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難しくなかった!旧いラジオの修理(その2) [電子回路]

 以前、旧いラジオの修理の記事を書いたが、今回はその続編である。まず回路基板を取り出して調べる。
ソニー ICF-710ラジオの内部基板
回路の故障は色々あるけれど、大抵は電解コンデンサの容量抜けとか、素子単体の異常であることが殆ど。受動部品の抵抗やコイルは、大きな電流で焼けたりしない限り壊れる事はまず無い。それに、イマドキのトランジスタやICは不良が出る事は稀。だから、今回もコンデンサを初めに疑ったが、実際に測定してみるとどのコンデンサも不思議と容量抜けを起していない。

 電池を繋いで動かしながら色々と調べていたら、スライド式のボリウムを動かすと動作が不安定になる場合が多いことが分かってきたので、スライドボリウムを基板から外して調べる。
ラジオ基板からボリウムを取り外す
テスターで抵抗値の変化を調べると、動かしている途中で突然本来の値の10倍以上の抵抗値になる場所がある。「これが不調の原因?」と一瞬思ったが、単にスピーカの音量を変化させる部分だから抵抗値が一時的に上がれば音量が小さくなるだけで、前段の回路に影響して動作が不安定になるなんて事は無い筈。念の為に、スライドする部分をネバーダルで軽く磨いてみたら、何故か抵抗値の変化がスムーズになって、以前のように突然変な値になる事は無くなった。恐らく摺動部に汚れが付着していて、それが電気の流れを邪魔していたのだろう。

 ボリウムを取り付けようと基板を手に取った時「ん?これってテンプラでは??」と気が付いた。
ラジオ基板のハンダ面
黄色の丸で囲んだ部分は、(画像では判り難いが)ハンダの量が少なくて基板の穴が見えている。しかも、この部分だけハンダの溶け具合が均一でなく、フラックスが周囲に多くこびり付いている。早速この部分のハンダを一度吸取って綺麗にしてから再度ハンダ付けする。
 専用ICの周辺には、基板のハンダ面に発振止めと思われる小容量のコンデンサやビニル被覆のジャンパー線があり、ハンダ付けの仕上がり具合から、恐らくはハンダ槽を使ったフロー式で一括でハンダ付けした後に、何らかの理由で更に部品を手作業でハンダ付けしたと思われる。
 その手作業の際に半分テンプラハンダの状態になっていたけれど、製造直後は通電できていて検査を潜り抜けてしまい、時間が経って完全にハンダ付けできていない部分の表面が酸化して電気が流れ難くなって動作不良に結びついたのでは無いだろうか。

 元通り組み立てて動かしてみたら、今度は全く不具合が出ない。
修理を終えたソニー製ラジオICF-710
このラジオに合いそうなアンテナは未だ見つからないが、AM放送なら今のままでも十分使えるし、アンテナの代わりに電線を付けておけばFM放送も受信できる。アンテナの方は気長に探すことにして、修理は一応完了としよう。

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コメント 6

たま

ほほー、見事なものですな。
そのうち、くまモンの里から真空管ラヂヲの修理依頼品が届くかもしれませんよ。(・∀・)
by たま (2013-06-19 19:02) 

Rifle

たま さん

え?ヴァルヴ??
ギターアンプで一度触った程度で動作原理も良く分かってなかったりしますけど...ハンダ付け程度なら何とかなるかなぁ?(^^;;;;;;)
by Rifle (2013-06-19 20:09) 

塾長

Rifle さん、凄い技術持ってますねぇ~。僕はこういう修理が出来る人、大尊敬です。
by 塾長 (2013-06-20 09:56) 

Rifle

塾長 さん

いや、大した事ないですよ。大学で勉強した筈なのに殆ど忘れてて、今頃になって回路技術の本を読み直しても「よーわからんなー」なんて呟いているという有様ですから。(^^;)
by Rifle (2013-06-20 11:12) 

くーぺ

子供の頃は『〇〇ラジオ店』という電気屋さんがありましたね~
友人はよくラジオ関係の雑誌を買って、自分で作っていました。
なんていう雑誌だか忘れましたが、中学生向けなものでした。
by くーぺ (2013-06-24 10:20) 

Rifle

くーぺ さん

昭和の時代には「初ラ(初歩のラジオ)」や「ラ製(ラジオの製作)」といった小中学生向けの回路製作・BCL等をメインに扱う月刊誌がありましたけど、今は回路の製作集の本が稀に出る程度になってしまいましたねー。中部地区では部品屋さんの数がどんどん減っています。
by Rifle (2013-06-24 15:59) 

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