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ジャンクのアリオン・ディストーション(その2:修理完了) [電子回路]

前回からの続き)

 まず、基板から配線を追って回路図を作成する。解像度を上げてデジカメで基板を撮影し、それをパソコンに取り込む。
基板の配線パターンを撮影する
不要な部分を消し、GIMPなどの画像処理ソフトで色を調整する。
GIMPで色を調整する
カラーで印刷すると書き込みが見難くなるので、モノクロ化する。
印刷の為にモノクロ化する
拡大してプリンタに出力し、基板を見ながら部品を書き込んでゆく訳だ。
プリンタに出力した基板の配線パターン
本来ならジャンパー線を使う部分には0Ωの「塗装絶縁形ゼロ固定抵抗」が使われている。
塗装絶縁形ゼロ固定抵抗がジャンパー線の代わりに使われている
基板に部品を載せるマウンタがジャンパー線に対応していない為、抵抗と同じ形状の部品を使っていると思われる。
 全ての部品を書き込み、この図を基に回路図を作成すればOKだ。
全部品を書き込んだ
このディストーションは現行品なので回路図を掲載する事は控えるが、音に関わる部分はダイオードクリッパーを使った良く見かける回路である。

 回路図を元にテスタであちこち測ってみても変な箇所は無いが、何故か電池のマイナスと基板のグランドとの導通が無い。でも、基板を見ると、電池のマイナスはインプットジャックのスイッチ部分で接続する筈。「ひょっとして、ジャック内部のスイッチが悪くてグランドが浮いてるのか?」早速ジャックのハンダを外す。
インプットジャックのハンダを外す
このジャックは樹脂の嵌め合いで組み立てられているので、樹脂の爪を折らないように注意しながら分解する。
インプットジャックを分解する
内部の金属部品を取り外し、全てNeverDull(ネバーダル:金属磨き)で磨く。
ジャック内部の金属部品を磨く
動作を見る為に樹脂の蓋側に金属部品を取り付けて、各部品の位置を確認する。
位置が分かるように樹脂の蓋側に金属部品を載せる
画像では分かり難いかも知れないが、黒い樹脂のキャップが付いている真ん中の金属部品は、プラグが抜かれた状態では右隣の金属部品と接触している。
ジャック内部の動作を確認する
プラグを挿すと黒いキャップが押されて右隣の金属部品とは離れ、左隣の金属部品に接触して切替スイッチの役割を果たすという構造になっているのだが、左隣との接触が不十分でスイッチとして機能していないようだ。
 そこで、ジャックが差し込まれた時に十分接触するように、黒い樹脂の先端にある金属部分をやや強く左側に曲げてから元通りに組み立てる。
組み立て直したインプットジャック
基板にハンダ付けして動作確認してみると、正常に動いた。念の為に、動作時の電流も測る。エフェクト・オフの時は4.2mA。
アリオン・ディストーションのエフェクトオフ時の消費電流
ディストーションにしては電流がやや多い。エフェクト・オンの時はもう少し増えるが、増えた分は恐らくLEDを光らせる電力だろう。
アリオン・ディストーションのエフェクトオン時の消費電流
取扱説明書によると、消費電流は「2.8mA」となっている。電池とディストーションの間に200Ωの抵抗があるテスター(電流計モード)を挟んでいる為、実際の動作よりも電源電圧が少し落ちるから、電流が少し増えたのかも知れない。

 事前の予想とは違って、故障の原因はインプット側ジャック内部の接触不良だった。回路図まで作成して取り掛かったが、思いの外あっけなく修理出来てしまった。
 薄い金属片を曲げただけというジャック内部の構造から、長時間プラグを挿しっ放しにすると、今回のように電源すら入らない状態になり易い。しかし、エフェクターボードに組み込んだりすると、パッチケーブルを長期間挿したままになる事は多いだろうし、そういう使い方は事前に十分予想できた筈だから、構造上の弱点とも言えそうだ。

(完)
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たくや

直って良かったですね~
テスタロッサはどう?
by たくや (2015-08-26 19:34) 

Rifle

たくやさん
エフェクターを直すのは難しくないんですが、テスタロッサは難しいようで、今も連絡待ちの状態です。大事にならなきゃ良いんですけど。
by Rifle (2015-08-26 19:58) 

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