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アリアプロ2 LC-600の簡単な調整 [音楽]

 2018年に入手したアリアプロⅡのLC-600(色はアンティークレッド)は、入手した状態のままでずーっと保管してあった。
アリアプロ2のLC-600
ギブソンのメイプルネック期レスポール・カスタムをフルコピーしたモデルである。
LC-600の背面
1978年(昭和53年)のカタログによると、ボディはメイプルトップ削り出しでバックはマホガニー、ネックはメイプル3ピース、フィンガーボードはエボニー、だそうな。ボディサイドを見ると、確かに中央に合わせ目が見える。
ボディに合わせ目が見える
規制前なので、ヘッドはダイヤモンド・インレイが入っている。一見インレイに見えるけれど、ヘッドのサイズに切ったセルロイドに黒い塗装をしてインレイに見せかけているようだ。
ダイヤモンド・インレイ
張り付けた裏側に隙間が出来ているらしく、インレイが部分的に白く浮いている。

 まずは錆び始めている弦を全て外し、フィンガーボードをレモンオイルで磨...おっと、レモンオイルが低温で下の方が固まっている。
下の方がとごっている
日航の当たる窓辺に置くこと10分、融けて満遍なく混ざるようになった。
融けたところ
フィンガーボードを磨いても汚れは殆ど付いて来ないが、フレットに何やら塗料が付いているのが気になる。
フレットに塗料が付着している
フィンガーボード全体が乾燥し過ぎという感じで、かなり色が浅い。
フィンガーボードの色が浅いのは乾燥し過ぎかも
カタログ上はエボニーだけど、見た目は完全にローズウッドなんだよなぁ。(謎)
 フレッドだけでなく、フィンガーボードにも赤い塗料が付着している所があるので、精密マイナスドライバーで削り取る。
余分な塗料を削り取る
フレットの塗料も気になるので、カッターナイフの背を使って粗方削った後、更に1500番のペーパーで磨く。左3本が作業前、右3本が作業後だが、見た目は殆ど変わらない。
フレットの作業前(左3本)と作業後(右3本)
その後、全体をレモンオイルで改めてクリーニングしたら、色はだいぶ濃くなった。
フレットもフィンガーボードも凸凹している
それでもフィンガボードの凸凹と、フレットの凸凹が気になる。フィンガーボードが痩せたのか、部分的にフレットが浮きかかっている部分もある。この辺になると拙者の手には負えないので、とりあえず現状のままで良しとする。

 ブリッジ(画像奥)とストップテールピースはともにメッキ品。当時としては標準的な装備だ。
ブリッジとストップテールピース
メッキ前の下地処理が甘かったようで、ほんの僅かだけど下側から盛り上がったようになっている部分も見受けられる。
メッキが痛み始めている
ピックアップセレクターも、経年で金属部の表面がうっすらと錆びている。
ピックアップセレクターも錆びている
一旦外し、ワイヤーブラシで磨いてから取り付ける。
ワイヤーブラシで磨いた後
弦は、以前安売りしていた時にまとめ買いしたエリクサーのセットが1つだけ残っているので、それを使う。
エリクサーの弦
ゲージは0.11から、所謂「ミディアムゲージ」だ。自宅にあるソリッドボディのエレキギターは全てこのゲージを使っている。
弦を張り替えた後に、ピックアップ・エスカッションの傷が気になった。
傷の多いエスカッション
液体コンパウンドで軽く磨いたら、一寸だけ奇麗になった
液体コンパウンドで磨いた後
ちなみに、カタログに依ればピックアップはフロント・リア共にEXTRA-Ⅰである。
 ヘッドの裏側にも何故か中途半端に赤い塗料が吹き付けられたような痕があってかなり気になるので、1500番の耐水ペーパーで軽く磨く。
1500番の耐水ペーパーで研磨中
塗料の凸凹が無くなったら液体コンパウンドで艶出しした。
液体コンパウンドで艶出しした後
ネック折れを修理するとこの場所に塗装するけれど、このギターにネック折れの痕跡は全く無い。何故塗装したのかは分からない。
 ボディの右半分にはピッキングの傷が多数ある。
ピッキング傷が多い
入手した時点でピックガードは無かったけれど、前所有者はガードを外したまま使っていたんだろう。液体コンパウンドで軽く艶出ししたが、深い傷は取り切れなかった。
液体コンパウンドで傷取りした後
念の為に、コントロール・キャビティの中も確認しておく。
コントロールキャビティの中を見る
ボリュームポットはAカーブの500kΩ、トーンポットはBカーブの500kΩ、トーン用コンデンサにはマイラー・コンデンサ0.022μFが使われている。どれもレスポール・モデルの典型的な設定である。
 オクターブ調整し、クリーニングクロスで全体的に軽く拭きあげる。フレットの摩耗や部分的な浮き、ナットの劣化など、気になる部分は色々あるけれど、とりあえずは完成とした。

 ギター用ヘッドフォンアンプで一寸音を出してみた。出てくる音は...えっ、はっきりしたレスポールの音やん!(笑)
 今は妻が使っている(!)Gibson本家のレスポール・スタンダードとあまり変わらない音だが、ネックがメイプルだからか、少しだけ固めの音になっている。Ulf Wakenius(ウルフ・ワケニウス:スウェーデン出身のジャズ・ギタリスト)が来日時に「中古を100ドル位で買った」というアリアプロⅡの黒いレスポールを使っていたけれど、思わず「なるほど!」と納得してしまう。
 とりあえずは現状のまま使い続けるけれど、いずれはフレットやナットの交換も含めたメンテナンスをしなきゃなーと思っている。(汗)
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