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トランジスタのhFEと回路設計 [電子回路]

 テスタのヒューズが届いたので早速入れ替えて、止まっていたトランジスタ(以後「Tr」と略す)のhFE(直流増幅率)を測定する。測定用の回路はこんな感じ。
TrChkr.png
ネット上を彷徨うと、hFE測定の回路そのものは同じだけど、各抵抗の値が随分と違う。今回は電源としてNi-MH電池3本を使うので、その辺りを考慮して決めた数字である。
 なお、国際的な記号に従えば、抵抗器は細長い長方形で表示するべきだが、回路図作成に使っているソフトが古いままなので、従来通りのギザギザの絵で表示している。

この回路で、実際に2SC536のhFEを測定する。
IMG_2236.JPG
作成予定の回路はTrに30mAほど流す積りなので、コレクタに流れる電流ICを30mAとなるようにVR1を大まかに調整してVR2で微調整する。
 今回は電源電圧が低く、流す電流も多くないので、測定するトランジスタのコレクタ損失は気にしないで測定するが、本来ならば許容範囲内に入っているかどうかを確認するべきだろうなぁ。

 マルチテスタに付いているhFE計測機能はIB固定で計測しているらしいが、hFEはIcによって変化するので、想定する電流を実際に流して測る方が良い。また、温度によっても変化するので、電流を流している間にTr自身が熱を持つようになってドンドン数字が動くから、ある程度動きが落ち着いてから数値を読み取る。
 画像の数字を使って計算すると、hFE=30.3(mA)÷142.8(μA)=212.・・・となる。もう一つ同じ型番のを測ったらhFEは188だった。IC=30mAの時のhFEはだいたい200前後ということになる。

 先日も触れたが、今回測定したTrは定電流回路に使う予定である。何故、定電流回路なのか?というその理由は...以前、車用に使っていた12V80mAという出力の太陽電池を、手回しダイナモ発電式LEDライトの充電に流用しようと考えたが、LEDライトに使っているNi-MH電池は容量が3.6V250mAhと小さい上に急速充電できないタイプなので、いきなり80mAも流すと電池を痛めてしまう。だから、30mA程度に抑えるのに定電流回路を使うのである。
 なお、太陽電池の定格表示は「80mA流すと12V」なので、80mA以下で使うと電圧がもっと高くなり、何も接続していない無負荷の状態では18V以上となるのが普通である。だから、実際に使う際には事前に太陽電池の電圧と電流の関係を実際に調べておかないと、回路を壊してしまいかねない。

 組もうとしている定電流回路はこんな感じ。あちこちのサイトで紹介されている回路だ。
CurrentAmpare circuit
では、実際に回路の設計をしてみよう。
 Ni-MH電池に流す充電電流ILはQ1のTrのベース・エミッタ間の電圧VBE1をR2で割った値となる。
# 参照したサイトでは、どこでもそのように書いてあったのだ。(笑)
VBE1はどのTrでも0.65V程度なので、IL=0.65(V)÷R2(Ω)となり、30mA流したいのならR2≈21.7Ωとなるが、入手し易いE24系列の抵抗値に合わせて22Ωとなる。
 本来ならQ1のベースに流れる電流IB1を考えなければいけないのだが、ILに比べてIB1は桁違いに小さいので、
# 最大でも、R1を流れる電流に対して「Q1のhFE」分の1
ここでは無視してOK。

 次はR1だ。Q1は計算上は無視して進める。
 ILはそのままQ2とR2に流れ、Q2のhFEが200、IL=30mAとすればQ2のベースに流す電流IB2=IL÷hFE=30(mA)÷200=150μAとなる。
 太陽電池の出力電圧を18VとするとR1=18(V)/150(μA)=120(kΩ)、12VとするとR1=80(KΩ)となるが、IB2が設計値ぎりぎりだとQ2の動作が不安定nなので十分な電流を流す必要がある。
# と、大学で教わったような気がする(笑)
だから、R1は10kΩから20kΩ位の値で良いんじゃないかと思う。

 ここで、Q1に流れる電流は微々たる量なので気にする必要は無いだろうが、Q2には30mA流すので、Q2のコレクタ損失が許容範囲内かどうかが気になる。
 電源電圧を18V、接続するNi-MH電池の電圧は3.6Vだから、Q2のコレクタ・エミッタ間の電圧VCEは、
VCE=18-3.6-0.65(R2に掛かる電圧=VBE1)=13.75V
だから、コレクタ損失PWは、
PW=VCE×IL=13.75(V)×30(mA)=412.5(mW)となる。
# 本当にここまでこの計算で合ってるの?という疑問もあるが。(^^;)
 でっ、ネット上を彷徨って古い規格表を探し出して見ると、2SC536のコレクタ損失は...ゲゲッ、200mWまでじゃん。(笑)普通ならQ2には2SDシリーズを使うんだろうなー。

 実際には太陽電池の電圧が18Vまで本当に出るのかどうかを測っていないので、明日以降、太陽の下で実際に計測してから、このままにするか、或いは計算しなおすか、を考えよう。
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くーぺ

配線図には詳しくありませんが、図面というのは何となく楽しいです◎
若い頃にドラフターで汎用コンピューターの筐体を設計いていました。
アナログでの干渉チェックはなかなか面白い作業でした(^^)
by くーぺ (2011-10-06 23:46) 

Rifle

くーぺさん

おぉ!メインフレーム筐体の設計をされていたとは知りませんでした。デジタルは放射電波が強く、基板同士が近いとアナログへの影響が出ますもんね。

専門はUNIX(勿論The Netも)なんですが、仕事が無い時はメインフレームの仕事をしていましたから、随分と使いました。
by Rifle (2011-10-06 23:57) 

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