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ACアダプターの簡単な修理 [雑感]

 TLR200がきっかけでお友達となったSさんから「24VのACアダプターが動かないんだけど、直せないかなぁ?」と聞かれ、「じゃぁ調べてみるわ」と預かってきた。
預かった24VのACアダプター
裏側を見るとネジ4本が見えたので、外したら簡単に分解できた。
分解したところ
トランスは固定されておらず、中で動かないように硬質スポンジが張られている。
トランスは硬質スポンジで固定
整流回路部を見ると、一見正常そうに見える。けれど、何となく違和感が...あれれつ?中央のダイオードは半月形になっているではないか。
ダイオードが半月形になっている
しかも、上下にあるダイオードも亀裂らしきものが見える。
更に、もう一つのダイオードは何やら白い臓物が飛び出しているように見える。
白い臓物が飛び出した?
とりあえずダイオードを4本とも外した。
外したダイオード
半月形のは樹脂モールドの半分が欠けてしまっている。
樹脂モールドの半分が無くなっている
拡大すると、こんな感じ。
拡大したところ
樹脂モールドから取り出したら、二つに分離した。
外したら分離した
ダイオードの構造はPN接合だから、分離するのは分からないでもない。でも、現在の半導体で物理的にP層とN層をくっ付けているとは思えないのだが???実際の製造工程を知らないので断言はできないのだけれど、接合部が剝がれてしまうのには強烈な違和感を感じる。
片方は接合部をくるんでいたらしい柔らかい白い樹脂のカバーが付いている。
白い樹脂カバーが残っている
樹脂を外すと、接合部は平面の筈なのに随分と荒れているように見える。
接合面が荒れている???
もう一方の表面は比較的綺麗だ。
もう一方は比較的綺麗
カバーしていた樹脂は指で簡単にちぎれるほど柔らかい。
樹脂カバーは柔らかい
樹脂カバーがあるという事は、樹脂モールドを施す前にカバーした筈。となると、やはり物理的に接合させて、接合面の酸化を防ぐ為に樹脂で覆ったと考えるのが自然だと思う。でもぉ、N層とP層を別々に製造してから接合して作ってるなんて、一寸考え難いんだけどなー???
 外したダイオードを測定してみたら、内部はショートした状態。
内部はショートしている
念の為にデジタルテスターで計ってみたけれど、結果は同じだった。
デジタルテスターで計測しても、やっぱりショートしている
半月形に割れた物は問題外だが、それ以外の3本も全てショートの状態だった。これでは交流を整流できない。

 使われているダイオードは4本全て米On Semiconductor(旧Fairchild Semiconductor)の1N4002だが、どうして壊れたのかは分からない。
 定常状態では1A、瞬間的(サージ電流)には30Aまで耐えられるダイオードだし、トランスの大きさから考えると1A以上の電流を常時流せるとは思えない。逆電圧も100Vまでは耐えられるし、トランスの出力はピークでも42V程度だから、壊れるような状況になるとは思えないのである。
 更に、手元にある同じダイオードと微妙に違いがあるのが気になる。具体的には、印刷された字体が微妙に違うのである。ひょっとしたらセカンドソースか、あるいは非正規コピー品なのかも知れない。

 手持ちの1N4002は2本しかないので「うーん、どうしましょ?」と思ったけれど「...待てよ、確かW02が一個だけあった筈...。」部品箱の中を探したら、やっぱり出てきた。
整流用ダイオードブリッジW02
これは高校時代にエフェクター用のDC9V電源を作ろうと思って名古屋・大須の部品商で購入した物だ。当時、お小遣いが足りなくてトランスが買えず、「トランスを買ったら作ろう」と思っていた。が、結局就職するまでトランスを買えず、就職後は忙し過ぎて回路作成どころではなかった為、使わずにそのままになっていた。それがようやく陽の目を見たのであーる。
 基板のパターンを確認してからハンダ付けした。
W02を半田付けしたところ
念のためにプラスとマイナスの出力には保護チューブを被せておいた。

 なお、この回路に使われている平滑コンデンサの容量は470μFしかない。小難しい計算式で計算してみたら、出力電圧の変動率は13%強という結果となった。何かの充電用ならまぁ許せないでもないけれど、少なくともオーディオ回路には向かない。変動率が1割を超えるというのはかなり大きい数字だけれど、製品として売られていたのだから(対応する機器に対しては)問題は無いんだろうなー。
 電圧が24Vと高めな割には出力電流が0.4Aと少ないので、小型機器向けのACアダプターだと思われる。ヒューズやポリスイッチ(リセッタブル・ヒューズ)といった保安部品が一切入っていないので、取り扱いは要注意だな。

 アダプターの先端はハンダで配線を固めただけになっている。
配線はハンダで固められている
これでは使い難いので、手持ちの圧着端子を取り付け、更にハンダを流し込んで固定した。
圧着端子を取り付けた
念の為に、極性もマジックペンで書き込んでおいた。

 数日後、Sさんに手渡したら「お礼に」と缶コーヒーを頂いてしまった。
いただいた缶コーヒー
いやぁ...これでは部品代よりも高くついてしまうんでは?と思うんだけど、ネ。(滝汗)
# Sさん、どうも有難う御座いました。m(_"_)mTT>

 単にダイオードを交換しただけで直ってしまった。作業というほどでもなかったけれど、何より死蔵していたW02に活躍の場を与えられて良かったと思う。メデタシめでたし、である。
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