原因の追究：ジュエリー・スケールが動かない

　たまさんより「電子スケールの電源が入らない」と原因の究明依頼があったので、早速分解してみよう。まずは外観から。

本来は宝石の重さを量るものだが、その正確さを利用してアナログプレイヤーの針圧測定に使っていたのだそうな。
　電池ボックス以外には、表も裏もネジ類が全く見当たらないが、こういう場合は大抵ゴム足やシールの下にネジが隠れている。今回の場合、裏側に貼られた電池シールの下にネジがあった。

電源が6Vであることから、回路はCMOSデジタルであることが判る。
　まず、ネジを2つ外すと、スケールの受け皿が分離できた。

受け皿の下側に本体を固定しているネジがある。随分と凝った作りにしているが、購入者が勝手にネジを外してしまうことを嫌ったのだろうか？
　受け皿と金属部品を固定しているネジを外す。

見た目は拍子抜けするほどすっきりとしている。どうやらこの２つの金属部品で重さを検出しているらしいが、校正方法がわからないので、金属部品には触れずにおき、基板を外す。

基板をくまなく観察するが、問題は無さそう。

基板は6層になっていて、両表面にも配線がある。層が多いので、強い光に翳して見ても、内部の層がどのような配線なのかは残念ながら判らない。

　内部構造が判ったので、いよいよ原因の追究だ。まず、セオリー通り電源から順に調べる。
　ボタン電池はやや消耗しているものの、この回路に対してはまだ十分な電力が残っているので、そのまま電池ボックスに収めて電源スイッチを押してみる。すると...アリャリャッ、動くじゃん！？

この時の電源電圧は5.53Vだった。
　しかし、一旦電源を切って再度電源を入れようとしても入らない。何度も電源スイッチを押すと、電源が入る時と入らない時の割合が１：９ほど。しかも、かなり強くスイッチを押さないと電源は入らない。通常はプラスチック外装の上から電源スイッチを押すことになるので、これでは電源が入らないままとなってもおかしくは無い。

原因は、電源スイッチ（画像では左端）の不良だね。
　このスイッチは小型基板でかつてよく使われていたロジック・タクトスイッチで、大きな電子部品商なら箱単位とか10個単位で扱っているが、一般的なものよりも少々背が低いので中部地方で小売りしているかどうかは調べて見ないと判らない。

　スイッチ以外の動作は正常のように見えるので、このスイッチさえ取り替えればOKだろう。問題は、このスイッチをどう探すか、だな...。

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コメント 4

さすがでございますね。シールの裏とは気がつきませんでした。
電源スイッチの部分が少しへこんでいたでしょう。最初からなんです。ということは、以前からスイッチの具合が悪くて、出品者はいつも強く押し込んでいたのではなかろうかと・・・。
そのスイッチの状態は、写真では分かりませんでした。商品の説明には、一言も書いてありませんでした。
こういう出品者って、やっぱりズルい（もっというと卑怯だ）と思います。「写真で判断してください」と逃げるやつが多いですが、欠点ほど詳しく書くべきですね。なんといっても実物を触ることができないのですから。
ありがとうございます。修理をゆっくりとお楽しみください。
by たま＠張本人 (2012-03-23 22:11) 

> たま さん
おやおや、電源スイッチは初めから凹んでいたのですか。
売主は間違い無く「確信犯」ですねぇ。
近いうちに名古屋市内へ出かけることになりそうなので、その序に部品屋を漁ってきますネ。
by Rifle (2012-03-23 22:32) 

ご存知かもしれませんが、共立エレショップで□6mmのタクトスイッチが1コ35円位で入手できます。
出量が0.７～10mmまで数種類あるので何かと使えます。
送料120円です。ご参考まで。
by oink! (2012-03-24 02:02) 

> oink!さん
秋月でも同じようなものが出ていますね。
スイッチそのものは決して高くはないんですが、送料が本体の倍以上というのがなんともかんとも・・・。（笑）
by Rifle (2012-03-24 11:14)