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アリアプロ2・RS-X70のレストア(その2) [音楽]

前回からの続き)

 いよいよ回路の方に取り掛かる。
回路部分
ツマミ類とナットを外す。
ツマミを外したところ
外したツマミは石鹸で丸洗いしてコンパウンドで磨いたら、まあまぁ奇麗になった。
磨いたところ
先に出力ジャックを抜き取る。
抜いた出力ジャック
配線が多く纏わり付いている。
回路部全体を引き摺り出す。
回路部を引き摺り出したところ
スイッチ類全ての金属部にアース配線が施されている。
スイッチにアース配線

スイッチにアース配線
当時の高級機だから、細かい部分まで気を使ってあるのだと思う。
# まーぁ、普通ここまでやらんから、一寸凄いわぁ。
デジタルテスターで、外した回路の配線全てを検査したが、配線は全く問題無い。となると、接触不良が疑われるのは、ブーストモードセレクター(プリアンプ切替スイッチ)だ。
ブーストモードセレクター
端子側を見ると、両端の爪を倒して固定してあるだけだ。
爪を倒して固定してある
この爪をラジオペンチで起こすだけで、簡単に分解できた。
分解したところ
真ん中に挟まれている摺動子の裏側も接点になっている。
摺動子の裏側も接点
接点は一見奇麗に見えるが、高倍率ルーペで見ると接点の表面が荒れてあちこちが錆びている。
奇麗に見えるが実際には錆が出ている
接点全てをNevrDull(ネバーダル:金属磨き)で磨く。これで接触不良は解消される筈。
磨いたら組み立てるのだけれど、爪の部分はとても固くてペンチだけでは曲げられない。色々考えた末に、マイナスのビットを大型プライヤーで挟んで爪をこじ開ける事に。
マイナスビットでこじ開けてるところ
何とか元通り固定できた。
ボリュームポットも分解して内部をNevrDullで磨くが、一つだけ内部に亀裂が入っていた。
ポットが割れている
動作は問題無いので、交換せずそのまま使う。
良い機会なので、ブースト(プリアンプ)回路も調べておいた。
採取した部品配線図
使われているのは低消費電力タイプのオペアンプLM358Nで、増幅回路が二つ直列に入っている。素直な特性の増幅回路で、色付けなどは行われていない。
# オペアンプそのものによる色付けは避けられんけどな。

 回路側の作業が終わったら、本体に戻す。
 プリアンプ回路を覆っていたビニルテープは劣化していたので再利用はしない。カプトンテープで基板全体を包んだ上から自己融着テープを全体に巻いて保護するのが一番確実だけれど、どちらも手持ちが無いので、絶縁用の厚紙をビニルタイ(英語ではtwist tieと言うらしい)で固定する。
ビニルタイで固定

ビニルタイで固定

 ペグやブリッジなども全て取り付け、弦を張る。
弦を張るところ
弦は、いつも使っているROTOSOUNDのステンレスである。弦を張ったら、オクターブ調整も行う。
オクターブ調整を済ませたところ
低音弦側はブリッジの駒が一番遠い位置となった。一寸ギリギリだけど、何とか調整できる範囲に収まってホッとした。(汗)
 これでオーバーホール作業は全て完了である。
作業が終わったRS-X70
ペグやブリッジなどは本来金色だったのだけれど、コンパウンドで磨いた為シルバーになってしまった。でも、見た感じではそんなに違和感は無いと思う。
# ホントか?(^^;)
フィンガーボードを9回クリーニングした為、今回の作業にかかったのは30時間弱とかなりの時間数となったけれど、そこそこ奇麗になったのでその甲斐はあった。

 一寸音を出してみたが、ブースト(プリアンプ)・オフで普通に音が出て来るし、ブースト・オンで出力が大きくなり、オーバーブースト・オンにしてオーバーブース・トボリュームを上げると音が歪む。動作が正常な事を確認できた。
 配線図を見ていて「ん?プラグを差すとプリアンプ回路の電源がオンになるってぇ事は、プリアンプを使うかどうかは関係なくてプラグを抜かない限り電源オフにはならないって事?」と気が付いた。プラグをギターに挿してプリアンプ・オフの状態で、デジタルテスターで電池からの電流を測ると、やっぱり流れている。
ブースト・オフでも電源オンのまま
1mAと一寸だけど、電池二個を並列接続しているからこの程度で済んでいると思われる。
 ネット上に出ているアリアのカタログには「電池寿命:200時間」と書かれているけれど、妥当な数値だと思う。現在主流となっているアルカリタイプの電池なら300時間以上使える筈だ。

 裏を返せば、アルカリタイプの電池を使えば一個でも150時間以上は使える計算になる。だから、わざわざ電池を二個使わなくても良いのかも知れない。
 もっと言えば、入力回路が真空管の機材に接続した時だけブーストやオーバーブーストが有効で、一般的なエフェクターやトランジスタ・アンプを使う分にはメリットは殆ど無い。強いて言えば、出力を大きくする事でケーブルからノイズが入るのを抑えられる程度。だから、それこそFET1石のバッファーを入れるだけでも十分代用できる。
# その方が電池も長持ちだし。

 弦を張って間もないし、フィンガーボードの様子もしばらく観察して状態を見極めたい。特に今の時期は湿気が多いので、出てくる音に影響しないとも限らない。だから、ある程度時間が経って落ち着いてから、改めて音を評価しよう。

(完)
タグ:RS-X70
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