SSブログ

BOSSグラフィックイコライザーGE-7の修理(その2) [音楽]

(前回からの続き)

 回路図の電源周辺を見ると、ACアダプター使用時は抵抗R1とダイオードD1が直列で挿入されている。
BOSSGE-7の電源周辺
回路図では220Ωになっているけれど、基板上の抵抗値は470Ωである。D1は1S2473で、データシート上のグラフから電圧降下はおよそ0.63Vと判った。
 ネット上にあったService Manual(保守手順書)によるとGE-7は9V7mAとなっているので、ACアダプターから同じ電流が供給されるという前提に立つと、R1の両端にかかる電圧は3.29Vだ。従って、D1+R1で合計3.92Vの電圧降下が発生している事になる。
 ACアダプターの電圧が9Vピッタリだと、実際に回路へ供給される電圧は「9.00-3.92=5.08(V)」となる。LEDには3.9kΩの抵抗と5.6Vツェナーダイオードが直列に接続されているから、実際にLEDにかかる電圧はグッと低くなる筈。LEDが点くか点かないか微妙な状態となるのは当然だろう。

 9VピッタリのACアダプターを接続し、実際の電圧を測ってみた。LEDに直接かかっている電圧は1.6V一寸しかない。
LED両端の電圧は1.6Vと一寸
赤色LEDがギリギリ点灯するかしないかという電圧である。
 電源ラインを測定したら、回路側へ実際に供給されている電圧は約6Vだった。
供給電圧は6V弱
D1+R1にかかる電圧は約3V。辻褄が合っている。
D1とR1の電圧降下は合計で3V強
このGE-7はACアダプターとしてACAシリーズが指定されている。
ACアダプターはACAシリーズ
この回路図から逆算すると、ACAシリーズの出力電圧は13V以上と推測できる。

 この事から、ACAシリーズは整流回路と平滑回路のみの単純なACアダプターと考えられる。当時レギュレータICはまだまだ高価だったから、ACAシリーズには採用されなかったんだろうね。
 例えばネット上にある画像で見ると、ACA-100のラベルでは出力は「9V150mA」となっているけれど、これは「150mA流している時の出力電圧が9V」という意味。電圧制御回路が入っていないのなら、電流が少なければその分電圧が上昇する。
 無負荷(何も繋いでない状態)だと電圧は14V位まで上がるだろうし、GE-7のような消費電力の少ない機器を1つだけ接続したら、多分12V以上になっている筈。そんな電圧でも問題無く動くように、電源ジャックに抵抗とダイオードを直列で入れてあると考えられる。
# この回路は15Vでも問題無いけどねー。
 ネット上で「ACA対応のBOSSエフェクターには、内部に平滑回路を搭載している」と書かれたサイトを見かけるけれど、「それは間違いです!」GE-7に平滑回路なんて入ってないし、平滑回路のみが入った小型エフェクターなんて見た事が無い。
 電源ラインに入っている100μFの電解コンデンサーを見て「平滑回路だっ」と思い込んでるんだろう。電池使用時もこのコンデンサは接続されたままだから、これはパスコン(バイパス・コンデンサー)であって、平滑回路じゃない。そもそも100μFしかないんから、平滑回路には容量が少な過ぎるではないか。

 R1+D1を外せば9VのACアダプターで普通に使える状態になるけれど、部品を外すのはオリジナルの状態を損ねてしまう事にもなるので、その部分をショートさせる事に。
# ネット上でもショートさせて対応と言うのが殆どだし。
基板上では「2」と「3」がR1+D1の両端になっている。
基板上では2と3は隣同士
隣同士なので、切り落としたリード線を使ってショートさせた。
ショートさせたところ
9VのACアダプターを接続して動作を確かめると、LEDが明るく点いた。
LEDが普通に点灯
また、イコライザーの効きが良くなってノイズも若干減っている。回路に供給される電源電圧が高くなったからだろう。

 修理作業としてはここまでだが、やろうと思えばまだやれる事はある。
 例えば、音質・ノイズ面を考えてオペアンプをもっと良い物に交換するとか、ベースの音域にも対応できるように回路定数を変えるとか、劣化している筈の電解コンデンサ類を交換するとか、(そこまでやる?という疑問はあるけれど)音質的にはあまり宜しくないセラミックコンデンサをフィルムコンデンサに置き換えるとか、である。
 やった方が良いのは分かっているけれど、今は手元に必要な部品が無い。何か部品を発注する時に一緒に取り寄せてから作業しようと考えている。

 ジャンク品だったGE-7が正常に使えるようになった。まずは目出度しメデタシ、である。
 台湾製の方は手付かずのままなので、そのうちにそちらも作業しようと思う。

(続くかも?)
nice!(25)  コメント(2) 
共通テーマ:趣味・カルチャー