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難しい!旧いラジオの修理(その1) [電子回路]

 母の姉が「動かないんだけど...?」と、旧いラジオを持って来た。
ソニー ICF-710
1988年製造のソニー ICF-710で、電源はAC100Vと単三電池4本の両方が使える。
 経年変化で、周波数表示の樹脂製の窓が濁ってしまっているが、見た感じでは表面だけでなく全体が濁っている感じなので、表面をコンパウンドで一皮剥いた位では綺麗にはならないかも知れない。
 アンテナがグラグラで固定できないため、アンテナとして余り役に立っていない。
ソニーICF-710のアンテナ
良く見ると、根元で折れていた。折れていてはどうしようも無いので、類似品に交換するほかないだろうが、この手の部品は専用で作っていることが多いので、修理できるかどうかは同類の部品を探せるかどうかに掛かっている。

 まずは現在の状態を確認しようと、AC100Vに繋いで動かすと...あれれ?普通に動くじゃん。(笑)
 しかし、暫くそのままにしていたら、電波受信の状態が不安定になり、雑音が入ったり音声が途切れたりする時がある。
 しかも、音量ツマミを動かすと盛大に「ガリガリッ」と音がする。「こりゃーボリウムがイカレてるなー」と思いながら、ボリウムを何度も動かしてみる。軽いガリならこれで直ってしまう事も多いのだが、これは旧いだけに直らず「ガリガリっ」と相変わらずである。
 電源を入れた直後は良くても暫く使っているととおかしくなるというのは、何処が壊れているのかが分り難く、修理は難航しそうな予感がする。[ふらふら] 母の姉は「もう旧いから、別に直さなくても良い」と言うが、出来るところまではやってみようと思う。

 まず、分解して内部の状態を見る。ネジ5本を外すだけで簡単に内部にアクセスできた。
ICF-710の内部
イマドキの製品のような樹脂の柔軟性に依存した嵌め合いを使っていない、とても素直な構造なのが、いかにも「昭和の製品」である。[わーい(嬉しい顔)]
 右下に見えるトランスでAC100Vの電圧を落とし、右上の基板にあるダイオードとコンデンサーで直流に整流し、その電力を左側にあるラジオ回路に供給している。良く見ると、直流平滑用のコンデンサが劣化しているようだ。
ICF-710の整流回路部
動き始めは普通に使えるという事を考えると、容量がだいぶ抜けてしまっているのかも知れない。
 ラジオの回路は、見た目では問題は無さそうだが、埃が酷い。
ICF-710のラジオ受信回路部の裏側
小さな隙間があるだけで、こんなに埃が溜まるもんなんだねぇ。
 基板を固定しているネジ1本を外し、周波数表示の板を外すと部品が見えてくる。
ICF-710のラジオ受信回路部
周波数調整ダイヤルの動きを、樹脂製の糸で周波数表示用の針とバリコンに伝える、というのも「昭和の時代のラジオ」では極めて一般的な構造だ。ただ、昭和末期の製品だけに、回路はディスクリート構造(トランジスタなどの単体部品を使って組まれた回路)ではなく、ソニー製のラジオ用ICが使われている。基板を見る限りでは、AMのIFT回路(ICの下にある四角い金属の箱)らしきものがあることから、このICはスーパーヘテロダイン方式を採用しているらしい。この方式は、回路としては高級な部類に入る。
 糸と繋がっている左上のダイアルの下にトランジスタが2個あるが、見た感じでは電力増幅回路らしい。恐らくは電波の受信に関する部分は全てICが受け持ち、ICの回路から出て来た音声信号をトランジスタで増幅してスピーカーを鳴らしているのだと思う。

 問題なのは「時間が経つにつれておかしな部分が出てくる」こと。
 完全に故障していれば、何処がおかしいのかを探すのはそんなに難しくは無い。順番に探って行って、動かない所を探せば良いのだ。
 しかし、時間と共に状態が変わるとなると、何処が故障しているのかを探し当てるのが途端に難しくなる。時間と共に状態が変化するので、その変化をきちっと押さえないと、何処がどうなっているのかがサッパリ分らないからだ。
 こりゃー長期戦になるかも知れないなぁ...
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