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アベノミクスと収入減少 [雑感]

 今日の朝日新聞朝刊のオピニオン欄に、神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏が寄稿した「壊れゆく日本という国」という文章が掲載された。この文章は朝日新聞デジタルでも読めるが、長文だし、全文を見るには会員登録が必要なので、大雑把にまとめると以下のような感じである。長い文章なので、まとめてもやっぱり長いねぇ。[がく~(落胆した顔)]
 国境・軍・官僚組織があり、言語・伝統文化・宗教・生活習慣を共有する人達が帰属意識を持つ共同体を「国民国家」と言う。この統治システムはWestfälischer Friede(ヴェストファーレン条約、またはウェストファリア条約、1648年)の時に原型が整って以後現代まで続いたが、ここに来て崩れてきている。言い換えると、政府が「身贔屓」を止めて「国民以外のもの」の利害を国民よりも優先するようになった。
 この「国民以外のもの」とは、日本人創業だが利益を優先して日本国外に工場を設営して現地人を雇用して現地政府に税金を払い、国内の雇用・税収減少を顧みない「グローバル企業(または無国籍企業)」だ。国内の大企業はグローバル企業化していて、利益を追求するその姿勢は企業としては正しいが、それを政府が国民を犠牲にしてまで支援するのはおかしい。

 グローバル企業と日本国内のメディアは原発を止めて電力価格が上がるとコストが嵩んで国際競争で勝てないから大飯原発再稼動を認めよ、と国を脅し、その結果として当時の民主党政権は再稼動を認めた。  しかし、これはおかしい。再稼動後に放射能が漏れたりしたら、除染のコストを負担するとは思えないし、再建の為に国内に留まるとも思えない。さっさと海外へ逃げるだろう。

 企業に起因する環境汚染は税金を使って浄化する「環境保護コストの外部化」、原発再稼動で製造コストを下げる「製造コストの外部化」、工場の為に鉄道・道路を整備させる「流通コストの外部化」、英語が話せて残業にも耐えて転勤を受け入れる「グローバル人材」の育成を大学にやらせる「人材育成コストの外部化」等々、こういったものは本来企業が経営努力で行うべきなのに、それを国民国家に押し付けて利益だけ吸取るのがグローバル企業の戦略である。
 この戦略と国民国家の利益は一致しないのに、国内メディアも(ケネディ風に言えば)「グローバル企業がキミに何をしてくれるかではなく、グローバル企業の為にキミが何を出来るかを問いたまえ」と無批判に後押ししているのが恐ろしい。

 今の安部政権は、この「戦略」と「国民国家の利益」がイコールであるかのように国民に錯覚させる為に、外交政策などで「国民的一体感」を懸命に演出している。低賃金・地域経済の崩壊・英語の公用語化・サービス残業・増税・TPPによる一次産業への打撃・原発再稼動を受け入れれば「戦略」は成功する、そうしなければ日本はグローバル化に負けてしまう、と盛んに煽る。
 しかし、その「戦略」がもたらすものは国家国民の利益ではなく、グローバル企業に投資している金持ちの利益である。

 国内では国民国家の解体を推進する人達が政権を担っていて、政治家・官僚・国内メディアが何故か嬉しそうにそれを見つめている。多分これが国民国家の「末期」症状なのだろう。
 だが、この国民国家の解体は日本だけではない。大なり小なり何処の国でも起きていることなのである。
自宅の庭に咲く花
# この画像は我が家で咲いた花を撮っただけで、本文とは関係ありません。A(^^;)
 トヨタが誇るカンバン方式は在庫管理を納入元に押し付ける「資産管理の外部化」、正社員を減らして派遣会社に頼る「人材管理の外部化」、生活習慣や勉強などを教師に押し付ける「躾の外部化」、...身の回りでよく見かけるものも、内田氏のオピニオンと同じである。だから、このオピニオンを読んだ時に思わず「ウーン」と唸ってしまった。

 アベノミクスと表現されている政策は大企業の経営層にはウケが良いようだが、拙者は「ク」の字を抜いて「アベのミス」だと思う。何故ならは「どんなに企業が儲かっても、社員の給料は上がらない」と考えているからである。
 アベノミクスが前提とする「企業が儲かれば社員の給料も上がる」というのは、自民党が政権に居座っていた昭和の頃なら通用したかも知れないが、グローバル化が進んでいるのにグローカル(グローバル+ローカル)化が遅遅として進まない現在の日本では成り立たないと思うのだ。正規職削減による人材の流動化により組織が蓄積できる技術力が低下し、高度経済成長期のような社員の組織に対する強い忠誠心も無くなり、近い将来すら見通すことが困難な状態で、どうして企業が社員に支払う金を増やすと思うのだろう?拙者には全く理解不能である。「何が起きても組織が存続できるように、経営層だけは生き残れるように」内部留保を増やし、人件費などの固定費に厳しい視線を向けるのが普通なのではないか。
 それに加えて、インフレやデフレは常に各個人の収入よりも大きく、そして早く動く。今回もインフレに見合うだけの給料になるまでには相当の長期間が必要だろうから、金持ちでない人はインフレによる価格上昇で生活が苦しくなるだけに終わってしまうのではないか。

 日銀が金融緩和でお金を大量に垂れ流し、国内をお金でジャブジャブにするなんてことをやっているけれど、これも「お金が銀行へ沢山行けば、投資・融資で国民にもお金が届き、そのお金を使うから景気が良くなる」という前提がある。
 しかし、銀行に預けても利子は殆どゼロ、収入も増えないどころか価格上昇で事実上減少しているという状態で、どうしてお金を使うと考えるのだろう?こういう政策を考える人達は裕福な生活を満喫しているんではないだろうか...「高速道走行中に高速道を跨ぐ橋から人が落ちて轢いてしまったのは、停止しない運転手が悪い」という裁判の判決があったそうだが、これも同じようなもので、裁く人は車を運転しなくても済む人なのではないか。

 モンスターペアレント、オレオレ詐欺、脱法ハーブ...等等、一見、アベノミクスや日銀緩和策とは関係無さそうに見えるけれど、これも問題の根っこはと同じなのでは?と思う。国民全体の「考える力」がどんどん衰えているように感じるのである。

 ...ナンだか分ったような分らないような内容になってしまって、拙者本人も「うーん、何だか締まりの無い文章だなー」と思うのだが、何度推敲しても大した変化が無いので、今日はこの辺で止めておこう。A(^^;)
 さて、話は変わるが、先日So-net「ポイントポン」というスロットゲームで初めて100点以上の数字が出た。
So-netポイントポンで102点
50点は2回出たことがあったけれど、3桁以上はこれが初めて。だけど、アベノミクスで点が上がった訳では無いと思う。(笑)
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くーぺ

お久しぶりです。
まさに仰る通りだと思います。
『合成の誤謬』という状況を理解して欲しいと思いますし、
今まで放置してきた社会問題や国民モラルの低下が累積され
じわじわと滲み出て来ていることにも真剣に取り組んで欲しいと
思います。
by くーぺ (2013-05-09 17:06) 

Rifle

くーぺ さん

どーもご無沙汰してます。
そうそう、将に「合成の誤謬」ですね!それに社会全体の「劣化」が加わって現在の状況に陥ってますが、政府も旧来の政策に固執するのはいい加減止めて将来に目を向けて欲しいです。
by Rifle (2013-05-09 20:32) 

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