に混在していても今のところ問題は感じない。
オペアンプ2つのデータシートを調べてみるとどちらも一般的な4558タイプの改良版だから、普通のDIPタイプに変換する基板を自作すればわざわざSIPタイプを探さなくても済みそうだ。
# DIP:Dual Inline Package。所謂「ムカデ型IC」のこと。
9月28日、秋雨の晴れ間を狙って大須・アメ横に部品を買い出しに行ってきた。帰る途中、TLR200で国道22を走っていたら前方に黒い煙が上がっているので「何だろう?」と近づいたら、コンビニの駐車場で古いトラックの荷物が燃えていた。
どうして燃えたのかは知らないが、ドライバーは大丈夫だったんだろうか?
レストア中のGA-7用の部品も序に買ったので、部品点数が多くなった。
買ったのはJRC4558DDとJRC4560Dの2つ。
本来なら4558ではなくてもっとスルーレートの高いものを使うべきだろうが、今回はとりあえず音が出るように修理するのが目的なので、安価な4558を使う。オーディオ出力に4558を使と音がガサツになりがちであまり良くないので、修理が完了した時点で別の高性能オペアンプに取り換えることも考えている。4558なら他に使い道は幾らでもあるからね。
もう一つを4560にしたのは、M5218ALは出力が50mAまで取り出せる高出力タイプで、4558では出力不足だから。M5218ALのスルーレートは3V/µSなのに対して4560は4V/µSで、こちらはそのままでも問題は無い筈。
作業に取り掛かろうとして「そういえば、何で音声出力が駄目になったんだろう?」と気になった。ネット上を漁ると、同じような症状が出ている物をちょくちょく見かける。
オペアンプの故障だけなら取り換えれば済むけれど、何故故障したのかが問題だ。同じ症状が他でも出ているのでオペアンプのロット不良に当たってしまったのかも知れないが、電源部に問題があってオペアンプが故障することだってある。
試しにオペアンプの電源ピンをオシロスコープで測ってみたけれど、15Vの直流電圧がかかっているだけで問題は無さそう。「でも、念の為に」と直流分をカットして波形を見たら、意外なものが見えてきた。
何やら怪しげな三角波が見える。拡大すると、こんな感じ。
500kHz前後で発振しているような波形だ。電圧はピークToピークで8.5mVほど。これがどう影響するのかは分からないけれど、高周波が電源に乗ってて良いとは思えない。こりゃぁ電源回路も調べる方が良さそうだな...。
(続く)
こんにちは!
あまり遭遇したくない火事場。
ずいぶんと火勢が凄いですね!
by Take-Zee (2016-10-04 13:34)
Take-Zeeさん
コンビニ駐車場の入り口で燃えていたので、恐らく走行中出火に気が付いて停めたのだと思いますが、時折爆発音がして派手な燃え方でした。
by Rifle (2016-10-04 17:14)