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カワイF-1Jrの簡単な修理 [音楽]

 先日、オークションに昔憧れていたギターの一つ、KawaiのF-1Jrが出品されていた。リア・ピックアップの音が出ないという理由で安値スタートだった。
 「探してる人が多い機種だから、どうせ値が上がっちゃうでしょ」と思いながらも「落とせないと思うけど」と通常取引額の1/3ほどで入札しておいた。

 数日後「おめでとうございます!あなたが落札しました」というメールが届いた。「へぇ?何か入れてたっけ??」落とせない前提で入れていたから、入札していた事をすっかり忘れていた。(汗)
 慌てて確認したら、殆ど競らずに落ちていた。どうやら「リアの音が出ない」というのが敬遠されたらしい。数日後、自宅に届いた。
Kawai・F-1Jr
1980年当時のカタログに依れば、ボディ材はセン、ネック材はメイプル+マホガニー、ピックアップやフィンガーボード材の記述はない。
 裏を見ると、スルーネック構造が良く分かる。
Kawai・F-1Jr裏側
ピックアップはハムバッカー2個だが、それぞれにタップ切替スイッチが付いている。
ボディ部アップ
通常のタップはハムバッカーの片側だけシングルコイルとして使うが、この機種は更にローカットもできるようになっている。
 ヘッドは上から貼られている。ペグ(糸巻き)はメッキ部の劣化が激しい。
ヘッド部
 裏側には、大きなシールが貼ってあったらしい。
裏側にシール痕がある
回路部は黒い樹脂で蓋されている。蓋を開けると、こんな感じ。
回路部
配線は何処も外れていない。リア・ピックアップの音が出ないのはピックアップ本体が駄目なのかも知れない。
 改めてリアピックアップを見ると、何かおかしい。必要以上に凹んでいる。
リア・ピックアップが何故か凹んでいる
エスカッションを外してみたら、固定ネジが外れただけだった。
エスカッションを外したところ
ピックアップが落ち込んで、弦から離れ過ぎたから音が出ないのかも知れない。全体的に汚れている上に、ボンドで固定してあったような形跡もあった。
エスカッションは結構汚れている
セスキ炭酸ソーダなどを使って軽く掃除した。
一寸奇麗になった
ピックアップ裏側はかなり錆びている。
裏側が錆びている
そのままでも音に影響しないが、錆が進行してしまわないように軽く錆を落としした。
錆を落としたところ
 エスカッションを固定するネジは頭が錆びている。手の汗でも吸ったのだろうか。
エスカッション固定ネジが錆びている
気休めにワイヤーブラシで磨いた。
ネジを磨いた後
ブリッジを支えるスタッドもやや汚れている。
ブリッジのスタッドも汚れている
NevrDull(ネバーダル:金属磨き)で磨いた。
磨いた後
 テールピースを支えるボルトの軸に錆が出ているので、こちらも磨いて奇麗にする。左が磨く前、右が磨いた後だ。
左が磨く前、右が磨いた後
チューン・O・マチック・タイプのブリッジとテールピースはどちらもメッキの状態が余り良くない。
メッキの状態は良くない
40年前のギターだから仕方ないのかも知れない。こちらもNevrDullで磨いておく。
 フレットは部分的に凹んでいるので、かなり使い込まれたようだ。
フレットが部分的に凹んでいる
フィンガーボードをレモンオイルで拭いたらかなり黒くなったので、色が付かなくなるまで繰り返し拭き取る。汚れが取れると少しだけ色が深くなった。(右半分)
右半分が汚れを取った後
一通りクリーニングしたら、改めてレモンオイルをたっぷり塗って数時間放置する。
レモンオイルをたっぷり塗った
 ペグはメッキがくすんで錆も出ている。
ペグにはくすみと錆がある
外してみたら、内部のグリスが漏れたらしくて全体的に茶色っぽい色になっている。
外したペグは全体的に汚れているつまみを抜いたところ
古くなったグリスが茶色に変色しているものの、部品の劣化は無さそう。古いグリスを拭き取り、グリスをごく薄く塗ってから元通りねじ込む。メッキの部分は液体コンパウンドで磨くが、人力では大して奇麗にはならなかった。6個全てを磨き終わったけれど、見た目は作業前とあまり変わらない。(汗)
作業を終えたヘッド
 ボディは浅い傷だらけ。しかも全体的に薄汚れている。
傷が多く薄汚れている
液体コンパウンドで磨くと少し奇麗になった。
IMG_7814.JPG磨いたら奇麗になった
ピックアップ切替スイッチのノブも汚れている。
ピックアップ切替SWのノブも汚れている
セスキ炭酸ソーダの液で拭き取ったら奇麗になった。
奇麗にした後
ノブやスイッチがある部分もだいぶ汚れている。
操作部の表面も汚れている
一旦部品を外してから液体コンパウンドで磨いたら奇麗になった。
磨いた後
ボリュームのノブも、石鹸でゴシゴシ洗ってからコンパウンドで磨く。右2個が作業前、左1個が作業後である。
右2個が作業前、左1個が作業後

 フィンガーボードのレモンオイルは2時間半ほどで無くなっていたので、乾拭きしてからフレットを磨く。
フレット磨き中
ところが、どれだけ磨いても一向に奇麗になってくれない。何故なのかは分からないが、奇麗にならないのなら作業する意味が無いので、フレットを磨くのは止めた。
 ボディ裏側のシール痕は、液体コンパウンドで磨いても奇麗にならない。
シール痕は消えなかった
シールの糊の成分がボディ側の塗装と反応してしまったようだ。
 樹脂パネルも細かい傷が全体的にあるので、液体コンパウンドで磨く。
樹脂パネルを磨き中
上1/3が磨き終わったところだが、一寸深い傷は消せない。
 磨いたブリッジとテールピースを載せる。
弦を張る準備完了
新しく張る弦は、前回から使い始めたROTOSOUNDステンレスのミディアムのセット。
ROTOSOUNDステンレス・ミディアム
弦を張り、弦高調整・オクターブ調整をして作業は完了である。

 ギターアンプに接続して音を出してみた。
 トーンは動かすとガリが出るものの、それ以外は全て問題無く音が出る。リア・ピックアップの音が出なかったのは、エスカッションから外れていたからだったようだ。古い製品なので、ボリュームポットは3つ共分解清掃する方が良さそうだ。
 タップ切替スイッチのフロント側は何かにぶつけたのか、スイッチのつまみがブリッジ方向に少し傾いている。ボディ全体に擦り傷があるし、ペグやブリッジにはメンテンナンスの形跡が無いので、酷使されてそのまま放置されていたらしい。

 ジャンク扱いだったけれど、普通に使える状態になってホッとした。でも、置く場所が無いんだよなー。(汗)
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