SSブログ

ヤマハのギターアンプF100-212の簡単なオーバーホール(その4:修理完了!) [音楽]

前回からの続き)

 完成した配線図と実際の回路を見比べると、「あっ、ここが違う」「おっ、ここも違う」など、間違いがあちこちに見つかる。「これって、基板の配線を読み違えてる?」
 確かに、基板を撮影してモノクロ化した画像をそのまま印刷して書き込んだのでかなり見難くて「え?」「あ?」「お?」と何度も基板と見比べていたから、見間違えてもおかしくはない。でっ、モノクロ化した画像を徹底的に手で修正、更にジャンパー線なども書き込んで見易い基板図を作成した。
作成し直した基板図
ここに、実際の基板を見ながら部品を書き込んだ。
基板上の部品を書き込んだところ
これを見ながら、改めて回路図を見直して修正、ようやく回路図が正確な物となった。
 正確な回路図を見ながらあちこちを見て行くと、それまで不思議だった「何でこんな所に高価なタンタルコン(タンタルコンデンサ)が使われてるの?」とか、
基板上のタンタルコンデンサ2個
「どうしてこういう部品選定なの?」という素朴な疑問が次々と「あぁ、そういう事か」と氷解して行った。

 回路図を元にAチャンネルが動かない原因をテスターを当てながら探って行く。主にトランジスタのベース端子の電圧を測ってトランジスタの動きをチェックしていくと、細長い基板にある2SC1509の動作がおかしい事に気が付いた。具体的には、ベースの電圧を変えてもコレクタ側の電圧が変わらないのである。トランジスタはベースを流れる電流によって制御されるので、変わらないのはどう考えてもおかしい。そのトランジスタを外して自作FETチェッカで調べてみたら、やっぱり壊れていた。
壊れていたトランジスタ2SC1509
「代わりになるトランジスタってあったっけ?」部品箱を漁ったら、何から取り外したのかは覚えていないけれど、同じ2SC1509が1本だけ出てきた。
部品箱に在った2SC1509
早速このトランジスタを基板に取り付けて動作を確認すると、アンプのAチャンネルからギターの音が出て来る。「よしっ!これで直ったぞ。」筐体に元通り組み付けて完成である。
修理が終わったF100-212

 回路図作成で随分と時間が掛かってしまい、「簡単な」では終わらなかったけれど、何とか直す事が出来た。また、直す為に内部配線や色んな部品を見る事で、当時の設計者が恐らくは考えていたであろうと事も段々と推測できるようになった。

 F100-212は当時のヤマハの最高機種で、トランジスタアンプでありながらもトランジスタ臭さを感じさせず、どのスタジオでも「常備品」として「あって当たり前」だった製品だから、
# 今はローランドのJazz ChorusとマーシャルのJCMが定番らしいけど、
 今なお常設しているスタジオも多いようで。

音色だけでなく、部品の特性や耐久性・修理のし易さなど色々な点が考慮されていたと考えられる。回路図と当時の部品性能を鑑みつつ基板をじっくりと見ながめると、当時の技術者の情熱と技術力の凄さが浮かび上がって来るかのようだ。
 今回の修理でノウハウと言う程ではないにしても、ある程度の知識が得られたのはとても大きかった。このアンプにはこれからも末永く活躍して貰おう。

(完)
タグ:F100-212
nice!(34)  コメント(2) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 34

コメント 2

middrinn

ついに直りましたねぇヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪
この基板図を基に新しいのが作れるのでは(⌒~⌒)
by middrinn (2019-06-14 06:58) 

Rifle

middrinnさん
はい、よーやく直せました。(^^;)
使われているトランジスタが全て廃番なので、同じ物を作るのは難しいですねー。代替品のトランジスタを使えば良いんですけど、そうすると音は変わっちゃうでしょうし、そもそも幾らかかるのやら...??
by Rifle (2019-06-17 17:24) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。