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コルグM50の簡単なオーバーホール(その1) [音楽]

 数年前に中古で仕入れて来たKorgのシンセサイザーM50は子供に言わせると「高音部が劣化して丸くなっている。」
KORGのM50シンセサイザー
実際に聞いてみると、確かに高音成分が物足りなくて、なんとなくモコモコとした感じ。また、ボタンの反応がどれも悪くなっている、とも。
 この個体は裏側に凹みや擦り傷があちこちにあり、結構酷使されていたと思われる。製造から10年しか経過していないが、音声信号経路にある電解コンデンサはそれなりに劣化している筈。部品を調べて取り寄せ、修理に取り掛かる。

 裏のネジ全てを外して裏蓋を外すと基板が見えてくる。
裏蓋を外したところ
アナログ回路は出力ジャックのある部分に集中している。
アナログ回路の部分
古い電解コンデンサを外しにかかるが、普段使っている20Wの半田コテではどこのハンダも溶けない。アースの銅箔パターンが広いから熱容量が大きいというだけでは無さそう。ひょっとしたら鉛フリーのハンダを使っているのかも知れない。
 溶けないでは作業できないので、滅多に使わない60Wのコテ(左側の赤い方)を出してきた。
60Wのコテ(赤)と普段使っている20Wのコテ(青)
60Wだと流石に溶けたけれど、それでも一寸時間がかかる。

 オーディオ用(金色)は汎用(黒)よりも体積が一回り大きい。
オーディオ用は一回り大きい
狭い場所に沢山詰め込むのには苦労する。
狭い場所に大きなコンデンサを入れるのは一寸大変
高さが高くなると、あちこちに閊えて蓋が閉まらなくなったりする場合もある。
コンデンサの大きさの違いをよく考えておく
幸い、今回はギリギリ収まる高さだった。
 一通り交換したら、アナログ回路の作業はお終いである。
アナログ回路は作業完了
アナログ回路から線が伸びている先を追うと、電圧変換回路らしき基板があった。
電圧変換回路?
こちらも念の為に交換する。
コンデンサを交換し終えた基板
電解コンデンサの交換作業はこれで完了だ。

 次はボタン面の基板だ。
ボタン面の基板
黒い樹脂カバーは爪を軽く拡げるだけで簡単に外せた。とりあえず、ボタンの下にあるタクトスイッチ一つを外して観察する。
ボタン面の基板から外したタクトスイッチ
スイッチの構造は汎用品と同じだが、今まで見たことのない形状だ。上から蓋して固定するのではなく、側面の樹脂を上側にはみ出させて固定用の円い金属板を全周で固定している。要するに一体成形で作られているのだ。分解するには周囲を抑えている部分を切り取る以外にない。
固定している部分を全周に渡って切り取ったところ
切り取ってツマミを取り出すと、クリック感を作り出す金属板が見える。
ツマミを取り出したところ
この板を外すと、接点となる金属板が見える。
接点となる金属板が見える
その板も外すとリード線に繋がる接点が見える。どれも小さな部品だ。
完全に分解したところ
接点は表面が酸化していて、やや黄色っぽくなっている。
接点が酸化してて黄色になっている
NeverDull(金属磨き)で軽く磨くと奇麗になった。
接点を磨いたところ
接点を繋ぐ金属板は小さくて、少々磨き難い。
接点を繋ぐ金属板も酸化している
精密ドライバー(マイナス)で押さえながら、なんとか磨いた。
磨いた金属板
構成する部品全てを磨いたので、元通りに組み立てる。
元通りに組み立てたところ
問題無さそうに見えるが、実際には固定する金属板が本当に「載っているだけ」で、一寸触るだけでぐらついてしまう。この状態ではグルーガンなどで固定するのは難しい。
# 手が4本くらいあれば何とかなりそうだけど...
予想通り、分解修理は難しいと分かったので、テスト的に2個だけ取り寄せた汎用品のタクトスイッチ(黒い軸の方)を使う。
取り寄せてあったタクトスイッチ(黒軸)
基板上で足の幅を測る。
タクトスイッチの足の幅を基板上で確かめる
自作回路で使うICのようなインチ規格ではなく、チップ部品用のミリ規格になっているようだ。それに合わせて、足を加工する。
タクトスイッチのリード線を加工したところ
試しに2ヶ所取り付けて見た。ほんの少しずれているけれど、何とかなりそう。
ズレは僅か
ズレは僅か
樹脂カバーを取り付けて位置を確認する。元々付いているタクトスイッチは、当然の事ながらツマミの部分と樹脂カバーの位置がピッタリ合う。
タクトスイッチと樹脂部品の位置はぴったり合っている
汎用品だと半分近く右側にずれるが、押してみると普通に使えて違和感はない。
汎用品だと右にずれるが動作に影響無し
これなら汎用品に置き換えても問題無く動きそうだ。

 とりあえず元通りに組み立てて、子供に音を確かめて貰ったら「ちゃんと音が抜けて来るようになった」と。60Wのコテでやや強引に交換したので少々心配だったが、ホッとした。(笑)
 交換が必要なタクトスイッチは40個以上あるけれど、汎用品は単価が安くて送料の方が高くなってしまう。名古屋のアメ横など自宅から行ける範囲の部品屋さんでは手に入らないから、他の部品と一緒に取り寄せる。発注するのはもう少し先になりそうだ。

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コメント 6

middrinn

「やや強引に」という言葉に反応しちゃいます(^_^;)
拝見するだけでも、ハズキルーペが必要な感じ(@_@;)
by middrinn (2018-11-27 07:40) 

Rifle

middrinnさん
今回は何とかなりましたけど、近年の製品はチップ部品だらけで素人修理が不可能になりつつあります。ルーペで拡大してもチップ部品の型番が判らないとお手上げです。(滝汗)
by Rifle (2018-11-27 10:09) 

みうさぎ

こんばんわーなのか?おっはーなのか?
目が覚めたのでー(笑)
おーミリ単位だー根気がいる作業だ[ぴかぴか(新しい)]
まずは任務完了[黒ハート]だね
そのまんまなんもなく
イケると良いねっ
お疲れっ
by みうさぎ (2018-11-28 03:17) 

Rifle

みうさぎさん
丑四つ時だと朝か夜か迷いですね。(笑)
0.5mm狂うと基板に載らず、予想以上に面倒な作業でした。
by Rifle (2018-11-28 07:05) 

ぽちの輔

記事内容に関係のないコメントで失礼します。
充電するのに発光しなくなったストロボがあるので
コンデンサーを交換したいと思ってますが
容量とか耐電圧とかいろいろあるんですよね?
表示の見方が分からない素人が
手を出さない方が良いですかね?(爆)
by ぽちの輔 (2018-11-28 07:30) 

Rifle

ぽちの輔さん
原因がコンデンサと分っているのなら交換すれば良いですが、発光しないのはトリガーが掛からないからではないですか?
ストロボは通常とは違う高圧回路が入っていて、即死などの重大な事故が起きかねませんので、電気の知識が無いのなら絶対に!手を出さないで!!下さい!!!
by Rifle (2018-11-28 08:11) 

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