エフェクター自作：Proco RAT：ナンチャッテ技術者の凸凹日記：SSブログ

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エフェクター自作：Proco RAT　[音楽] [編集]

　ギターは弾けないものの、学生時代は何故かギターとエフェクターも持っていた。社会人になってからは自由になる時間が殆ど無くなってしまったことから次々と手放してしまい、エフェクターはBOROのコンプレッサーを除いて手元には一台も残っていない。

　高校生か大学生の頃だったと思うが、ProcoというメーカからRATという名のディストーションが発売され、しばらくして当時のギター・マガジン誌だったかギタープレイヤー誌だったかに載っていたJohn Scofiledのインタビューの中で「ProcoのRATは、ギター側ボリュームを絞るとクリーンになるし、ボリュームを開ければワイルドになるから、とても使い易いヨ」と言っていたのを読んで「そりゃーエエ話聞いた。必ずRATを手に入れるぞ！」と無けなしのお小遣い全額を握り締め、楽器屋に走って（正確には、バスと電車と地下鉄を乗り継いで）購入した。
　しかし、「ギター側ボリュームを絞ってもディストーションのままだよーぉ？？？」購入した個体特有だったのかどうかは不明だが、ギター側の出力を幾ら絞ってもクリーンとは程遠い歪んだ音しか出てこない。理論上は入力が小さくなれば、大きく増幅しても波形が歪まずに出力される筈である。が、現実にはどんなにボリュームを絞ってもクリーンに近い音にはならず、辛うじて聞こえる程度に絞っても出てくる音は歪んでいる。そこから更に絞ると、今度は「ザー」というノイズしか聞こえなくなってしまう。DISTのつまみを絞っても、出てくる音はほぼ同じ。

　それでも、それまでのディストーションやオーバードライブのサウンドとは一味も二味も違う高音域の出方が気に入って、ギター・マガジン誌に載っていたJohn Scofieldの「The Nag」という曲のタブ譜を見ながら練習するのに使ったりしていた。
# もちろん、まともに弾けませんでしたけどね...。

　その後、金銭的事情によりやむを得ず手放してしまったが、個人的には結構思い入れの深いエフェクターである。手放す時に中の基板をトレースして回路図を書いた筈だが、その回路図は未だに行方不明のままになっている。
　ちなみに、購入したのはLEDが付く直前のモデルで、購入して1年半ほどでLED付きが発売されてしまい、口惜しい思いをした覚えがある。

　久し振りにJohn Scofieldの古いアルバムを聴いていて「そういえばRATって自作できんかな？」部品箱を見ると、何故かオペアンプLM308があるではないか。一体どこから取り外したのかは全く覚えていないが、要となるICがあれば後は何とでもなるので、ネット上からRATの回路図を探し出して早速手持ちの部品で組んだ。

ところが、何故か動かない。何度配線を見直しても回路図通りである。「おっかしーぃなー...ん？待てよ...」
　回路図をよくよく見るとオペアンプ入力の部分はプラス入力とマイナス入力が逆のような気がする。LM308のデータシートをネット上から拾ってきて見ると、やはりピン配置が逆でないと辻褄が合わない。早速2番ピンと3番ピンを入れ替えると、あっさりと動くではないか。「何だ、それだけのことか....

」お陰で半日ほど時間を無駄に使ってしまった。

　しかし、出てくる音はRATに良く似ているものの、頭の中で鳴っている「RATの音」ではない。「うーん、RATはもっと高域がしゃしゃり出ていて、こういう潤いの無い音じゃなかったよなー」というのが率直な感想である。
　RATの出力バッファには2N5458というFETが使われているが、中部地方では入手困難なので代用品として2SK30ATMを使っている。オリジナルと最も違うのがこの点である。「じゃぁ、FETを差し替えると音も変わる？」と、手持ちのFETで入れ替えて確かめてみた。

使ったのは"SK30ATMの他に2SK34、2SK43、2SK68A、2SK170、2SK246と、電力制御用の2SK1446と2SK2182だ。
　実際にFETをあれこれ入れ替えて音を確かめてみると、電力制御用では何故か音量がほんの少し小さくなるという不思議な動作になるものの、どのFETもその差は殆ど分からない程度のものでしかない。RATを使っていた頃はラジカセのMIC入力に直接入れていたから
# そういう人って結構多いんじゃないかな？