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ギターの修理(その3:直ったアレンビック) [電子回路]

前回からの続き)

 配線を追って実態配線図を作り、それを元に回路図を作成した。ピックアップの信号はまずオペアンプ1つのバッファーアンプに入り、その後オペアンプ2つを使ったフィルター回路を通って出力ジャックに繋がっている。スイッチで通常のトーン・コントロール(ハイカットフィルター)とバンドパスフィルターのフリケンシー・コントロールの2通りに切り替えるようになっている。
# 製品として世に出たものなので、回路図は掲載しません。悪しからず。A(^^;)
 バッファーやフィルターの回路そのものはオーソドックスなものだが、オペアンプのバイアス回路には赤いLEDを光らせるよう一工夫してあって「おぉ、これはよく考えられてるなぁ」と感心した。日本人だったら、こういう設計はしないだろうなぁ。

 作成した回路図を元に色々と調べてみる。ピックアップの代わりに5.6kΩの抵抗を接続して動かしてみたが、動作は正常でおかしな所は無いし、ノイズも通常の回路と同じレベル。問題になるような部分は全く無い。そこで、ギターに元通り収めて音を出してみると、普通に使える。酷いノイズも出ない。どうやら、本体側のアース接続用の銅箔が錆びていた為に、回路側とは接続されずにノイズが入り放題だったようだ。何だかとってもあっけないが、とにかく直ってしまったので、これで完成である。(笑)

 既に判っている方もあるだろうが一応紹介すると、このギターはAlembic(アレンビック)のDidtillate(ディスタレイトまたはディスティレイト)である。「Distillate」とは「蒸留物」という意味。メーカ名の「Alembic」も「蒸留器」という意味だから、それに沿った名前になっている。
アレンビックのギター・ディスティレイト
コントロールは、左のツマミが音量、右側がトーンまたはフィルターのフリケンシー・コントロール、左のスイッチがローブースト、真ん中がハイブースト、右がトーンとバンドパスフィルターの切り替えになっている。電源は9V積層電池で、ジャックに繋ぐと電源が入って赤いLEDが点灯する。
付属してきたハードケースにもメーカ名が入っている。
アレンビックの純正ハードケース
ヘッド部にはアレンビックのマークが入っている。
アレンビックのマークの入ったヘッド部
ネックはスルーネックだ。
アレンビック・ディスタレイトギターの裏側
ヘッド部からボディエンドまでを同じ材が貫いている。
アレンビック・ディスタレイトのヘッド部の模様
ヘッドの裏側の突板もわざわざ木の種類を変えているので模様のようになっている。
アレンビック・ディスタレイトギターの裏側の模様
24フレットの下にシリアル番号があり、それから推測すると、このギターは恐らく1981年の3本目の製造と思われる。ブラス製のカバーの中にトラスロッドが2本入っている。カバーの縁は磨いていないので茶色のままだ。ここも磨かなきゃね。
アレンビック・ディスタレイトギターのトラスロッドカバー
ブリッジも独自のものが使われている。この部分はメッキがかかっているらしいので、迂闊に磨けない。
アレンビック・ディスタレイトギターのブリッジ
古いものだけに、ウェザーチェック(塗装のヒビ)が全体に出ているが、使う分には全く問題無い。


 ディスタレイトはギターの他に4弦ベースもあり、80年代に日本向けに製造されたシリーズらしい。実際、国内では有名なギタリストやベーシストが使っているらしいが、国内の音楽事情には疎いので良く分からない。
 手持ちの機材で出てくる音は、全てのスイッチをオフにした状態だとテレキャスに中低域をほんの少し足したような感じ。
 ローブーストをONにするとレスポールのように少し太い音になるけれど、レスポールに似た音にはならない。
 ハイブーストをONにするブライトでとシャキッとしたサウンドになる。
 フィルターコントロールにしてフリケンシー・コントロールを動かすとワウペダルを動かしているような音になって面白いが、使いこなすのはかなり大変そうだ。

 さて、これでギターは直った。後は練習するだけ...だな。(滝汗)

(完)
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