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ちょいと分解:超小型コイン型バイブモーター [電子回路]

 少し前に購入したDC3Vコイン型バイブモーターは、あれこれ実験している最中に突然動かなくなってしまった。
動かなくなったコイン型バイブモーター
このモーターは携帯電話のマナーモードなどで振動を発生させるための物で、「直流でただ動かすんじゃなくて、わざと交流を流して超音波振動子の代わりにできないか?」と思い、あれこれやってみた。が、どうも上手く動かない。
 一応配線の付け根はホットメルトで保護してあったけれど、実験の時の振動などで断線してしまったようだ。

 超音波洗浄器は最近になって安価なものが出回るようになったが、それでも結構なお値段がする。ネット上の投稿を見ると結構便利に使えそうな気がするが、何故か自宅周辺のホームセンターでは取り扱いが無く、実物を見たことが一度も無い。
 そんな時、名古屋・大須の部品店で200円弱で売られているのを見かけて「これは使えるかも知れない」と思って購入したのだった。

 実験してみると、これがなかなか上手く行かない。元々が直流で動かすようになっているところへ全波整流しただけの脈流を流し込むんだから「簡単には行かないだろうな」とは思っていたけれど、やっぱり難しい。
 この手のモーターは中に整流子が入っていて、それが電流の流れを制御して回転するような磁場を作り出している。モーターが常に一定の速度で回っていれば何とかなるのかも知れないが、実際には電源を接続した直後から安定した回転の状態になるまで、1秒にも満たない非常に短い間に回転数がどんどん上昇する。その上昇に合わせて脈流も制御しなければ、うまく回転させるような磁場を作り出せないのだ。結局は弱弱しい回転にしかならなかった。整流しただけで平滑化していないから、直流と比べれば電力はだいぶ少ない。だから弱い回転にしかならないのだ。
 よくよく考えれば実験する前に分かった筈だが、そこに気が付くまで随分と時間が掛かってしまった。
# 何しろ頭がニブイもんで...(^^;)
そんなこんなで色々試しているうちに動かなくなってしまったのである。

 そのまま処分しようかとも思ったが、「一寸分解してみよう。」本体裏側はカシメてあるように見える。
モーター裏側を見たところ
マイナス精密ドライバーで少しずつ広げたら、案外簡単に開いた。楕円形のコイルには、髪の毛程度の細さの電線が使われている。
モーターの蓋を開けたところ
中心の軸に対してコイルが片側に偏っていて、回転させると振動が発生するという仕組みだ。回転部を抜くと、その下には環状の磁石と接点が見えてくる。
回転部を外したところ
軸のすぐ近くに出ている接点は髪の毛よりも少し太い程度の非常に細い線だ。
接点はとても細い線で出来ている
回転部側にはエッチングで作られた整流部の接点が環状に並んでいる。
円形に接点が並んでいる回転部
対角線上にある接点同士がコイルと繋がっている。
 回転部のコイル側をよく見ると、コイルは一つではなくて複数のコイルの集合体になっていた。
コイルは複数が集まって一つになっている
軸受側の磁石を取り外すと、フレキシブル基板の全体が見える。
丸い磁石を外したところ
基板は薄く塗られた接着剤で貼られていたので、簡単に剥がせた。
フレキシブル基板を外したところ
先端を横から見ると、回転部に繋がる接点が良く見える。
フレキシブル基板に配線されている接点
ここから回転部に電気が流れて回るのだが、それにしても細い。

 分解するのにかかった時間は5分弱で、とても簡単だった。小さい部品だし、大きな動力を発生させる訳ではないので、頑丈に作る必要は無いのだろう。
 構造は一般的なモーターと全く同じだけど、このサイズで作るとなると色んな技術を組み合わせる必要がある。
 また、少ない電力で動くように回転部のサイズ・重さやコイルの位置・磁力の強さなど、色々な要素を検討して最適化されていると思う。
 ちなみに、このモーターは1.5Vから4Vまでの直流が電源で指定されていて、それ以上の電圧では故障してしまうそう。恐らくコイルが焼き切れてしまうのだろうが、それだけ使われている配線が細いということだ。

 分解してみて率直に「よくもまぁここまで小型化できたもんだなー」と感心してしまった。普段は意識しないが、こういう技術があるからこそ、便利な生活が成り立つのだと改めて実感した次第である。
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みうさぎ

小さい小さい部品なんですねっ
素手では及びませんでしたかぁ
直す醍醐味見れなくて残念です
精密過ぎるねっ
by みうさぎ (2017-06-09 14:37) 

Rifle

みうさぎさん
チップ部品用の極細ハンダゴテと顕微鏡があれば直せるかも知れないですが、手持ちの機材と虫メガネではお手上げでした。(笑)
by Rifle (2017-06-09 18:49) 

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