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アリアプロ2のセミアコSH-1000の簡単な調整(その4:電気系統を外す) [音楽]

前回からの続き)

 ピックアップや回路は、配線が多い事もあってギター本体に載せたままではどうも調べ難い。幸い、ピックアップの配線が長いので、思い切ってピックアップの線とブリッジに繋がるアース線を切断、回路全体を取り出した。
取り出した回路
ギター側には電気系統は一切残っていない。
電気系統を取り外した後
電気系統を取り外した後
ピックアップ・エスカッションのネジが、フロントはシルバー・リアはブラックで、色が違う。
ネジの色がフロントとリアで違う
オリジナルはブラックの筈だから、フロントは何らかの理由で交換されたみたいだ。
 カットしたピックアップの配線の被覆を改めて剥く。
線の被覆を剥く
テスターで配線の状態を調べる。アースはピックアップ胴体の金属部分と繋がっている。
筐体と網線は導通がある
だから、網線は正常だ。次に、肝心要のピックアップの信号線を測ると、何と抵抗が無限大。
ピックアップ信号出力の抵抗が無限大
リアピックアップも同様、無限大で導通が無い。
リアピックアップも導通が無い
これだけを見ると、両方が内部で断線しているように見える。
 本当に断線しているのなら何をやっても音は出ない筈だが、小さいながらも一応音は出ていた。だから、少なくとも断線ではない。ひょっとしたらBBサーキットが電源を供給しているアクティブ・タイプのかも知れない。

 そこで、BBサーキットを色々調べたら、電源のプラス側と、ピックアップのマイナス側は繋がっている事が判明。
電池のプラスとピックアップのマイナス側は繋がっている
やはり、BBサーキットから電源を供給する構造のようだ。これなら、ピックアップ単体では導通が無いのも頷ける。だからこそ、ピックアップの型番が「MH-1E」と、末尾に「E」が付いているののかも知れない。
 あくまでも想像だが、このピックアップはファンタム電源を使うマイクのような仕組みになっていると思われる。となると、BBサーキットだけを取り出して幾らテストしても、まともに動かないという事も十分あり得る。
 今まで調べた結果を鑑みると、BBサーキットが何かしら不具合を起こしていてギターの音が異様に小さいという結果になっているように思う。そこから遡って考えてみる。

 9V電池を2個使うというのはオペアンプを使う回路では常套手段だ。
 また、アリアのカタログでは、スイッチ切替で「ソリッド/ノーマル/アクースティックのサウンドが得られる」と書かれている事から、オペアンプのフィードバック部にフィルターを入れて高音域の量をコントロールしている事が読み取れる。となると...LF356かLM308辺りの「それなりに(スルーレートの高い)高価格帯のオペアンプ」を使って、広域の出具合をスイッチで切り替えられるようにした回路を入れた、という感じなのでは?と思う。
 当時はフュージョン全盛期、攻撃的なサウンドを出すシンセサイザーに対抗できる「抜けの良いギター」の音が求められていた時代である。
# だからこそ、ベースもチョッパーが流行った訳で。
企画販売元の新井貿易も国内外の色んなプロに意見を求めて設計していただろうから、今では少々陳腐に感じる部分も無い訳ではないが、この回路の設定には十分に納得が行く。

 このピックアックを活かす為に改めて4580DDや5532辺りを使った回路を設計しても良いのだけれど、ピックアップの素性が分からないだけに、回路とのマッチング以上に音のチューニングに苦労しそうな気もする。
 とりあえずはピックアップも含めた回路全体を新たに用意する方が手っ取り早いし、確実に音が出せるようになりそう。簡単に原状復帰できるように、現在の回路は温存しておく事にする。よーするに、手を加えずそのままチャック付きクリアパックに入れて保管、という事だ。(笑)
旧回路はそのまま温存する
そうなると、ピックアップも含めて回路を構成する部品全て調達しなきゃならん!という事になるのだが...。(汗)

(続く)
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