SSブログ

積読整理3 [雑感]

 随分前に積読整理をしたのだが、整理したものの結局積読(笑)になっていた中から、オーディオ関係ばかり3冊読んだので、その印象を書いておこう。

 まずは、千葉憲昭氏の「オーディオ常識のウソ・マコト」(講談社BLUE BACKS)である。
IMG_3176-s.JPG
薄い本なので、全部読むのには2時間もあれば十分だろう。
 内容は、技術的な基礎の無いオーディオマニアが必ずと言って良いほど陥る「物量投入・高額オーディオ」という落とし穴について、とても分かり易く解説している。無酸素銅線、A級アンプや真空管など、オーディオ関係の文章で必ず出くわす単語も漏れなく取り上げられている。
 ただ、一寸残念なのは1994年が初版なので、今はあまり使われていないカセットテープやMDなどが現役の機材として書かれている点である。
 内容が少し古めではあるものの、オーディオをこれから始めようとする人や、オーディオについて周囲にオーディオ関連技術者が居なくて指南書が欲しいという人にお勧めである。

 次は、加銅鉄平氏の「上級に進むためのオーディオ再生技術」(誠文堂新光社)である。
IMG_3175-s.JPG
 こちらは、ある程度オーディオの経験がある人向けという感じの内容で、スピーカのエンクロージャやリスニングルーム設計など、やや突っ込んだ記述が多い。
 しかし、数式などは極力使わないで解説されているし、 時流に左右されやすい録音機器には一切触れず、アンプやスピーカといった普遍的な機器について取り上げているので、内容としては万人向きで、じっくり読めばオーディオ初心者でも理解できると思う。

 3つ目は、坂本真一氏と蘆原郁氏の「音楽が10倍楽しくなる!サウンドとオーディオ技術の基礎知識」(リットーミュージック)である。
IMG_3174-s.JPG
 こちらは前の2冊とはかなり方向性の違い、オーディオ機器に関する規格の技術的な解説と、「聴こえ方」という人間の能力・感情にも一歩踏み込んでおり、特にオージオグラム(オーディオグラム、audiogram)に言及している辺りは白眉である。内容が内容だけに初心者向けとは言えず、オーディオに深入りしている人やエンジニアリング志向の人向けである。レコーディング時にも参考になる内容も含まれているので、バンドを組んでいる人なら一読しておく価値はあると思う。

 上記3冊に共通しているのは、著者が皆技術者という点である。だから、オーディオ評論家のような曖昧な表現は一切出てこない。それがとても好ましく感じられるのだ。
 それ故に一般受けし難い文章になっているとも言えるが、ブラインドテストを極端に嫌がるくせにオーディオ雑誌等で好き勝手なことを書き立てて大きな顔をしている連中よりは遥かに信頼できるし、再現性の高い内容ばかりだ。

 オーディオに大金をつぎ込む前なら、上記の本をしっかり読んで、自分なりに理解してからオーディオ機器を揃えても遅くないと思うし、余計な回り道や出費を回避できるだろう。
 なお、「オーディオはお金をかければ良い音になる」という幻覚に囚われている人、オーディオ評論家の言葉を鵜呑みにしている人、既にオーディオ機器に大金を注ぎ込んでしまった人などは、読むと反感を覚える内容ばかりだろうから、一切読まずに一所懸命オーディオメーカに高い金額を払い続ける方が「幸せ」かも知れない。(笑)
nice!(17)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 17

コメント 2

ブルル

非常に耳の痛い記事ですなぁ(笑)
最近は自宅試聴に舞い上がった感があり、
クールダウン中です(笑)
今ある環境でごちょごちょやっています。
by ブルル (2012-04-07 14:13) 

Rifle

ブルル さん

えっ?(笑)
オーディオは志向が違うだけで激しく対立するほど濃い分野ですから、
自分の信じる道を進む分には少なくとも問題は起きないかと。(笑)
by Rifle (2012-04-07 18:15) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました