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音楽機材用ヘッドホンアンプの作成(その3:BTL接続を試す) [電子回路]

前回からの続き)

 前回(2015年末)の記事を出してから間もなく、音楽に関する環境が変わったり、他にも色々あったりして、その後マルチチャネルのヘッドフォンアンプは必要なくなってしまった。
 しかし、最近になって「単純に音を確認したい時に使えるアンプが無い」という事に気が付いた。グヤトーンのギターアンプFLIP300FCの修理の時にもLM386のBTL接続を試してみたけれど上手くは行かず、その後そのままになっていた。
 先日、ネット上でLM386絡みの回路を見かけて刺激された事もあり、久し振りに簡単な動作テストをしてみる事に。

 部品箱からLM386を2個取り出す。
テストに使うLM386
まずはネット上で見かけたBTL接続の回路を組んでみた。
LM386BTL接続その1
LM386を1個使う普通の回路にもう1個足しただけというシンプルな回路だ。ブレッドボードに組んでエレキギターを直接接続してテストしてみた。

 理論上はスピーカに直流電圧成分は流れない筈なんだけど、実際には製造誤差やらなんやらで直流成分が少し出てしまう。スピーカの端子にデジタルテスターを当てて、スピーカに掛かる直流電圧を測る。
 まず、ギター側のボリュームをゼロにした状態だと-90mVと出た。
漏れ電圧は-90mV
次に、ギターを激しくかき鳴らして最大音量を保った状態にしたら、-200mV一寸となった。
漏れ電圧は-0.2V強
スピーカは8Ωだから、流れる直流電流は3mA弱となる計算だ。この程度ならスピーカが壊れてしまうような事は無い。
 しかし、スピーカは直流電圧をかけない前提の部品だし、設計時に必ず回避するレベルの話なので、最悪壊れてもよいスピーカだけ使うようにする方が良さそう。

 もう一つ、グヤトーンのアンプ修理時にテストした回路と似た回路がネット上に出ていたので、そちらも試してみた。
LM386BTL接続その2
こちらは入力に関係なく常時-4V前後の電圧がスピーカに掛かるので、撮影せず直ぐ止めた。(汗)
 何故そうなるのか?...片方の入力は信号源(今回はエレキギター)に繋がっているけれど、もう片方は入力同士が繋がっているだけで信号源にもアースにも繋がっていない。言い方を変えると、未接続で浮いた状態になっている。未接続となると、回路内部で発生した電圧がそのまま入力の代わりに加わる形となり、その結果大きな直流電圧が出力側に出たのでは?と思う。
 いずれにしても、この回路は使えそうにない。

 ちなみに、LM386のデータシートでは、BTL接続に関する内容は一切無い。ICの設計段階で考慮されていないのかも知れない。
 一寸使う為に作るアンプにBTL接続は大袈裟過ぎるような気もするけれど、大容量コンデンサが不要となるのが魅力なのである。電源投入時の突貫電流を減らせるし、大きなコンデンサの場所に悩む必要も無くなる。
 手持ちのLM386だとBTL接続でも最大出力は0.65Wしか出せないが、大音量を望んでいる訳ではないから構わない。

 更に、1番ピンと8番ピンに10μFのコンデンサを入れると、
# データシートに依れば、増幅率が200倍となる。
思った通りエレキギターの音がハードディストーション・サウンドになった。
# ま、当然だな。
 しかし、コンデンサによっては音がおかしくなる時がある。「何で?」と思い、保管している10μFの中古コンデンサ全てをチェックしてみた。すると、1/3ほどのコンデンサはESR(等価直列抵抗)が大幅に上昇していた。
ESRの値が悪かったコンデンサ
部品の寿命なので、廃棄する事に。

 BTL接続については、今回の実験で目途が付いた。
 更に欲張るのであれば、BTL接続のまま(LM380革命アンプのような)負帰還を掛けたいけれど、どこに接続するのかが分からないので、調査研究する必要がありそう...ん?その前に「普通に音出しで使えるスピーカー」が必要という気もするなぁ。(汗)

(続く...たぶんね^^;




タグ:LM386 BTL接続
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