SSブログ

ヤマハのギターアンプ修理(その1) [音楽]

 先日、ヤマハの古いトランジスタギターアンプF50-112がジャンク扱いで安く出ていたのを見つけて入手した。
手に入れたヤマハのギターアンプF50-112
最近PEAVEYのギターアンプを修理したばかりだが、実は某筋より少し前から「(かなり前に調整した)フェルナンデスのTE-85とセットで譲って欲しい」と言われてて部品代程度で安く譲ることにしていた為、新たなるギターアンプを探していたのだ。
 音は少し電源ノイズらしきものが入るだけで、ある程度の音量であれば普通に使える状態である。しかし、がジャンク扱いというだけあって、外観はかなり汚い。
ジャンク扱いだけあって外観は良くない
ジュースか何かをこぼしたまま放置されていたようで、色の変わった部分は手で触っても何も付かない。金属部はメッキが錆びて白く粉を吹いたようになっている。
メッキ面は粉を吹いたようにザラザラ
裏側も、本来なら真っ黒の筈が、分厚い埃で白くなっている。
アンプ背面内側は埃で真っ白
まずは分解することから始める。上面四隅にあるネジを抜くと、回路部を外せる。
上面のネジを抜いて回路部を取り出す
背面の補強板があると回路部を引き出せないので補強板を外すが、内側は暑さ1cmほどの埃の布団を被せたような状態になっている。
アンプ内部は厚さ1cmの埃に覆われている
本体の掃除は後回しにして、とりあえず回路部を外す。
アンプから回路部を外したところ
修理を前提とした設計になっていて、ネジは判り易い場所にあるし、配線は取り外しを前提にした構造になっているし、部品情報も基板に全て印刷されている。1980年辺りの昭和の時代に作られた最上位機種だけあって、内部は整然としており、実に美しい。
 電源トランスや平滑コンデンサの配置も良く考えられている。
電源トランスや平滑コンデンサの配置も良く考えられている
50Wと出力が大きいので、放熱板もかなり大きな物が使われている。
 基板を拡大すると、コンデンサの容量だけでなく電圧も書き込まれているのが判る。
基板を拡大したところ
あちこちにJRCのオペアンプ4558DVが使われている。
JRC4558DVがあちこちで使われている
リバーブユニットのドライバには東芝のTA7220Pが使われている。
リバーブユニットのドライブICは東芝TA7220P
ボリュームにガリは殆ど出ていないので、今回はコンデンサの交換だけにする。基板上のコンデンサを全てメモし、名古屋・アメ横へ買い出しに行って来た。
名古屋・アメ横で購入したコンデンサ
部品は揃ったが、どうも汚れが気になるので、清掃に取り掛かる。金属部品は取り外して真鍮ワイヤブラシで磨く。
金属部品を真鍮ブラシで磨く
画像右側が磨く前、左側が磨いた後。肉眼で見るとはっきりと違いが判るのだが、デジカメだと違いが良く分からないねぇ。(汗)そこで、金属プレートの左半分だけを磨いてみた。
金属プレートの左半分だけを磨いたところ
これならハッキリ判ると思う。
 本体のビニルレザー張りの部分は、家具用マルチクリーナーでそこそこ綺麗になった。見た目はかなりしつこそうな汚れだったので「セスキ炭酸ソーダか、それでも駄目なら合成洗油を使おうか」と思っていたけれど、あっけなく落ちてしまって少々拍子抜け。(笑)

 本体はそれなりに綺麗になったので、コンデンサ交換に取り掛かろうとして「んーーーーー???」買出しリストを作成している時には気が付かなかったけれど、改めて基板を良く見るとほぼ半分は無極性コンデンサが使われているではないか。「ゲッ、やっちまったぜぃ...しょうがない、もう一度アメ横へ買い出しに行くか。」

続く
nice!(31)  コメント(14)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 31

コメント 14

ktm

無極性コンデンサを多用するのって、どんな回路なんでしょうね。
そっちの方が気になってしまいます。

by ktm (2016-03-06 11:26) 

Rifle

ktmさん
恐らくカップリングで使っているでしょうから、回路が正負両電源の駆動なのかも。
永く使い続ける積もりですので、ばらした序にトレースして回路図も起こそうかと考えています。
by Rifle (2016-03-06 11:52) 

MINERVA

アンプ修理の第二弾、お疲れ様です。
外観に比べ、内部はとても綺麗ですので、Rifleさんの技術があれば見違えるようになると思いますね。
昨年エフェクターを製作する時、4558DDを使ってみました。
アンプの再生、楽しみにしております。
by MINERVA (2016-03-07 23:54) 

Rifle

MINERVAさん
チップ部品が未だ無い頃の製品は修理するのも楽で助かります。
4558は色んな回路で使える、将に「汎用オペアンプ」ですね。
未だ手をつけていませんが、エフェクター作成用の部品は4558も含めて結構揃っていたりします。(笑)
by Rifle (2016-03-08 11:47) 

workshop

Rifleさん、こん**は。
先日私もF50-112を入手いたしました。
で、とりあえずOHでもと思い、回路図探して、で、なんか事例がないかなーってことでこちらにたどり着きました。
そこでちょっと質問なのですが、電解コンデンサ、まーオーディオ用とかでも結構種類があり、こちらの記事の写真を見るとそれぞれ使い分けてる感じ?ですが、どういう風に選択しているのでしょうか?
大雑把でいいので教えていただけると助かります。

*とりあえず「楽器」の項目は全部読みましたが、それ以外のカテゴリーを見ても、結構私にどことなく似た感じの人がいたものだなあ、とニヤニヤしております(笑

by workshop (2019-01-31 19:03) 

Rifle

workshopさん
使い分けは単に「入手のし易さ」...って、身も蓋も無いですが。(笑)
オーディオグレードの部品は(金額も含めて)千差万別ですが、地方だと入手可能な部品は限られてきます。その中で汎用的で問題無いとなると、そういう部品に収斂されるんですねー。
あくまでも拙者の感覚ですけど、部品に拘る方であっても、出てくる音には案外無頓着です。測定機並みの耳をお持ちの場合は別ですけど、オーディオ評論家も含めて、そういう方って見た事無いんですねー。
ケミコン(電解コンデンサ)類は、信号入力側は巻いてある内側を、出力側は外側を選べば、余程の事が無い限りは大丈夫です。データシートに記述が無い場合は、メーカに直接問い合わせれば(まともなメーカなら)きちんと答えてくれますよ。
by Rifle (2019-01-31 21:13) 

workshop

私は仙台なのですが、まあ、部品事情は同じ感ですねー。
どうしてもそこにあるもの中心、でも今回は無いものも多そうなので通販にしようかと思ってるんですが、すると途端に選択肢が増えちゃって(笑
以前メサブギーをOHしたり、また、一昨年くらいから未だにかかりっきりなのが古い国産のアンプをフルスクラッチでチューブにしてみたり。
でもその過程でコンデンサの銘柄で結構音が違ってきちゃってて、やっぱりそういうものなのかと考えちゃってるんですよねー。
ま、今回のは元々がまあ普通のパーツ使われてるようだしそんな考えなくてもいいのかなー??
そうそう、コンデンサの方向ってのはそのスクラッチの時にオシロを導入してみてわかりました。
それまでは全然気にしてなかったんですけどねー。

また何か悩んだら出没するかもしれませんので、その時はよろしくですー!

by workshop (2019-01-31 21:39) 

Rifle

workshopさん
そうそう!地方は選択肢が本当に限られます。国内に無いと海外からも買いますけど、一寸博打だったり。
コンデンサ類も一定以上になると、音が好みかどうか?ですからねー。
どーぞ、いつでもいらして下さいねっ。(^^ )/
by Rifle (2019-01-31 23:59) 

workshop

うちのF50-112のOHやっと完了しました!
まあ、2200ufが入手できてないんで、まだ’ほぼ’ですが(笑
とはいえ現状とてもいい感じで鳴っております。
ちなみにこの個体、どうも未使用に近い状態だったらしく、ありえないくらいに埃がありませんでした。
これから大事にガンガン使っていこうかと思います。
いろいろと有難うございました。
by workshop (2019-02-03 16:41) 

Rifle

workshopさん
おぉ、良かったですね。(^^ )
by Rifle (2019-02-03 21:05) 

Jeffjeff

Rifleさん
ブログを何度も読ませて頂いてます。
私はYAMAHA F100-112を30年所有しておりまして、このブログの修理方法を見ながらポテンショメーターの交換などをしてきました。
(電子工作も楽しいですね)
出音は徐々に良くなっているのですが、ここ数年、スイッチを入れてしばらくすると「ボン、ボッ、ボッ、ボッ・・・」という音が数十秒鳴って止まり、また、数分後に同じ音がなる現象が発生しています。
Rifleさんの知見では何が原因と推定されるでしょうか?やはり、コンデンサーなどからの液漏れが原因でしょうか?
私は理系人材ではないので電気回路のことが分からず苦労しております。本を読んでみましたがサッパリわかりません。
お暇な時にコメントいただければ幸いです。
(コンデンサー交換が必要な場合はどの規格のものを何個ぐらい購入すべきでしょうか?)
by Jeffjeff (2021-01-10 14:30) 

Rifle

Jeffjeffさん
実物を見ないと診断は難しいですが、「ブツブツ」という音が断続的に続くのならプリアンプ部のトランジスタ劣化が考えられます。「ブツブツ」が酷くなって「ガリガリ」「バリバリ」という音に変わっていくと、後続回路を劣化させるので、直ぐ対処する方が良いです。いずれにしても、オシロスコープか、シグナルトレーサー等を使って発生個所の特定が必要ですねー。
尚、今まで電解コンデンサを一度も交換された事が無いなら、全交換をお勧めします。基板側で液漏れした場合は外から見ても分からないので、劣化に気が付きにくいんですよ。
コンデンサには必ず電圧(V)と容量(μF)が印刷されていますので、基板上にあるのと同じ物に交換すればOKです。但し、「BP」とか「NP」という文字がある場合は「無極性」なので、交換時も無極性の物を使います。コンデンサの種類によって出てくる音も変わりますが、トーン回路やイコライザー等で幾らでも変えられるのであまり気にしなくて良いかも?ですよん。
by Rifle (2021-01-10 19:27) 

Jeffjeff

Rifleさん
レスポンスありがとうございます。
なるほど、トランジスタですか〜。
実は初めて中身(基盤)を開けて見た時に、接着剤が溶けたのか、はたまた、部品の中身が溶け出したのか、トランジスタが溶けた黄土色のゴムのような物体で覆われていた部分がありました。
(学生の頃に楽器店の練習スタジオで使われていたアンプを2000円ぐらいで買ったアンプでして、当然酷使されてきた個体だと考えられます。)
なんとか交換してみたいと思います。
ご指導ありがとうございます。(^^)
by Jeffjeff (2021-01-11 11:47) 

Rifle

Jeffjeffさん
黄土色の物体は共振防止のボンドで、大音量で使い続けないのなら取り去っても問題無いです。
当時の汎用トランジスタが使われているので今でも入手できますけど、以前と比べて大幅に値段が上がっちゃってるのがちぃと痛いです。
by Rifle (2021-01-11 21:55) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました