ヤマハのギターアンプF50-112のレストア(その4:修理完了!) [音楽]
(前回からの続き)
部品が揃ったので作業を再開する。まずは劣化したコンデンサの交換だ。
パワーアンプ回路は一見問題無さそう。
しかし、古いコンデンサばかりなので勿論交換する。
コンデンサを外したら、基板側に液漏れした跡があった。
何故か、この基板だけハンダが異様な程盛られている。
こんなに酷いのは初めて見る。どう見てもプロの仕事ではない。しかしながら、ハンダをやり直すと半導体部品を加熱する事になって劣化を早めてしまう危険性もあるので、後ろ髪を引かれる思いではあるけれど、あえてそのままにしておく。
放熱器を見ると、接点復活剤を吹きかけたような跡がある。
何故だかは判らないが、音楽業界ではやたらと接点復活剤を使いたがる人が多い。接点復活剤はあくまでも緊急避難的な薬剤でしかないのに、本当に不思議である。全部拭き取って奇麗にしてから、コンデンサ交換済みの基板を取り付ける。
ボリュームが駄目になっていたリバーブ用のボリュームも用意した。
届いてから分かったのだけれど、不具合を起こしたのと同じメーカの製品だ。
調べたら、Supertech Electronic社製らしい。まぁ、不具合が出たらまた交換すれば良いので、大きな問題ではない。コンデンサの切り落とした足の部分を利用してボリュームに足を付け足す。
無くなっていたパラメトリック・イコライザのボリュームポットのうち、「FREQUENCY」はCカーブ(Reverse Log Taper:逆対数関数タイプ)の50kΩ2連、「LEVEL」はGカーブ(かなり特殊)の50kΩを使うのだが、どちらも市販されていない。GカーブはBカーブ(Linear Taper:正比例タイプ)で代用しても問題無いけれど、周波数帯を変えるCカーブをBカーブで代用すると実用上では周波数が急激に変わったように感じてしまい使い難くなる。そこで、Bカーブの100kΩ2連と100kΩの固定抵抗を並列にして疑似的にCカーブを作り出す。基板に挿す足は、こちらもコンデンサの足の残りを流用する。
位置を調整して基板に取り付ける。
ブロックコンデンサは交換されていて、同じコンデンサが今でも市販されているのでそちらにしても良かったのかも知れないけれど、あえてオーディオグレードのコンデンサに交換する。耐圧が50Vなのでサイズはかなり小さい。
1個変えてみると、かなり雰囲気が変わる。
ブロックコンデンサ用の金具はペンチで適当に曲げて固定させる。2本とも交換したら、かなりすっきりした感じとなった。
取っ手の中央に巻いてあったテープを外し、劣化してネチャネチャになっていた糊気を取り去ったらスッキリした。
中央に亀裂が入っている。
恐らく、運ぶ時に手の皮膚を噛み込んで痛いからテープを巻いたんだと思う。芯材の鉄板は一寸錆びているだけだった。
軽く清掃しておく。
回路部を筐体に収めようとして持ち上げた時「ポロッ」と樹脂の破片が落ちてきた。
「何処から出て来たん?」ジャック部を見ると、スピーカ出力ジャックが割れている。
外してみたら、隣のジャックも既に亀裂が入っていて、かなり危ない状態だ。
取り外し作業中にジャックが崩壊した。(汗)
よくもまぁ、ここまで劣化したもんだ。(汗)長期間温度差の激しい所に置かれていたのだろう。接点を見ると錆びている。
よくもまぁ、この状態で音が出ていたもんだ。将に「知らぬが仏」、危ない状態で使われていたんだな。新しいジャックを用意し、回り止めの突起をキリ落としておく。画像左が切り落とす前、右が切り落とした後である。
新しいジャックは1㎜ほど太いので、リーマーで穴を慎重に拡げる。
配線してからリア・パネルに取り付けた。
最後に、外装を一通り清掃して作業は完了である。
ボリュームのツマミは同じ物が無いのと、ボリュームポットも汎用品を使っているので、見た目やパネルからの突き出し量が違うけれど、見た目だけの問題で、実用上は全く問題無い。
早速ギターを繋いで一通り動作を確認したけれど、全て正常だった。これで普通に使える状態になった。めでたしメデタシ、である。
(完)
部品が揃ったので作業を再開する。まずは劣化したコンデンサの交換だ。
パワーアンプ回路は一見問題無さそう。
しかし、古いコンデンサばかりなので勿論交換する。
コンデンサを外したら、基板側に液漏れした跡があった。
何故か、この基板だけハンダが異様な程盛られている。
こんなに酷いのは初めて見る。どう見てもプロの仕事ではない。しかしながら、ハンダをやり直すと半導体部品を加熱する事になって劣化を早めてしまう危険性もあるので、後ろ髪を引かれる思いではあるけれど、あえてそのままにしておく。
放熱器を見ると、接点復活剤を吹きかけたような跡がある。
何故だかは判らないが、音楽業界ではやたらと接点復活剤を使いたがる人が多い。接点復活剤はあくまでも緊急避難的な薬剤でしかないのに、本当に不思議である。全部拭き取って奇麗にしてから、コンデンサ交換済みの基板を取り付ける。
ボリュームが駄目になっていたリバーブ用のボリュームも用意した。
届いてから分かったのだけれど、不具合を起こしたのと同じメーカの製品だ。
調べたら、Supertech Electronic社製らしい。まぁ、不具合が出たらまた交換すれば良いので、大きな問題ではない。コンデンサの切り落とした足の部分を利用してボリュームに足を付け足す。
無くなっていたパラメトリック・イコライザのボリュームポットのうち、「FREQUENCY」はCカーブ(Reverse Log Taper:逆対数関数タイプ)の50kΩ2連、「LEVEL」はGカーブ(かなり特殊)の50kΩを使うのだが、どちらも市販されていない。GカーブはBカーブ(Linear Taper:正比例タイプ)で代用しても問題無いけれど、周波数帯を変えるCカーブをBカーブで代用すると実用上では周波数が急激に変わったように感じてしまい使い難くなる。そこで、Bカーブの100kΩ2連と100kΩの固定抵抗を並列にして疑似的にCカーブを作り出す。基板に挿す足は、こちらもコンデンサの足の残りを流用する。
位置を調整して基板に取り付ける。
ブロックコンデンサは交換されていて、同じコンデンサが今でも市販されているのでそちらにしても良かったのかも知れないけれど、あえてオーディオグレードのコンデンサに交換する。耐圧が50Vなのでサイズはかなり小さい。
1個変えてみると、かなり雰囲気が変わる。
ブロックコンデンサ用の金具はペンチで適当に曲げて固定させる。2本とも交換したら、かなりすっきりした感じとなった。
取っ手の中央に巻いてあったテープを外し、劣化してネチャネチャになっていた糊気を取り去ったらスッキリした。
中央に亀裂が入っている。
恐らく、運ぶ時に手の皮膚を噛み込んで痛いからテープを巻いたんだと思う。芯材の鉄板は一寸錆びているだけだった。
軽く清掃しておく。
回路部を筐体に収めようとして持ち上げた時「ポロッ」と樹脂の破片が落ちてきた。
「何処から出て来たん?」ジャック部を見ると、スピーカ出力ジャックが割れている。
外してみたら、隣のジャックも既に亀裂が入っていて、かなり危ない状態だ。
取り外し作業中にジャックが崩壊した。(汗)
よくもまぁ、ここまで劣化したもんだ。(汗)長期間温度差の激しい所に置かれていたのだろう。接点を見ると錆びている。
よくもまぁ、この状態で音が出ていたもんだ。将に「知らぬが仏」、危ない状態で使われていたんだな。新しいジャックを用意し、回り止めの突起をキリ落としておく。画像左が切り落とす前、右が切り落とした後である。
新しいジャックは1㎜ほど太いので、リーマーで穴を慎重に拡げる。
配線してからリア・パネルに取り付けた。
最後に、外装を一通り清掃して作業は完了である。
ボリュームのツマミは同じ物が無いのと、ボリュームポットも汎用品を使っているので、見た目やパネルからの突き出し量が違うけれど、見た目だけの問題で、実用上は全く問題無い。
早速ギターを繋いで一通り動作を確認したけれど、全て正常だった。これで普通に使える状態になった。めでたしメデタシ、である。
(完)
こんにちは!
”あっぱれ!!”、座布団1枚差し上げます!
by Take-Zee (2020-06-25 09:48)
Take-Zeeさん
有難う御座います。
かなり酷使されたアンプでしたが、無事直せました。
by Rifle (2020-06-25 14:34)
おみごとです。
ヒートシンクというと、パワートランジスタにグリスを塗ってネジで締め込んでいたような記憶がありますが、あれ?トランジスタアンプは作ったことないはずなのに、どこから拾った記憶なんでしょう。
by tama (2020-06-26 16:07)
tamaさん
有難う御座います。
シリコングリスって塗り難いんですよねー。パワーアンプでも修理されたんでしょうか?(笑)
by Rifle (2020-06-26 17:48)