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ラジカセ日立パディスコTRK-8280のオーバーホール(その3:なるほどォ) [雑感]

前回からの続き)

 TRK-8180の作業がほぼ落ち着いたので、いよいよメータ表示用も兼ねて張り巡らされていたラジオ部のナイロン糸を改めて張る。

 ラジオ選局ツマミは本体上部にあるけれど、選局を担当する部品(ポリバリコン)は基板の上にある。基板は本体内部に垂直に収まっているので、それをナイロン糸(以下、糸)で動かしている。
 基板の配線パターン面側に、ポリバリコンに取り付けられた大きな樹脂製の白い円盤がある。その円盤は周囲に溝があって、そこに糸を通す構造である。矢印に入れた数字の順番で糸を張って行く。
ラジオ回路に繋がる円盤とナイロン糸
円盤(矢印1)からスタートした糸は、ラジオ選局ツマミ(矢印4)の軸を3周回してからローラー(矢印5)を通り、ラジオ周波数パネル下にあるローラー(矢印6)で折り返す。
チューニング用糸の張る順番
折り返しの部分をラジオ周波数パネルの下から見ると、こんな風になっている。
ローラーでラジオ周波数パネルの下を通す
ここから、糸はラジオ周波数パネルの下を通り、パネル端近くで糸の位置を調整するガイド(矢印7)を通す。
ナイロン糸のガイド
糸は少し高い位置を通って太いガイド(矢印8)を経て方向と角度を転換するローラー(矢印9)で円盤側に行き、方向転換のローラー(矢印10)から円盤に添って巻いて行き、巻き止め(矢印11)に巻き付けて御終いである。

 実際に糸を通してみると、設計の段階で色々と考えられている事がよく分かる。
 糸をただ通しただけでは、ラジオ選局ツマミを回しても糸と連動しない。糸を強く引っ張って円盤側にあるバネが1.5倍程度に伸びた状態のまま、最後の巻き止めに巻かないと機能しないのである。フリクション(摩擦)を利用した構造なので、糸の張り具合も重要な機能の一つなのだ。
 また、初めのうちは矢印7のガイドに気が付かずに糸を張ったのだが、ラジオ選局ツマミを回しても円盤が動かない。「おっかしいなー?」と思いながら見直したら、矢印5のローラーの上をを通る辺りで糸が弛んでいた。
 「緩過ぎたん?」と、糸を更に強く引っ張ってやり直したら、今度はラジオ選局ツマミを動かすと5の位置で糸が直接擦れてしまう。「何故じゃー?」と思いながらよくよく見直したら、矢印7のガイドに気が付いたのだった。
 当時は三次元CADなんぞ無い時代だったから、モックアップ等を作って何度も検討したんだろう。「なるほどォ、実際に販売された製品だけあって、よく考えられてるわ」と改めて感じ入った。
 TRK-8180をお手本にしながら作業したのだけれど、案外難しくて10分以上かかってしまった。随分と梃子摺ったけれど、何とか元通りに直せた。

 次は、カセットテープ開閉部のダンパーだ。
 ダンパーは一般的な空気シリンダーを利用した物だけど、ダンパーを支えるピンが劣化で折れている。
ダンパーを支えるピンが折れている
折れたピンの太さは1.8mm。
太さ1.8mm
材質が樹脂なので、この太さなら劣化で折れてもおかしくない。ある程度力のかかる所なので、仮に接着剤で付けても接着面積が少なくてまた取れてしまう事も考えられる。なので、針金で直す事にする。
針金で直す
初めのうちは、セミアコのハードケースを修理した時と同じように束ねた状態にして固定しようと考えていた。
針金を束ねたところ
しかし、支える側の部品の片方は穴をあければ良いけれど、もう片方の支えは薄くて穴を開ける訳には行かない。
片方は固定用の穴を開けられない
「ウーム、どうしてくれようぞ...。」考える事しばし、「よーするに動けば良いんでしょ?針金を通すだけでも良いんでは!?」やってみたら、これで十分と分かった。
針金を通すだけでOK

 これで本体内部の作業はほぼ終了。残るは外装だ...

(続く)
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みうさぎ

オッハー内部終了!外装は唸らなくて済みそう?
by みうさぎ (2021-05-09 05:59) 

Rifle

みうさぎさん
大雑把なクリーニングで行けそうな感じです。
細かくチェックすると何が出てくるか分かりませんけど。(^^;)
by Rifle (2021-05-09 08:23) 

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