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オシロスコープの修理 [電子回路]

 自宅で使っているオシロスコープは松下通信工業製(National)のVP-5220Aという古い機種で、10年前に5千円で入手したものである。20MHzの2chだが、低周波回路の自作には十分な性能があり、とても使い易いので重宝している。
VP-5220A
入手した時はマニュアルやプローブは欠品だったが、古い割りに綺麗だったから、恐らく再リースの処分品かなにかだったのだろう。

 この機種が現役だった頃、拙者は大学生で、実験室や研究室で同じようなオシロスコープを頻繁に使っていた。当時から「オシロ1台あると凄く便利だなぁ。一台欲しいな」と思っていたが、新品で数十万、中古でも十万以上していたから、とてもじゃないけど手を出せるものではなかった。その後KENWOOD(ケンウッド)からほぼ同じ性能で新品でも8万円弱という格安オシロが発売されたが、それでもやはりおいそれと買える代物ではなかった。
 平成の時代になってリース終了の処分品などが安価に出回るようになり、インタネットの普及もあって、以前とは比べ物にならないほど簡単に入手できるようになった。低周波回路を自作する者には有難い時代にはなったが、今度は自作に必要な部品を売る店が減ってきているのが残念である。

 手に入れてから何もメンテナンスをしていなかったためか、数ヶ月前から挙動がおかしくなってきていた。具体的には、電圧スケールを変えると、画面に滅茶苦茶な波形が表示されて安定しないのだ。スケールのスイッチをカチカチと左右に何度か回してみると元に戻る場合もあるので、スイッチの接触不良らしいことは判っていたが、流石にオシロスコープの内部を弄ったことはないので騙し騙し使っていた。
 ところが、先日遂に全く安定しなくなり、画面にまともな表示が出ない状態に。「こりゃ手を入れなきゃ駄目だな。」事前にネット上で探してみると、オシロスコープの修理をしている人が結構多い。中には内部回路をも修理してしまう人もあるから驚いてしまう。拙者はそこまでは出来ないなぁ。

 「どーせスイッチの接触不良だろうから、大したことはないでしょ」と思いながら作業に取り掛かる。まずネジ止めされている天板を外す。
IMG_2550.JPG
画像左側がCRT(通称「ブラウン管」)で、この周辺は高圧で迂闊に触るととんでもない事になるから一切触らない。
IMG_2542.JPG
今回問題となっている接点は右側のフロントパネル寄りの位置にある。
IMG_2553.JPG
接点の部分を見ると、黒い円盤状のもの(矢印で指している部分)が見える。
IMG_2538.JPG
初めは「ん?こういう色の部品なのか」と思ったが、綿棒で拭いてみたら金属本来の色に戻ったので「あぁ、やっぱりここが原因だったんだな」。
 接点復活剤を使うという手もあるが、そんなものは持っていないのと、最近の復活剤は油分が多く、かえって埃を吸い寄せてしまうこともあるので、拭くだけにした。
IMG_2540.JPG
念の為に、見える範囲で基板をチェックしたが、抵抗の焼けやコンデンサの吹き破れなどは見つからなかったのでそのまま元通りに組み立てた。
 早速動作チェックすると、どれも正確に反応しており、使っていてもとても気持ち良い。

 長年使いっ放しのままなので、本来であればきちんとした校正をすべきだが、費用が嵩むので今回は接点を掃除しただけに留めた。念の為にファンクションジェネレータとデジタルマルチテスタで簡単な補正をしてあるので、実用上は問題無いと思う。
 今までスケールを切り替える度にスイッチをカチカチ回してちゃんと動くようになるまで時間がかかっていたが、本来の姿を取り戻した。これからも、今まで通り活躍して貰う積りである。
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コメント 4

ブルル

清掃って大事ですね。
修理・メンテナンスの基本ですな。
by ブルル (2011-12-07 22:30) 

Rifle

ブルルさん

そう、機械モノに手入れって重要です。
幸い、このオシロは部品交換が必要な部分はまだありませんでしたが、電解コンデンサなどはそろそろ準備する方が良いかも知れませんね。
by Rifle (2011-12-08 15:40) 

hosoP

すごい!、修理されたんですね。
昔の機械(失礼な言い方ですみません)は、機構がシンプルで、
ディスクリート部品で作ってある分、手を入れる余地がありますね。
あ、でもCRT側は危ないですが^^;
今の機械は、カスタムチップ化されてたり、切り替えSWも電子化されて
いるので、接触不良は起きないかわりに、不具合時にはお手上げ。。。
でも、クラシックな機械は良くも悪くも長く付き合える気がします。
数年前まではテクトロを、最近は横河をよく使ってますが、昔の
オシロのような、「温か味」や愛着は感じられないですね・・・。
by hosoP (2011-12-10 08:53) 

Rifle

hosoPさん

単純な不具合だったんで何とか直せました。
以前は汎用部品を使って如何に上手く設計するかが腕の見せ所でしたが、コストダウンと設計技術の後退で専用IC化が進んじゃいましたねー。
新しい製品は基板ごと交換という前提の設計ばかりで、手を入れられない分、愛着が湧かない気がします。
by Rifle (2011-12-10 20:28) 

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