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グヤトーンFLIP300FCのオーバーホール(その5:修理中の代替回路) [音楽]

前回からの続き)

 回路図を一応作成したけれど、まとまった時間が取れず、配線を追って確認する作業が遅々として進まない。
 しかも、一寸配線を追うだけで「あっ、ここ違ってる」「おっ、こっちには繋がってないやん」「ありゃりゃっ、極性が逆だ」など、間違いがあちこち見つかるという有様。(滝汗)正確な回路図になるにはまだまだ時間が掛かりそうな感じ。

 そんな訳でまだ使える状態じゃないけれど、ギターの回路を弄った時などに実際に音を出せるギターアンプが無いのは何かと不便だ。
 作業しているのは二階の部屋で、一階の子供が使っている部屋にYAMAHAのギターアンプF100-212があるけれど、何か回路を触る度に一々一階に降りて行くとギターのネックをあちこちにぶつけそうで一寸怖い。「修理が出来上がるまでの間、FLIP300FCのスピーカを鳴らせる程度のミニアンプがあると良いかなぁ...あ、そういえば?」部品箱を漁ると、LM386が6個、LM380が1個見つかった。「このIC使って組んでみるか。」
 でも、データシート通りに作るだけでは何となく面白くない。それに、オーディオライクに低域まで出力できるようにしようとすると大きなコンデンサが必要となる。

 アンプ最終段出力とスピーカの間に挟むカップリングコンデンサは、スピーカの抵抗とセットで微分回路(ハイパスフィルタ)となる。スピーカの抵抗値は8Ωと低いので、可聴最低周波数の20Hzまで使えるようにするとなると、計算上では1000μF以上の容量が必要となる。
 普通の6弦エレキギターの再低音は82Hz辺りだから、カットオフ周波数をその値で計算すると242.6μF。手に入る容量となると220μFで、この時のカットオフ周波数は90.4Hz、6弦ローフレットの音域に引っかかってしまう。330μFなら60.3Hzだから、ギター用なら大丈夫。でも、汎用アンプとして作成するなら、やっぱり1000μFは必要だ。

 「うーん、でかいコンデンサだと大きなケースでないと入らないんだよなぁ...そっか、LM386は沢山あるからBTL接続にすれば良いじゃん!」
 ちょいとネット上漁ると、色んな回路がヒットする。あちこち見比べて、回路を組む。
LM386のBTL
7番ピン同士を接続しているボリュームは、出力側に出る直流電圧オフセットをゼロにする為の物。 データシートに「出力は電源電圧の2 分の1 に自動的にバイアスされます」と書かれているので、BTL接続にすればお互いに打ち消しあってゼロになる筈。しかし、製造誤差で実際にはゼロにはならないから、ボリュームで調整しようという魂胆である。
 回路図通りにブレッドボードに組む。
LM386のBTL回路を組んだところ
+9Vの電源を接続し、無音状態で出力側の直流電圧がゼロになるようにボリュームで調整する。
 この状態で動かすと音は(ややノイジーながらも)普通に出るけれど、音量に依っては直流電圧が最大で0.3V程出てしまう。となると、スピーカには37.5mA程度の直流が流れ込むことになるので、実に宜しくない。(汗)

 「スピーカに直流が流れるのは不味いなぁ。じゃぁ普通にLM380で組んでみよう。」ネット上でとても有名な「LM380非反転革命アンプ」を組むことにする。
LM380非反転革命アンプ
こちらも同じボードに組む。動作テストなので、カップリングコンデンサは100μF7個でとりあえず700μFにした。
LM380非反転革命アンプ
これを抜け殻になっているFLIP300FCのスピーカに繋いで音出しする。
スピーカに接続したところ
オーディオアンプのような癖の無いサウンドだ。スピーカ(と筐体)の持つ癖が良く分かる。流石、「革命」と謳うだけの事はある。この音を聞いて「完成品に仕上げよう」という気になった。
 ただ、完成品にする為には、放熱・ノイズ対策・基板レイアウトなどを考える必要が出て来るので、それなりに手間がかかる。放熱板なんて持ってないので、どうするかをまず考える必要がありそうだ。

 エレキギターの出力インピーダンスは(機種や回路構成にも依るけど)大体500kΩ辺りが多い。「ICの入力インピーダンスはどれ位?」データシートを見ると、LM386は50kΩ、LM380は150kΩとある。
 ギター用の安価なミニアンプなどは、ギター出力をそのままIC入力に入れているのも多いので、そのままでも恐らく問題は無い筈。でも、「ロー出しハイ受け」が基本だから、何となく気持ち悪い。
# 出す側がハイ、受け側がローだと高音成分が削れるんだよね。
「ぢゃぁ、エミッタフォロワでも入れるか。」実際の回路はこんな感じだ。
エミッタフォロワ
トランジスタに2SC1675を選んだのは、たまたま部品箱から1個つまみ出したらこれだった、というだけの話でそれ以外に理由は無い。(笑)今回のような使い方だと、NPN型(2SC・2SD)ならどれでも同じだ。
# 音質の面では、素子が違えば音も変わるけどね。
ブレッドボードの端で組む。
バッファー回路を組んだところ
アンプICの入力段の前に入れると、多少は高音域が良くなったよーな気がするけれど、元々音が歪み気味なので良く分からないというのが正直なところ。(笑)回路的には、無いよりはあった方が良いし、アンプICとフォロワの間にボリュームを入れて、音が歪まないようにする方が良いだろうなー。

 これでギターの音を確認できる状態にできる事は分った。が、プリアンプが真空管のFLIP300FCとは性格の異なる音なので、あくまでも確認用である。回路図を早く仕上げなきゃ。(汗)

(続く)
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みうさぎ

カラフルなコードが可愛い
あっ違うかぁ

by みうさぎ (2020-04-06 21:10) 

Rifle

みうさぎさん
言われてみれば、確かに色が多いですねぇ。
電子系回路では赤は電源、黒はアースという暗黙の了解と言うか業界標準みたいな気まり(?)があり、信号のラインやフィードバックのライン等も色を変える事が多いので、結果的にカラフルになっちゃうんですよねー。色変える方が配線間違わないし。(^^;)
by Rifle (2020-04-06 23:16) 

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