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ポータブルCDプレーヤーD-265の再修理(その1:動作不良) [音楽]

 自分が作業する部屋に置いて使っているソニーのポータブルCDプレーヤーD-265は、CDを再生すると1曲目は良いが2曲目以降をまともに再生できないという状態になってしまった。
ソニーD-265
でも、前回修理してから2年しか経っていない。「何で?」とりあえず分解してみる。

 分解と言っても裏側のネジを外すだけだ。
本体底面
外すと基板が見えてくる。
分解したところ
パッと見た感じでは問題無さそうに見える。

 動き始めは正常なのに段々おかしくなるという現象から考えると、少なくともオーディオ回路に問題は無い筈。使っているうちに音が途切れてもCDの回転は止まらないので、駆動制御の部分も問題無さそう。となると、考えられるのはCD読み取り制御の部分だ。
 しかし、先日まで全く問題無く動いていた事を考えると、半導体部品に異常が発生しているとは考え難い。そうなると、動作を支えている電源回路がきちんと電力を供給できていないか、或いはノイズが載っているのでは?と考えられる。
 動作初期は問題が無く、ある程度時間が経って回路全体の負荷が一定になった時に問題が出て来る、という話になるのだけれど「そんな事ってあるんかいな?」

 改めてよくよく考えてみる。
 動き始めはあちこちの回路にそれなりの負荷が掛かる為、供給される電力(≒電流)も多くなる。時間が経つに連れて動作が安定してくると、必要な電流もある程度減ってくる。これは重い自転車の漕ぎ始めは力が要るけれど、ある程度速度が出ている状態なら軽い力で走り続けられるのと同じだ。
 電力供給量が下がった時に不具合が出るので、回路上のどこかに抵抗又はノイズとなる成分があって、電流が減ってくるとそれが効いて動作がおかしくなる、と推測する。
 「でも、抵抗かノイズの成分って何だ?...あーーーっ!」

 実は、前回修理した際に、チップ型電解コンデンサが密集している部分の部品交換に大いに梃子摺り、他の場所と比べてかなり長時間(5倍位??)ハンダごてを当てていたという事実がある。(滝汗)「ひょっとしたら、熱の加え過ぎで部品が劣化してるかも?」
 改めて交換に時間のかかった場所を見る。
交換に梃子摺った部分
よく見ると、47μF(青紫で印刷されている部品)の右側に液体が乾いたような白い部分が見える。
47μFは導電性高分子アルミ固体電解コンデンサだけど、ハイブリッドタイプだから完全な固体のタイプと違って少量だが電解液が含まれている。どうやらそれが漏れ出したようだ。
 そうなると、すぐ近くにある220μFも影響を受けているかも知れない...と思ったら、220μFがポロリと取れてしまった。
220μFが取れてしまった
オーディオ用コンデンサに交換した他の場所には液漏れなどの問題は無い事から、液漏れを起こした部分が原因だろう。

 また厄介な部分のコンデンサを交換しなきゃならんのか...トホホ...

続く
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Rolandの音源モジュールXV-5080のメンテナンス(その3) [音楽]

前回からの続き)

 さてさて、新たに見つかったコンデンサは16V100μFが2本、手元にある100μFは耐電圧が6.3Vのものしかない。
 「うーん...ヘッドフォンへの出力回路だから、電圧はそんなに掛からないと思うんだよなー。一寸計算してみるか。」
 本来なら回路図を起こして検討すべきだれど、そこまでやると莫大な時間が掛かる。なので、お手軽に計算してみる事に。

 ヘッドフォン出力は数Wもあれば十分なので、最大出力は(一寸大き過ぎるけれど)5W・ヘッドフォンのインピーダンスは8Ωと仮定する。ワット数は
ワット数=電圧×電流
オームの法則により
電流=電圧/抵抗
だから、
ワット数=電圧×電圧/抵抗
となるので
5=電圧×電圧/8
電圧×電圧=5×8=40
電圧≒6.32(V)
という結果になる。一般的なヘッドフォン出力は大きくても3W程度だし、コンデンサとヘッドフォンは直列に繋がるので、回路から出力される電圧全てがコンデンサに掛かる訳ではない。だから、実際にコンデンサに掛かる電圧はもっと少ない。
 という事は、耐電圧が6.3Vしかなくても大丈夫!無事、手持ちのコンデンサが使える。
耐圧6.3Vのコンデンサ
早速交換して、この部分の作業は完了。

 回路上の作業は以上で御仕舞いだが、表示部のパネルが傷だらけなのが気になる。
表示パネルは傷だらけ
そこで、まず細目のコンパウンドで大まかに傷を削り取る。
細か目のコンパウンドで磨いたところ
次に液体コンパウンドで更に磨く。
液体コンパウンドで磨いたところ
更に超微粒子タイプのコンパウンドで磨くが、あまり変わらない。
超微粒子タイプのコンパウンドで磨いたところ
最後にGT99で磨いたが、ほんの少し奇麗になった?という程度。
GT99で磨いたところ
深い傷は消せないので、この程度で良しとしよう。
 後は元通り組み立てて、作業は全て終了である。交換したコンデンサの数は少ないが、作業は大変だった。(汗)
交換したコンデンサ
 子供に使って貰ってみたら、「音がバリバリに抜けるようになった!」と。とりあえず、ハンダ不良はなさそうでホッとした。

 これで当分の間は何も気にせずに使える状態となった。目出度しメデタシ、である。

(完)
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Rolandの音源モジュールXV-5080のメンテナンス(その2) [音楽]

前回からの続き)

 必要な部品が手元に届いたので、オーバーホール作業を始める。上蓋を外すと基板が見えてくる。
内部の基板
背面にあるネジも全て外す。
背面にあるネジ
上側の基板を外して、
上の基板を外したところ
本体底面にある基板固定ネジを外す。
底面にある基板を固定しているネジ
つながっているフラットケーブル類なども全て外す。
つながっているケーブル類
すると、ようやく下の基板が取り外せた。
取り外した下側の基板
ハンダを緩めて劣化している電解コンデンサを外すのだが、鉛フリーハンダが使われているのか、或いは積層基板の熱容量が大きいのか、いつも使っているハンダごてではハンダが融けてくれない。(泣)

 「こりゃダメだ」と、先日購入したばかりのハンダごてを出してきた。
新しいハンダごて
太陽電機産業株式会社(goot)の設定温度固定式ハンダごてPX-335である。消費電力は85Wと大きいが、温度制御が入っているので常時通電している訳ではないから、今までのハンダごてよりも消費電力が少し多い程度だと思う。
 一般的なハンダごては温度制御が入っていないので、こて先の温度は案外安定しなかったりするのだ。だから、銅箔面が広い基板にこて先を当てると温度が下がってしまい、ハンダがなかなか融けないなんて事も結構多い。今まで何度も苦労していたので、「そろそろ温度制御が入ったこてが必要だなぁ」と考えていた。
 先月、たまたまネット上でPX-335のポイント還元額が大きくなっているお店を見つけたので、予め購入してあったのである。

 ところが新しいハンダごてでも悪戦苦闘、10分ほどあーでもないこーでもないと大騒ぎして何とか一個目を外せた。けれど、基板側に残ったハンダがなかなか融けなくてハンダ吸引器で吸えないので、0.6mmのドリルを出してきて慎重にハンダを取り除く。
ドリルでハンダを削り取っているところ
今回はコンデンサを取り除くのにやたらと時間が掛かってしまい、たかが30個弱のコンデンサ交換に丸一日を費やしてしまった。(滝汗)
コンデンサを交換し終わった基板

 次は、まともに動かないロータリーSWである。
動かないロータリースイッチ
分解に少々梃子摺ったが、何とか分解できた。
分解したところ
更にハンダを緩めて、接点も外すと、下に僅かだが接点らしきものが見える。
下に接点らしきものが見える
フニャフニャのゴム部品を外したら、プッシュスイッチの接点が出てきた。
プッシュスイッチの接点
上側の接点は載せられているだけなので、簡単に外れた。
分解したところ
それぞれの接点をNevrDull(ネバーダル:金属磨き)で磨き、元通り組み立てる。
元に戻したところ
ロータリースイッチの接点は沢山あるように見えるけれど、実際の接点は4か所だけ。
接点は4か所
汎用的な設計になっていて、必要に応じて折り曲げて接点として動作するようになっている。こちらもNevrDullで磨いたら、元通り組み立てる。
元に戻したところ
反対側の接点は、一見問題なさそうに見えたが、NevrDullで磨くと黒くなったので、随分と汚れていたみたいだ。
磨き終わったところ
元の位置に部品を戻して、
組み立て中
軸を差し込んでから加締めれば完成である。
オーバーホールが完了したところ
次はボリュームだ。まずは基板を外さなければならい。
ボリュームが載っている基板
ネジを外して取り出した。
取り出したところ
何気なくひっくり返して見たら...ゲゲゲっ!コンデンサが隠れてるではないか。
コンデンサが2個ある
それに、ボリュームはプッシュスイッチ接点付きで、リベット止めになっている。
ボリュームはリベット止め
細いドリルで頭を揉んでしまえばリベットは外せるが、一旦外してしまうと固定する方法が無い。
ボリュームはリベット止め
プッシュスイッチ内臓なので、グルーで留めるという手が使えないのである。太いワイヤーを通して両端をねじっておけば良いのかも知れないが、時間が経つと緩んでくる可能性もある為、長期に亘って使う機材に使う手段ではない。この部分はまだ問題が出ていないし、子供によると殆ど使わない部分だそうなので、今回は作業しない事にした。

 問題は、新たに見つかったコンデンサだ。2つとも16Vの100μF、手持ちで同じ容量の物があるけれど、耐電圧は6.3Vしかない。ウーム...

(続く)



goot(グット) 設定温度固定式はんだこて PX335 日本製

goot(グット) 設定温度固定式はんだこて PX335 日本製

  • 出版社/メーカー: 太洋電機産業(goot)
  • メディア: Tools & Hardware






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ゼンハイザーHD800Sのイヤーパッド再交換 [音楽]

 昨年からほぼ普段使いしているゼンハイザーHD800Sは、2年前にイヤーパッドを交換したけれど再びボロボロになって来た。直接肌が触る所はシープスキンだから殆ど傷んでいないけれど、周囲を囲っている部分が合成皮革だったようで、剥がれ落ちてきているし、
合成皮革が剝がれている
部分的に裂けてスポンジが飛び出している。
スポンジが飛び出している
顔に剥がれた黒い合成皮革の破片が付くようになってきたので「もうダメだ、こりゃ。」合成皮革だと2年程度しか持たないねぇ。

 純正品は1万近くするので、あちこち互換品を探して取り寄せた。
取り寄せた
中身はこんな感じの簡易包装になっている。
簡易包装の中身
早速古いパッドを取り外した。合成皮革の部分の痛みが激しい。
合成皮革は痛みが激しい
パッドを外したヘッドフォンは何だかあっけない。
パッドのない状態
新しいパッドをはめ込んで完成である。
新しいパッドをはめ込んだところ
今回の互換品はわざと格安品を購入した。ちなみに、お値段は送料込みでも3千円でお釣りが来る。2年程度しか持たないのなら、わざわざ高い物を買わなくても...と考えたのである。
 これで当分は気にせず使えるようになった。目出度しメデタシ、である。








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アリアプロ2・RS-X70のレストア(その2) [音楽]

前回からの続き)

 いよいよ回路の方に取り掛かる。
回路部分
ツマミ類とナットを外す。
ツマミを外したところ
外したツマミは石鹸で丸洗いしてコンパウンドで磨いたら、まあまぁ奇麗になった。
磨いたところ
先に出力ジャックを抜き取る。
抜いた出力ジャック
配線が多く纏わり付いている。
回路部全体を引き摺り出す。
回路部を引き摺り出したところ
スイッチ類全ての金属部にアース配線が施されている。
スイッチにアース配線

スイッチにアース配線
当時の高級機だから、細かい部分まで気を使ってあるのだと思う。
# まーぁ、普通ここまでやらんから、一寸凄いわぁ。
デジタルテスターで、外した回路の配線全てを検査したが、配線は全く問題無い。となると、接触不良が疑われるのは、ブーストモードセレクター(プリアンプ切替スイッチ)だ。
ブーストモードセレクター
端子側を見ると、両端の爪を倒して固定してあるだけだ。
爪を倒して固定してある
この爪をラジオペンチで起こすだけで、簡単に分解できた。
分解したところ
真ん中に挟まれている摺動子の裏側も接点になっている。
摺動子の裏側も接点
接点は一見奇麗に見えるが、高倍率ルーペで見ると接点の表面が荒れてあちこちが錆びている。
奇麗に見えるが実際には錆が出ている
接点全てをNevrDull(ネバーダル:金属磨き)で磨く。これで接触不良は解消される筈。
磨いたら組み立てるのだけれど、爪の部分はとても固くてペンチだけでは曲げられない。色々考えた末に、マイナスのビットを大型プライヤーで挟んで爪をこじ開ける事に。
マイナスビットでこじ開けてるところ
何とか元通り固定できた。
ボリュームポットも分解して内部をNevrDullで磨くが、一つだけ内部に亀裂が入っていた。
ポットが割れている
動作は問題無いので、交換せずそのまま使う。
良い機会なので、ブースト(プリアンプ)回路も調べておいた。
採取した部品配線図
使われているのは低消費電力タイプのオペアンプLM358Nで、増幅回路が二つ直列に入っている。素直な特性の増幅回路で、色付けなどは行われていない。
# オペアンプそのものによる色付けは避けられんけどな。

 回路側の作業が終わったら、本体に戻す。
 プリアンプ回路を覆っていたビニルテープは劣化していたので再利用はしない。カプトンテープで基板全体を包んだ上から自己融着テープを全体に巻いて保護するのが一番確実だけれど、どちらも手持ちが無いので、絶縁用の厚紙をビニルタイ(英語ではtwist tieと言うらしい)で固定する。
ビニルタイで固定

ビニルタイで固定

 ペグやブリッジなども全て取り付け、弦を張る。
弦を張るところ
弦は、いつも使っているROTOSOUNDのステンレスである。弦を張ったら、オクターブ調整も行う。
オクターブ調整を済ませたところ
低音弦側はブリッジの駒が一番遠い位置となった。一寸ギリギリだけど、何とか調整できる範囲に収まってホッとした。(汗)
 これでオーバーホール作業は全て完了である。
作業が終わったRS-X70
ペグやブリッジなどは本来金色だったのだけれど、コンパウンドで磨いた為シルバーになってしまった。でも、見た感じではそんなに違和感は無いと思う。
# ホントか?(^^;)
フィンガーボードを9回クリーニングした為、今回の作業にかかったのは30時間弱とかなりの時間数となったけれど、そこそこ奇麗になったのでその甲斐はあった。

 一寸音を出してみたが、ブースト(プリアンプ)・オフで普通に音が出て来るし、ブースト・オンで出力が大きくなり、オーバーブースト・オンにしてオーバーブース・トボリュームを上げると音が歪む。動作が正常な事を確認できた。
 配線図を見ていて「ん?プラグを差すとプリアンプ回路の電源がオンになるってぇ事は、プリアンプを使うかどうかは関係なくてプラグを抜かない限り電源オフにはならないって事?」と気が付いた。プラグをギターに挿してプリアンプ・オフの状態で、デジタルテスターで電池からの電流を測ると、やっぱり流れている。
ブースト・オフでも電源オンのまま
1mAと一寸だけど、電池二個を並列接続しているからこの程度で済んでいると思われる。
 ネット上に出ているアリアのカタログには「電池寿命:200時間」と書かれているけれど、妥当な数値だと思う。現在主流となっているアルカリタイプの電池なら300時間以上使える筈だ。

 裏を返せば、アルカリタイプの電池を使えば一個でも150時間以上は使える計算になる。だから、わざわざ電池を二個使わなくても良いのかも知れない。
 もっと言えば、入力回路が真空管の機材に接続した時だけブーストやオーバーブーストが有効で、一般的なエフェクターやトランジスタ・アンプを使う分にはメリットは殆ど無い。強いて言えば、出力を大きくする事でケーブルからノイズが入るのを抑えられる程度。だから、それこそFET1石のバッファーを入れるだけでも十分代用できる。
# その方が電池も長持ちだし。

 弦を張って間もないし、フィンガーボードの様子もしばらく観察して状態を見極めたい。特に今の時期は湿気が多いので、出てくる音に影響しないとも限らない。だから、ある程度時間が経って落ち着いてから、改めて音を評価しよう。

(完)
タグ:RS-X70
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アリアプロ2・RS-X70のレストア(その1) [音楽]

 先月手に入れたAriaPro2のスルーネック・モデルRS-X70は、電気系統に接触不良があるみたいで音が出ない。金属部は錆が多く、全体的に薄汚れているので、素人の拙者が出来る範囲でオーバーホールする。
RS-X70
錆びた弦を外し、ブリッジとテールピースを外す。
外したブリッジとテールピース
ボディ側を見ると、収まっていた部分には導電材が塗ってあり、アースを取る配線もある。
導電材が塗られている
随分と手の込んだ事がしてあるなぁ。

 金属部を磨くのにコンパウンドをよく使うのだけれど、生憎艶出し用の微粒子液体タイプしかない。これを使って磨くととても時間が掛かるので、ペースト状のコンパウンドをホームセンターで仕入れてきた。
購入したペースト状のコンパウンド
テールピースの右半分を磨いたら、こんな感じになった。なお、金色は塗装なので、コンパウンドで磨くと取れて銀色の下地が出る。
右半分を磨いたところ
スタッドボルトも、磨くとそこそこ奇麗になる。材質は真鍮らしい。左が磨く前、右が磨いた後だ。
左が磨く前、右が磨いた後
 ブリッジは、ネジの先端が加締められている為、これ以上分解できない。
ブリッジは分解できない構造
仕方ないので、指が届く範囲を磨く事にする。加締められた先端部の右半分が磨く前、左半分が磨いた後である。
右半分が磨く前、左半分が磨いた後
スタッドボルトも磨く。こちらも材質は真鍮のようだ。左が磨く前、右が磨いた後。
左が磨く前、右が磨いた後
ペグ(糸巻とも言うらしい)も全て取り外す。
取り外したペグ
コンパウンドで磨くと多少奇麗になる。左が磨く前、右が磨いた後である。
ペグ:左が磨く前、右が磨いた後
金色塗装の下のメッキが痛んでいる上に、メッキ前の下地が平滑ではない為、どれだけ磨いてもピカピカにはならない。古いメッキを剥がして地金をピカピカに磨いてからメッキし直せばピカピカになるけれど、そこまでやると非常に大変なので、今回は磨くだけに留める。

 ストラップ・ピンを抜いたら、木ネジが少し曲がっている。
木ネジが曲がっている
メッキが錆びて全体的に白っぽくなっている。
全体的に錆びている
ペンチで曲がりを修正してからコンパウンドで磨いたら、まぁまぁ奇麗になった。
磨いた後

 ピックアップを外したら、裏に何やら刻印がある。
ピックアップ裏の刻印
どういう意味があるのかは分からない。
 エスカッションも外して磨く。右が磨く前、左が磨いた後だ。
エスカッション:右が磨く前、左が磨いた後
何故だか分からないのだけれど、ボディ全体が薄汚れている。
全体に薄汚れている
濡れティッシュで拭いても取れないので、タバコの脂か何かだろう。ボディ全体をコンパウンドで磨いたら奇麗になった。
コンパウンドで磨いた後
なお、一寸細かい程度のコンパウンドなので、細かい傷までは取り切れない。液体コンパウンドと超微粒子タイプのコンパウンドで磨けば鏡面仕上げにできるけれど、莫大な時間が掛かるし、そこまでしようとも思わないので、この程度に留めた。

 次はフィンガーボード(指板とも言う)である。
作業前のフィンガーボード
まずはフレットを磨く。フィンガーボードを傷めないよう、手近にあった養生テープの切れ端を使って保護する。
養生テープで保護したところ
一本ずつコンパウンドで磨く。
コンパウンドで磨く
フレット全部を磨き終わったら、フィンガーボードをレモンオイルでクリーニングする。一回目はぼろいタオルで軽く拭いただけで汚れが付いてきた。
タオルに汚れが付く
ローズウッドのフィンガーボードはメンテナンスされていなかったようで、レモンオイルを塗ったら(左半分)黒々とした色になった。
レモンオイルで黒々とした色になる
古歯ブラシでレモンオイルを塗ったのだけれど、一回目の作業を終えたらブラシが真っ黒になった。
ブラシが真っ黒に
レモンオイルでクリーニングを9回繰り返したら、ようやくボロタオルに付く汚れが薄くなった。
 古歯ブラシを見ると、確かに徐々に色が薄くなっている。デジカメ画像では分かり難いと思うけれど、肉眼だと結構はっきり分かる。右が初回、左が9回目で使ったブラシである。
古歯ブラシの汚れ具合が違う
完全に奇麗になった訳ではないけれど、一応見た目にはそこそこ奇麗になったと思う。
まぁまぁ奇麗になったフィンガーボード
ナットはブラスなので、序でにコンパウンドで磨いておいた。
ブラス・ナットも磨いた
ピックアップを含む電装系を除く全ての作業はこれで完了。次は、いよいよ音が出ない原因の追究と修理だな...

(続く)
タグ:RS-X70
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実はもう一本・・・ [音楽]

 前回ギターを一本増やした事を書いたが、実はその数か月前に一本増やしていたのである。(汗)あれこれ別の記事を書いているうちに出しそびれてしまっていた。
フレッシャーSS-35
Fresher(フレッシャー)のストラトモデルSS-35(FRS-1という説もあるようだ)である。
フレッシャーの背面
 フレッシャーは共和商会(名古屋市中村区:廃業)が出していたブランドのギター。1973年から1976年まで松本楽器製造協業組合(長野県松本市:2023年1月廃業?)が、その後86年頃まで中信楽器製造株式会社(長野県安曇野市:廃業)が生産していたらしい。
 フレッシャーはグレコ・フェルナンデスといった国産コピーモデルよりも少し安かった為、かなり多く販売されたらしい。拙者もリアルタイムで販売されていた頃を知っているけれど、当時出入りしていたお店では扱いが無かったので実物を見るのは今回が初めてである。
 だから、あちこちで中古をよく見かけるし、販売価格もかなり安い。ちなみに、今回の入手金額は1万1千円で、入手したギターとしては最安値だ。
 このモデルはフレッシャー末期なのでロゴは「Fresher」ではなくて「FRS」」で、中信楽器製造株式会社の製造と思われる。
ロゴはFRS
保管状態が良かったらしくて、ペグには錆一つ見当たらない。
ペグは奇麗
ピックアップはリアにハムバッカー一つだけ。
ピックアップとコントロール類
ピックアップは、当時大流行していたヘビーメタルに対応したダンカンのピックアップ・インベーダーを真似たような形状で、ポールピースがやたらと太い。
 コントロール類もボリュームとトーンの2つだけで、とてもシンプルだ。
ボリュームとトーンのみ

 シンクロナイズドトレモロもとてもきれいな状態だ。
トレモロも奇麗
部品は日本製である。
日本製
このギターを入手したのは、もちろんそれなりの理由があっての事である。

 随分と昔の話になるが、拙者が20代後半にIbanez(当時は「アイバニーズ」ではなくて「イバニーズ」)のアラン・ホールズワース・モデルAH-10を購入した時から話が始まる。
 AH-10もストラト・タイプでリアにハムバッカーが一つだけで今回のSS-35と同じ仕様なのだが、大きく違うのはAH-10はボディではなくてピックガードにハムバッカーを固定するタイプで、しかもピックガードの下はネックエンドからトレモロの手前まで長方形に大きくに座繰られていた。
 この座繰りは「弁当箱」などと呼ばれていて、ピックガードにピックアップを固定さえすればピックアップを色々と変更したり追加したり減らしたりしてもボディ側を改めて座繰る必要が無い。現在安価なストラトタイプも、(コスト面で)この弁当箱タイプの座繰りになっている事が多い。
 座繰りが大きいと言ってもセミアコほどの空間は無いので、出てくる音にエアー感を感じる事は無いけれど、「じゃぁ、座繰りが無かったらどんな音になるんだろう?」と常々疑問に思っていた。それを確かめるのに好都合だったのが今回のSS-35という訳だ。

 エレキギターは嘗て「電気ギター」と呼ばれていたように、音はピックアップから電気信号として拾う構造になっている。だが、電気信号だけで音が決まる訳ではなくて、本体やネックに弦振動が伝わって振動する事により複雑な共振が発生してピックアップに影響を与える。だから、出てくる音は木部にも大いに影響を受けるのである。
 弁当箱タイプの座繰りは木部の体積を大きく減らす事になる為、当然出てくる音にも影響する。一般的には、木部が少ないと音が軽くなりサステイン(音の長さ)も短くなる傾向がある。言い換えると、座繰りの少ないボディから出てくる音は低音域が充実してサステインも長くなる。
 更に、一般的なストラト・タイプはコントロール類を収める為の座繰りの面積も結構大きいのに対し、このモデルはボディ裏側に細い座繰りがあるだけ。だから、一般的なストラト・タイプよりも木部の体積はかなり多いのだ。

 全体的な作りはとても確りしていて、軽く音を出した感じでは確かに一般的なストラト・タイプよりも出てくる音がしっかりしているように感じる。が、サステインの長さはあまり変わらないようにも思う。
 ピックアップはリアしかない為、フロント・ピックアップのようなしっとりしたサウンドを出すのは難しそうだが、「ギタリストは指で勝負!」と言うから、その辺は弾き方次第で何とかできるのかも知れない。

 購入した時点で、既に弦は新品に交換されていたので、今のところメンテナンスなどで手を加える必要のありそうな箇所は無い。強いて言えば、トーン・ポットをわざと電気的に分離させて高音部の減衰を更に少なくするという程度か。
# 拙者はトーンを全く使わないので。
 とりあえず、メンテナンスの必要は無いので、練習あるのみ!...だな。(滝汗)
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ギターが増えた [音楽]

 先日、自宅にちょっと大きな荷物が届いた。
届いた荷物
梱包を解くとソフトケースが出て来る。
ソフトケース
入っていたのは、1980年はに発売されたアリアプロ2のエレキギターRS-X70である。
RS-X70
構造はスルーネックになっていて、当時は高価格帯に位置していた。
スルーネック構造
店頭では現在でも結構な高額で販売されているが、この個体は「音が出ない」と理由で安価に売られていた。だから、何とか入手できたのである。

 上位機種のRS-X80はピックアップがディマジオのデュアルサウンドが使われているが、このRS-X70にはオリジナル・ピックアップの「NEW EXTRA3」が使われている。
ピックアップはアリアプロ2のオリジナル
米アレンビック社のギターに触発されて作られたモデルと言われているだけあって、ツマミやスイッチが沢山付いている。
ツマミやスイッチが多い
上位機種RS-X80だと、3個並ぶトグルスイッチの一番下が他の二つと同じシルバーになっている。
 ヘッドはアリアプロ2のオリジナル形状だ。
ヘッド形状もオリジナル
このデザインは現アトランシア代表・林信秋氏が生み出した物。「フェンダーやギブソンのコピーでない、日本オリジナルを作る」という意気込みが感じられる素晴らしいデザインだと思う。
 ヘッド部に書かれている部分を拡大すると、アリアプロ2のオリジナルへの拘りが見えてくる。
ヘッド部のアップ
ちなみに、この機種より前のモデルには林信秋氏を表す「H.Noble」の文字が入っていた。
 ボディ裏側には蓋が2か所あり、大きい方は回路が、小さい方には9V電池二つが入る。
裏蓋が2か所
40年ほど前の物だけあって、新品時はゴールドだったのが錆で退色して小汚いシルバーになっている。
マシンヘッド

テイルピース

ブリッジ
裏蓋を開けると、こんな感じ。
裏蓋を開けたところ
まず、電池の電圧を調べる。
電圧測定中

電圧測定中
片方が1.2Vに満たない電圧しかない。これでは回路は正常に動作しない。
 電圧の低い方の電池は液漏れを起こしていたみたいで、電池スナップの電極が痛んでいた。
痛んでいる電極
回路部には、ビニルテープでぐるぐる巻きにされた基盤が入っている。
テープで巻かれた基盤が入っている
スイッチやボリュームの数が多い為、配線も複雑に入り組んでいる。
 テープを取り去って中を確認する。
中の基板
劣化しやすい電解コンデンサーは使わず、高価なタンタルコンデンサが使われている。流石、当時の高級機だけの事はある。

 試しに、電池を正常品と交換、ギターアンプに接続して音を確認してみた。
 ピックアップ切替スイッチを動かす時に一瞬音が出たりする場合もあるが、やっぱり音は出ない。でも、一瞬でも音が出るのだから、どこか接触不良があるようだ。金属部は錆が目立つし、フィンガーボードも汚れているので、まずはオーバーホールする方が良さそうだ。
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Rolandの音源モジュールXV-5080のメンテナンス(その1:下調べ) [音楽]

 子供からローランドのPCM音源モジュールXV-5080のメンテナンスを頼まれた。
XV-5080
2000年頃に発売された製品でシーケンサーは入っていないが、最大発声数128・マルチティンバー最大32パートという仕様は、当時としては飛び抜けた存在だったようだ。
 問題は、Valueツマミの動作がおかしいのと、出て来る音の高音域の抜けが少々悪いという2点。とりあえず、中身を確認する。

 天板はネジ留めなので、ネジを外せば簡単に外れる。
モジュールの内部基板
画像左側の茶色い基板はスイッチング電源、右側はオプションのエクスパンションボードを載せる基板だ。2枚取り付けられているけれど、「BASS&DRUMS」と書かれているボード「SR-JV80」は製造元ローランドから使用中止依頼が出ている。使い続けるのなら、電解コンデンサ交換が必須、だね。
 エクスパンション用の基板を外すと、その下にメイン基板がある。
メイン基板
回路図が無いので断言はできないが、電解コンデンサの並び方を見ると、左側7割がデジタル回路、残りの右側3割がアナログ回路のようだ。
 特に、アナログ回路側の電解コンデンサにはオーディオ用高級ラインのELNA・Silmicが部分的に使われていて、音質に配慮した部品選定になっている。
部分的にSilmicが使われている
念の為に、基板上の部品を確認する。まず、数多く使われているのがJRCのオペアンプ5532Dだ。
JRC 5532D
デジタル回路とアナログ回路の境に、見慣れないICが並んでいる。
AK4324VF
調べたら、旭化成の24BitΔΣDAコンバーターAK4324VFだった。
 デジタル回路の方にある大きなICはカスタムチップらしい。
デジタル回路部

 Valueツマミは本体のほぼ中央にあり、独立した基板になっている。
独立した基板になっている
外して見たら、ロータリーエンコーダーのようだ。
実態はロータリーエンコーダー
恐らく接点が劣化してまともに動かなくなっているのだろう。これは分解清掃すればOKな筈。

 使われている電解コンデンサを調べたんで部品を発注すれば良いのだが、数は多くないので送料が高くついてしまう。
 修理待ちの他の製品の部品と併せて発注すると良いのだけれど、そうなると修理待ちの製品も分解して調べなきゃならんのよねー...。(汗)

続く
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KORG M1Rの不具合(その2:完了) [音楽]

前回からの続き)

 M5216Lは市場在庫がまだあるみたいで、比較的簡単に入手できた。
入手したM5216L
必要なのは一つだけだが、ばら売りしている業者は価格がやや高いので、オークションで入手した。
 早速M1Rを分解する。
KORG M1R
分解と言っても、天板を外すだけ。交換するM5216Lが載っているのは、オーディオ出力に直接繋がっているこの基板一枚しかない。
オーディオ出力基板
ハンダを緩めて古い方を外し、新しい方をそのまま取り付ければOKである。
 外した方(画像下)と入手した物(画像上)を比べると、入手した物の方が製造ロット番号が古い。
新品(上)と交換した古い方(下)
元通り組み立てて、早速子供に使って貰った。

 すると「左右の音量差は無くなった」と。ところが、「出力ボリュームの動きがおかしくて、真ん中まで回すと音量が最大になるような感じ」と言う。
 今回ボリュームポットは触っていないので、どうしてそのような動作になったのかは不明。でも、子供曰く「卓(ミキサー兼レコーダー)の方で音量を調節すれば良いから問題無い」んだと。

 一瞬焦ったけれど(笑)、とりあえず普通に(?)使えるようになった。目出度しメデタシ、である。

(完)
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