SSブログ

グレコLS-120CSのレストア(その1) [音楽]

 少し前に我が家にやって来たGreco(グレコ)のL-5Sコピーモデル、LS-120CRS。
GrecoのL-5SコピーモデルLS-120CRS
片方のピックアップから音が出ない状態だったので格安で入手できた。
 1988年当時、楽器店で見せて貰ったグレコのカタログでこのモデルの存在を知ったが当時の定価は12万円!、とてもじゃないけど買えるような金額では無かったら「ふーん、L-5Sの忠実コピーモデルを作ったんだ...」という程度にしか感じなかった。

 時が流れてベースだけでなく(弾けないくせに)ギターにも興味を持つようになり、一時はオークションにはまり込んで自分の部屋に30本以上のエレキギターが並ぶほどになった。その頃は同時進行でカメラ機材も極端に増殖していて、レンズ100本近くにボディが十数台という状態だった。
 当時は残業に次ぐ残業、今でいう「ブラック」な職場環境で土日の休みは睡眠不足を取り戻すのが精一杯。知らず知らずのうちにストレスを溜めていて、それでギターやらカメラやらを買い漁っていたように思う。今持っている本家GibsonのグリーンカラーLesPaulもこの時期に手に入れた。L-5Sも欲しくて探し回ったけれど、本家Gibsonは中古が殆ど出て来ず、出て来ても凄まじい金額で手を出せない。結局入手できないままになっていた。
 買い漁り始めて7年ほどの間に物を置く場所どころか自分の部屋の中を歩くのも難しいという状態となっていった。部屋の中は段ボールやらカメラやらギターやらベースやらがあちこちに立てかけてあったり並べてあったりで、窓際に置いてある机と部屋のドアを結ぶ細い隙間を、何かを踏まないように注意しながら歩いて進むのがやっとという有様。そんな時、阪神大震災が起きた。

 震災当時の自宅は震度4、幸いギターを始めとする音楽機材やカメラ機材に被害は無かったけれど、「もし自宅が激しく揺れていたら?」と考えると空恐ろしくなった。
 震災を機に改めて自分に本当に必要な物は何か?と見つめ直し、「今後使うかも知れない」という物も含めて使わない機材は全て手放した。苦労して手に入れた物ばかりだから断ち切れぬ思いは計り知れなかったが、「使われないまま放置されるのは不幸だ!」と自分に言い聞かせ、後ろ髪を引かれつつも全て売り払った。

 長い間殆ど忘れていたけれど、数年前に海外のオークションでLS-120CRSを見かけて以来、再び気になっていった。本家レスポールは手元に残したけれど、それでもL-5Sが気になる。「ボディもネックも全てメイプルってどんな音?」という単純な疑問と、そのルックスに惹かれていたのである。
 そんな時、「問題有り」でオークションにコイツが出て来たのである。
 ピックアップの一つ死んでいる為か応札者は意外に少なく、十分納得できる金額で目出たく落札となった。大雑把な仕様は以下の通り。
モデル名LS-120CRS(チェリーサンバーストの略?)
生産時期1988年
ボディ材トップ:メイプル2ピース
センター:メイプル2ピース
バック:メイプル2ピース
ネック材メイプル3ピース
指板材エボニー
フレット数22
ネックジョイントセットネック
ピックアップGreco Dry×2
ピックアップ構成HH


 ヘッドのインレイはフラワーポットだが、本家Gibsonとは少々異なる。
インレイはフラワーポット
ヘッド裏を見るとシリアル番号が刻印されている。
ヘッド裏のシリアル番号
シリアル番号の読み方のサイトに書かれた情報から読み解くと「1988年9月の2667番目に製造されたギター」となる。
 ネックはほぼ真っすぐだが、フィンガーボードもフレットも汚れている。
フィンガーボードもフレットも汚れている
ネックはメイプル3ピースで、勿論セットネックだ。
メイプル3ピースのセットネック
メイプルは重い木材だからか、ボディの厚みはLesPaulの半分ほどしかない。
ボディの厚みはかなり薄い
ボディはオールメイプル。まだ杢目には無頓着な時代のギターだが、奇麗に揃った杢目が出ている。
オールメイプルで杢目が奇麗なボディトップ
ボディバックの座繰りはメイプル材の蓋になっている。
メイプル材の蓋
カーブに合わせて蓋も削ってあって、手の込んだ作りになっている。
 張ってあった弦は酷く錆びていた。
弦は錆サビ
保管状態は決して良くは無かったようだ。

 弦を外してフレットをコンパウンドで磨く。画像左が磨く前、右が磨いた後だ。
フレットを磨く前(左)と磨いた後(右)
古びている割には窪みや傷などは見当たらないので、激しい使い方はされていななかったらしい。全部のフレットを磨いたら、一寸奇麗になった。
フレット全部を磨き終わったところ
フィンガーボードをレモンオイルで掃除する。
フィンガーボードをレモンオイルで掃除する
一ヶ所に付き最低でも7回ほど掃除しないと黒い汚れが布切れに付いてくるほど酷く汚れていた。
 ヘッド部も汚れが溜まっている。
汚れの溜まったヘッド部
ペグを外す。
ペグを外したところ
レモンオイルで掃除すると、少し奇麗になった。
ヘッドをレモンオイルで掃除したところ
外したペグは、全体的に錆びが多い。
錆びの多いペグ
試しにマイナスドライバーで錆を落としてみた(画像右)が、苦労した割には奇麗にならない。
ペグの錆を落とす前(左)と落とした後(右)
ツマミの頭も少し錆びている。
ツマミの頭も少し錆びている
ブリッジも金色の塗装が薄くなっている。リアピックアップカバーも、錆をマイナスドライバーで落としてもこんな状態だ。
ブリッジとリアピックアップカバーも傷んでいる
ブリッジ裏側には「L5.S」とモデル名が入っている。
ブリッジ裏にモデル名が入っている
テールピースも半分錆を落としたが、ご覧の通り状態は決して良くない。
テールピースも錆びている
外して見たら、真ん中の十字状の部品はネジ止めされていた。
十字状の部品はネジ止め
座繰りの内部は一般的な回路になっている。
一般的な回路部
よく見ると、リアピックアップ用トーン回路のコンデンサは足が千切れている。
リアトーン用コンデンサは足が千切れている
トーンボリウムの固定が甘くて少し回ってしまうので、恐らくトーンを回した時に引っ張られて千切れたんだろう。
 フロントピックアップを固定するエスカッションのネジは長さが違う。
フロントのエスカッションのネジは長さがそれぞれ違う
ピックアップの直流抵抗値は7.33kΩ、出力を稼いでいない一般的なハムバッカーの値になっている。
フロントピックアップの抵抗値は標準的なもの

 リアピックアップのエスカッション固定ネジは全て同じ長さ。
リアエスカッションのネジの長さは皆同じ
リアは抵抗値を測定しても無限大。
リアピックアップは導通が無い
内部で断線しているようだ。これでは音は出ない。更に分解してみる。ピックアップカバーを固定するハンダ付けを緩めて大半を吸い取り、取り切れない分はカッターナイフで切った。
ハンダをカッターで切ってカバーを外す
外すと内部はロウまみれ。
内部はロウまみれ
コイルボビンを単体でロウ漬けするのではなく、ピックアップ組み立て後にロウ漬けしていたようだ。
 コイル二つは配線で繋いでハムバッカーにしてある。
コイル接続の配線部
片方のコイルは生きているけれど、
コイルの片方は生きている
もう一方は断線している。
もう一方は断線している
配線をあちこちチェックしたけれど、やはり内部で断線しているようだ。これでは修理は不可能、諦めて他のピックアップを取り付ける他無い。DRYピックアップはオークションにはなかなか出てこないし、出て来ても結構なお値段になってしまう。とりあえずはオリジナルに拘らず、直流抵抗値が8kΩ辺りの物を探すことにする。

 全体的に木部には傷が多いけれど、あまり汚れていない。しかし、金属部分は金色のメッキ部の劣化が激しくて、放置すれば更に進行してしまいそう。NeverDull(ネバーダル:金属磨き)で磨くと金色塗装が剥げてしまうが、そうしないと錆は落とせない。下手すりゃ部品は再メッキとなるかも知れない。こいつぁ手強いぞ...

続く
nice!(16)  コメント(4) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 16

コメント 4

MINERVA

写真を拝見しただけですが、見た目の感じは良さそうだと思いました。
金属部の錆への対応とピックアップ交換が大変であると思われますが、やり甲斐がありますね。
復活した姿を拝見出来る事、楽しみにして降ります。
頑張ってください。
by MINERVA (2018-03-28 12:56) 

Rifle

MINERVAさん
金属部の錆メッキの下にまでは及んでいないので、まぁなんとかなりそうです。
ピックアップはキャビティやエスカッションのサイズ制限があるので、探すのに手間がかかるかも。
どちらもかなり時間が掛かりそうですが、出来上がりが今から楽しみです。
by Rifle (2018-03-28 13:31) 

みうさぎ

マニアにはたまらない代物なんでしょうねっ
仕上げは~楽しみですねっ
大分頑張って身売りして
いった先で
可愛いがられてますよっ~

by みうさぎ (2018-03-28 19:03) 

Rifle

みうさぎさん
ネット上を探ると、意外とレアな物らしいです。
仕上げ完了までかなりかかりそうですが、その分楽しめそうです。(笑&汗)
by Rifle (2018-03-28 19:48) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。