栄村で撮影会（後編）

（前回より続く）
　夜明け頃に撮影に出る人もいたが、6/18はゆっくりと朝7時に起床、身支度をして7時半から朝食を頂く。

今日は朝から晴れていて、傘の必要は無さそう。荷物をまとめ出発の準備をしていたら、宿の猫が姿を現した。

猫にしてはかなり大きく、机から床へ飛び降りると「ドンッ」と音がする。かなりの体重がありそう。

　三輪プロ夫妻は今日は予定があるそうで、我々だけで8時半に出発して国道405を北上し、前倉橋で車を止めて撮影する。
# この橋の名前が表示されるのはmappleだけ。他の地図サイトでは橋の表示すらない。

ここだけでも沢山のカットが撮影できそうだが、キリがないので出発して次へと向かう。
　国道117まで戻り、道の駅を超えてトンネルを抜け、野々海高原へと向かう道に入るが、なんと「通行止」。そこに居合わせた工事関係者に「上がれる所まで行っても良いですけど、道には大穴があるので通れないでしょうね」と言われ、「じゃぁ、行ける所まで行ってみよう」と進めたものの、ほんの少し進んだ所で道に人がスッポリ入ってしまうほどの大穴が。「やっぱ駄目かーぁ」と諦めて来た道を戻り、昨日の午後に撮影したブナの森へと向かう。

　国道117から県道407、そして山へ入る道へと進み、同じ森だけど昨日とは少し違う場所から入るが、ここで12時になったので、日差しを避けて森の中で、宿で用意して貰ったおにぎりを頂く。皆さんは座って食べていたけれど、拙者は虫の多い場所に偶然陣取ってしまったのか、蟻やら何やらが上ってくるので、カメラウエストバッグの上におにぎりを置き、お行儀悪いが立ったまま頂いた。

おにぎりの内容は宿の方にお任せだったけれど、これが実に美味しい。
　食べ終わったら直ぐに撮影開始。ここは以前来た事のある場所だが、森の中は以前よりも綺麗になっている。何でも三輪プロが「荒れた森では誰も撮影に来ないよ」と助言し、村総出で片付けたのだそう。お陰で実に撮影し易くて有難い。

地面に太陽の光が当たる所には、ブナの小さな木が一杯生えている。また、漆の木も多く生えているので、触れてしまわぬよう気を付けながら歩き回って撮影する。

　帰宅する時間の事も考えて、14時過ぎに本日の撮影は終了、一旦道の駅「信越さかえ」まで戻る。ここでお土産を物色してから解散となった。
　帰りも昨日来た道をそのまま戻る。国道117を飯山方面へと進み、豊田飯山ICから高速道に入る。淡々と進んで更埴JCT・岡谷JCT・小牧JCTと進み、一宮ICで降りて自宅まで送って貰い、19時10分過ぎに無事到着。今回撮影したフィルムは120が7本だった。


　震災前に栄村へテスタロッサで行った時は、どの道も多少荒れている場所はあったが走れないほど酷い場所は無かった。ところが、今回走った道では「こりゃテスタロッサだと腹擦っちゃうよ」という場所が散在していた。近々天皇が視察されるとかであちこちで工事が進んでいるらしく、国道117なぞは大規模な補修が行われているが、かえって村民が利用する道の補修を遅らせてしまったりしていないだろうか？

震災で崩れた場所を補修した所が多く見られるが、応急処置的な感じで段差が残っていて、テスタロッサだと下を擦ってしまうかも知れない。

この画像のように、未だ補修が済んでいない所も多い。他にも、撮影は出来なかったが、余震で崩れ落ちてきたと思われる大きな岩石が道のあちこちにあり、国内メディアでは殆ど取り上げられることは無いが、震災の被害は見た目以上に深刻である。「震災で被害を受けたのは人工物だけ、自然には関係ない」なんて嘯いている人も存在するようだが、人間が暮らしている以上、震災の被害を無視することはできない。

　秋山郷へ向かうには一旦津南町へ出て国道405を経由する方が早く、その国道も山奥へ進むに連れて細くなる。

この画像は国道405の少し細くなった部分だが、場所によってはもっと狭い区間もある。道路を拡げようにも山肌に纏わり付くような道なので拡げるのは難しく、それが「秘境」たらしめる要因の一つでもある。
　かつてタレント出身の知事が政府の方針に反旗を翻して「まだ道路は必要だーっ！」と力説していたが、これは人口の少ない地域共通の悩みであろう。人口が少なければ産業や流通は規模が小さく、税収も大きくない為に道路を作る財源を確保できず、既存の道路を維持するだけで精一杯、国を頼ろうにも国道は規格がデカ過ぎて地方には非現実的、頼りたくても頼れないだろうし、なかなか悩ましい。

　栄村はまず震災からの復興が最優先だが、将来の青写真をどのように描くのか、という課題も同時に背負っているように思える。自分ひとりでは何も出来ないだろうが、応援していきたいと思う。
（完）

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