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えっ、買い戻し!? [カメラ]

 電池式の単体露出計は色んな機種を使ってみて、手元に残ったのはこの二つ。
手元にある露出計
撮影会から一寸したスナップ撮影まで、これだけで十分。だから、このブログで度々顔を出していたミノルタのフラッシュメーターVIは、他の機材購入の為に1年ほど前に手放した。
 4年ほど前に買い足したローライコード3型はシャッターが大陸系列だけど、専らモノクロ(白黒フィルム)を詰めて使っていたから露出で困る事は無かった。

 ところが、ローライフレックス2.8Bが手元に来て、ポジとモノクロを併用するようになってから、(些細な話ではあるのだけれど)ポジの露出でほんの一寸だけ悩むようになった。
 その理由は、ローライコードもローライフレックスも、シャッターが大陸系列だから。画像ではローライコードもローライフレックスも「1/100秒」になっているけれど、「1/125秒」は無い。現在使われている倍数系列の「1/125秒」と「1/60秒」の中間に相当する。
ローライコード3のシャッター速度

ローライフレックス2.8B のシャッター速度
 1950年代半ばまでのシャッター速度は大陸系列、それ以後は倍数系列となっていて、現在のカメラも全て倍数系列である。具体的なシャッター速度は以下の通り。
倍数系列11/21/41/81/151/301/601/1251/2501/500
大陸系列11/21/51/101/251/501/1001/2001/500
モノクロやネガはラチチュード(exposure latitude:露光寛容度・露出寛容度)がある程度広いのでシャッター速度が一段遅くても影響は出難い。
 その点、ポジはラチチュードが狭いので、シャッター速度が一段低いとかなり明るく写ってしまって(露出オーバー)、思い通りの写り具合にはならない。

 例えば、露出計で測定した結果が「シャッター速度1/125秒・絞りF8」の場合、倍数系列ならそのまま設定すれば良いけれど、大陸系列だと当てはまるシャッター速度が無い。
 こういう時の対処方法として、写真関係の書籍などでは「近いシャッター速度に設定する」と説明している事が多い。具体的には「シャッター速度1/100秒、絞りF8」(1/3段の露出オーバー)か、「シャッター速度1/200秒・絞りF8」(2/3段の露出アンダー)のどちらか。実際には露出差のより少ない「シャッター速度1/100秒・絞りF8」を選ぶ事になる。
 でも、それはラチチュードの広いネガやモノクロの場合の話。ポジだとそうも行かないのだ。

 電子制御式のシャッターなら誤差は少ないだろうが、拙者が使うカメラは全て機械制御式のシャッター。どんなに調整しても、全てのシャッター速度が誤差ゼロにはなってくれない。
 だから、露出計の値から1/3段の露出オーバーであっても、シャッター自体の誤差も含めると1/2段近い差が出る事も十分あり得る。
 ネガやモノクロなら気にする程の差ではなくても、ポジでは非常に大きな差となってしまい、結果として「ありゃ、露出オーバーやん」という結果を招いてしまうのである。

 実際、ローライフレックス2.8Bのポジを使ったテスト撮影は全部露出オーバーで、適正露出時の色合いが分からないという有様だった。
 デジタルと違ってフィルムは現像しないと結果が分からず、「その場で調整」が出来ない。だから、1/3段の差でも無視できないのだ。
 だから、一時期「ポジ専用に倍数系列シャッターのローライを探そうか?」なんて考えてたりした。
 倍数系列のシャッターは、ローライフレックスなら2.8D以降、ローライコードならV以降の機種となる。どちらにしても今となっては高価格帯に属するカメラなので、おいそれと手を出す訳には行かない。

 そんな時に思い出したのが、手放してしまったフラッシュメーターVIである。「あれって、確か1/3段単位でシャッター速度を変えられたよなー気がしたけど?」1/3段単位であれば、測定時のシャッター速度として1/100秒や1/50秒も使える。
 ネット上に出ている操作説明書で確認したら、確かに1/3段単位で使える。「じゃぁ、もう一度中古で探そう。」
 ところが、オークションや中古ショップの値段を見てびっくり仰天!「何だこれ、新品の時より高いじゃん!」どうしてなのか分からないが、中古価格が異様なほどに高騰している。「こりゃぁ気長に探す以外方法は無さそうだなー。」

 ネットを彷徨う事半年以上、手放した時よりも少し安い価格でようやく入手できた。
買い戻したフラッシュメーターVI
ミノルタとコニカが経営統合した後の製造なので、メーカ名が「KONICA MINOLTA」になっている。電源は単三電池一本だけど、ニッケル水素電池でも正常に動く。
Ni-MH充電池でも正常に動く
シャッター速度の単位は1段・1/2段・1/3段と選べるので、1/3段に設定した。
 まず、シャッター速度を1/125秒に設定して、机上で測定してみる。
1/125sで机上で測定
この状態でダイアルを回してシャッター速度を遅い方へ1/3段動かすと1/100秒になり、絞りの値もそれに対応した表示になる。
1/100sに変更したところ
撮影会ではハッセルブラッドを使う為、測光値はEV値の表示に設定してあるけれど、通常のシャッター速度と絞りの表示に切り替える事も出来る。
シャッター速度と絞り値の表示

 一旦手放した物を買い戻す羽目になっちゃったけれど、これで大陸系列でも露出で一寸だけ悩む必要が無くなった。目出度しメデタシ、である。
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