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MXR Phase90もどきで実験 [音楽]

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 昨日の午後、1時間弱でブレッドボード上にPhase90をコピーした回路を組み上げて色々とテストした。なお、9V以下の値のツェナーダイオードは、何故か誤差が異様に大きいので、実物を測定して回路図上の想定値と合うように小細工している。
phase90.png

 元となったMXRのPhase90は、ネット上を彷徨ってみると色々なヴァージョンの回路図が出て来るので混乱しそうになった。要するに初段がOPアンプを利用したヴォルテージ・フォロアで、その後に4段の移相回路が続くということらしい。大半の回路図ではFETに2SK30A、OPアンプに4558や741を使っていたので、拙者も4558とLM324で組んだ。2SK30Aは別の回路で使ってしまって手持ちが無いので、たまたま手元にあった2SK68Aを使った。出てくる音はこんな感じ。

 回路図上のR1がフィードバック(レゾナンス)を決める定数で、半分程度の値にすると癖の強い音に、ショートすると素直な感じの音になるらしい。
# すんません、昨夜眠くなってきて面倒になったんでテストしてません...。A(^^;
 R3とR4で原音と移相後の音の混ざり具合を決めているので、R3とR4を50kBのボリゥムに置き換えて混合比を変えられるようにすると面白いかも知れない。
# 手持ちの部品に50kのボリゥムが無くてテストできないのが残念...。
 音の揺れ具合を決めているのはIC1の部分で、シンプルな回路のLFOになっている。電源電圧の半分(4.5V)を中心に1.5V程度のサイン波を出力し、最高出力周波数は6Hz前後。最速にするとこんな感じ。
 単細胞な拙者は「もっと周波数を上げたら、どーいう音になるのかナ?」と考えて色々やってみたが、R2を100k、C3を0.001μにして16Hz前後にするのが精一杯。更に発振周波数を上げるなら、LFOの回路そのものを変えないと難しいみたい。因みに、C3の容量を小さくすると正弦波ではなくて三角波になるが、エフェクト音を聞く限りでは違いは殆ど感じられない。これが方形波になるとエフェクト音が「ババババババ...」という一寸変わったトレモロみたいな感じになる。
 「ウーム、これ以上は無理か...」と諦めかけたが「オォ!我が家にはファンクションジェネレータなるものが在るではないか!」と閃いた。
# 我ながら、何と単純...。
 ファンクションジェネレータの出力を4.5Vオフセットさせた状態で3.3Mの抵抗に接続し、元のLFO回路を切り離す。こうすればジェネレータの限界2MHzまで試せるのだ。
# おいおいおい...。

 でっ、色々な周波数で音を出してみると、60Hz辺りまでは結構変化があるのだけれど、それ以上になると段々と違いが判り難くなるが、回路は勿論動作しているからエフェクト音はAM変調(振幅変調)されているのと同じことになる。高音域、例えばシングルノートでギターのハイポジションを弾くと、リングモジュレータの周波数の和と積の関係と同じように、本来の音に加えて変調により合成された別の音程の音がうっすらと聞こえる所が出て来る。
 周波数を1kHzまで上げると、低音域、例えばギターの6弦などは倍音合成のためか金属的な響きになってきて、ハイポジションで無くても原音とは別の音程の音も聞こえてくるようになる。これを上手く使えばロボットライクな効果音も出せそうだ。

 ...と、文字でいくら表現してもなかなか伝わらないと思うので、パソコン添付のレコーダーソフトを使って録音してみた。興味のある方は聞いてみて下さい。但し、拙者は昔バンドで辛うじてベースを弾いていただけでギターは弾けず、本人も呆れるほどいい加減な弾き方しかしていませんので悪しからず。また、通常ならコンプかけたりノイズゲートで切ったりすべきなんだけど、その辺は全て手抜きしてブレッドボードから直接パソコンのマイク入力へ放り込んでいます。
# アナログ時代の録音法しか知らないんで、DAW他を駆使してノイズを取り除くとかって高度な芸当はできんのよ...。
20Hzの音。
30Hzの音。
40Hzの音。
50Hzの音。
60Hzの音。
少し飛んで100Hzの音。
200Hzの音。
大幅に飛んで1kHzの音。
2kHzの音。ここまで周波数が上がってくるとLFO以外の回路にもノイズとして廻り込んで来るようで、この音源ファイルでも微かに漏れているLFOの音が聞こえている。

 エフェクトを何もかけていない、生の音はこれ。使っているのはSteinbergerのGP-2Sという名前のギターで、EMG製のハムバッカーを2個搭載している。ボリゥムとトーンはフルテンで、前半がフロントピックアップ、後半がリアだ。これは全ての音源ファイルに共通だ。

 更に「移相回路のコンデンサを変えたらどうなる?」と思い、C1を0.001μ、C2を0.1μにしてみたら、結構変化が大きかった。ちなみに、この変更は有名な「ユニバイブ(Uni-Vibe)」に似せる為に行われたりしている方法らしい。

 なお、この回路図はギターを前提にしているので、ベース等に使うのであれば0.047μのコンデンサを全て0.1μ辺りかそれ以上に替えないと低音域(4弦ベース最低音域の2倍音付近)が削られてしまう。

 中には「何で音を揺らす周波数を上げたいの?」と思われている方もあるだろう。勿論これには理由がある。
 20年以上前、どの番組だったかは覚えていないがTVを見ていたら、キーボードをレズリースピーカに通して音を出して、更にレズリースピーカの回転数を上げてキーボードの音にディストーションをかけたような効果を出す、という説明を実演を交えながらやっていた。「へぇー、音を歪ませるのはディストーションやオーバードライブだけぢゃないんだ」と一寸感動した覚えがある。それを今になって思い出し、ロータリースピーカの音を再現するというのが本来の目的だったフェイザーで、回転数を上げたら歪んだ音に聞こえるのかどうかを試してみたかったのだ。
 結果としては「歪んだ音にはならない」と判ったが、これは持続音のキーボードに対し、ギターは減衰音だから歪みの効果が薄いということのようだ。

 昔から不思議だった「メーカ品は、何故揺らす周波数は数Hzまでなのか」という疑問は、今回の実験でだいぶ判ったような気がする。
 周波数を上げていくとLFO以外の回路に回り込むのを防ぐ手立てが必要になってきて実装面で面倒なことになりそうなのと、むやみに周波数を上げても効果はあまり無い、若しくは意図しない音程が加算されてしまうので使い難いという辺りが理由なのではないだろうか?

 メーカ品は「開けて中を弄っちゃ駄目、保証が無くなるよ」と脅しをかけられるので、中の基板に手を加えるのは気が引けるけど、自作だと色々と実験出来て楽しいねぇ。(笑)
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