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呆れたテスター [電子回路]

 以前、名古屋・大須の電子パーツ店で税込み800円台という破格の安値で売られていたチャイナ製デジタルテスタは、いつも電圧を計るのに使っている。
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回路の動作を実験している時、他に2台あるテスターは電圧や電流を計るのに使っていたので、半固定抵抗の抵抗値をこの安物テスターで計ろうと思い、計測前に「一応念の為に」とテスターのリード線をショートさせたら、思いもよらぬ数字が表示されて吃驚仰天!
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正常なテスターであれば、計測値は勿論「ゼロ」でなければならない。が、このテスターはゼロにはならないのだ。[ちっ(怒った顔)]

 「幾らなんでも、コレは酷いな...。」しばし呆然として我に返り、気を取り直して色々探ってみる。
 アナログ式テスターなら零点を調整するボリュームが必ず付いているが、デジタル式では当然そんなものは無いから、本体を眺める限りは調整する手段は無い。そこで、いつものように分解して内部を調べる。
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内部基板には半固定抵抗が一つあるだけだ。
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本体の裏蓋には品質検査の丸いシールが貼られているから、少なくとも出荷検査は受けている筈。チャイナ品質恐るべし...[ふらふら]
 基板を取り外して裏側を見ると、ハンダ付けのし忘れと思われる箇所が見つかった。
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半固定抵抗の足がハンダ付けされていない。パターン上はレジスト膜が無く、ハンダ付けすべき場所だと思われる。計測回路はICチップ化されているので判らないが、一般的なテスターの構造から考えると、この半固定抵抗は電圧調整用と考えられるので、ここをハンダ付けしたとしても改善されるとは考え難い。駄目モトでハンダ付けして、再度リード線をショートさせる。
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やはり、予想通りだ。[もうやだ~(悲しい顔)]

 「しっかし、何でこうなるんだ?」とリード線から配線を辿っていく。リード線とICチップの間に挟まっているヒューズが怪しい。
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別の国産テスターで調べると、案の定、表示される値とヒューズの抵抗値が同じである。
 ヒューズは熱で溶断するので、普通の配線材と違って電気抵抗はかなり大きい。だから、普通のテスターはヒューズの抵抗成分をキャンセルする構造になっているのだが、このテスターにはそういうものが一切無い。だから、ヒューズの抵抗値をそのまま計測してしまうのだ。

 原因は判ったから良いが、これではまともに使えない。[がく~(落胆した顔)]今後は電圧を計るだけになりそう。
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コメント 6

たま

数年前にチャイナテスターを雨で濡らしてダメにし、今回はサンワ製の小さいデジタルにしました。
サンワは30年以上前に父が買ったアナログ式がどこかにあるはずなんですが、ただいま行方不明です。


by たま (2012-11-01 22:18) 

Rifle

たま さん

電子回路にとって、雨のような水分は天敵みたいなもんですけど、
テスター程度なら普通は乾けば動くんですけどねぇ。(苦笑)
手元にあるのはデジタルばかりですが、時々波打つ電圧を計るのにアナログ式が欲しくなります。デジタルだと数字がコロコロ変わって読み取れないんです。
by Rifle (2012-11-02 06:34) 

たくや

すばらしい分析力です。
シールはただ貼っただけですね~
by たくや (2012-11-02 15:00) 

Rifle

たくや さん

複雑な部分はIC化されているので、結構簡単に判りました。
シールには思いっ切り「QC」って印刷されているんですけど、意味を無してないですねぇ。
by Rifle (2012-11-02 15:50) 

てんてん

お~ 電気に詳しいですね~
頼りになります♪
by てんてん (2012-11-03 07:56) 

Rifle

てんてん さん

一応電子工学科卒なので、この程度なら何とかなります。
ゼロからの回路設計となると非常に苦しいですけど。(笑)
by Rifle (2012-11-03 13:21) 

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